「あんた達、ケンカでもしたの?珍しわね」
さすがに1週間もまともに口を利かないと、母の目にも不自然に映るらしく、僕と愛美が大ゲンカ中らしいと言うのは父も知るところとなった。
姉はその点、合理主義者で年上らしく、表面上は僕と何ら変わりなく接してくれていたが、前と全く同じ・・・と言う訳にはいかなかった。
僕は1人自室で雑誌を読んでいた。
好きなサッカー選手が特集されている雑誌だったが、何故だか楽しくない。
いつもなら愛美が部屋へやってきて、アレコレと纏(まと)わりついてくる時間だ・・・。
あれはあれで、正直煩わしいと思う事もあったけど、こうして失ってみるとあの時間がどれだけ楽しい時間だったかと言う事に気付かされる。
学校では少し嫌な事があった。
取るに足らないような事で、本気で悩むような事でもなかったが、それでも1人で居ると色々と悪い方へ悪い方へ考えてしまう。
こんな時に姉の部屋へ行けば、彼女は何も言わずに優しく僕を抱きしめてくれた。
今更ながらに姉の存在の大きさに気が付いて、それが2度と戻らないのだと思うと目頭が熱くなる。
でも、それは誰のせいでもない。
他ならぬ僕の優柔不断な態度と、感情に流されるままにとった行動が悪いのだ。
――コンっ、コンっ
久しぶりに僕の部屋の戸をノックする音がした。
「はい?」
僕は母でも来たのだろうと思いながら寝転がったままそう返事をした。
「入るよ・・・」
だが、そう言って入ってきたのは姉だった。
見ると、姉の後ろに隠れるようにして愛美が一緒だ。
「ど、どうしたの・・・?」
僕は2人が座るのも待たずにそう訊ねた。
「あのさ・・・やっぱ一緒に暮らして行く以上さ、あんまり空気が悪いのは居心地が悪いって言うか・・・嫌なんだよね・・・私」
姉がそう言った。
「うん・・・ごめん」
僕は謝るしかない。
「それでさ、愛美に雄太の事許してやれって言ったのよ、私」
「うん・・・」
愛美が、益々姉の後ろに隠れて姿が見えなくなった。
「そしたらさ、雄太が愛美に内緒で私とエッチしてたのが許せないって言うんだよ」
「うん・・・そうだろうね・・・」
「だから私言ってやったのよ、愛美だって私とエッチな事した事あるでしょ?って」
「うん・・・」
そう言えばそうだった。
あまりのショックに忘れていたが、この2人は過去にそう言う関係だった。
僕とこうなった事で、また僕が部活に汗を流している間に2人でまたエッチな事をしているんだろうか?
「あ、言っとくけど、今はもうあんな事してないからね・・・」
姉は僕の考える事を見透かしたようにそう否定した。
「うん。解ってるよ・・・」
「そう?それなら良いんだけどさ・・・。でね?・・・愛美が言うには・・・ほらっ!あんた自分で言いなさいよっ」
姉は途中まで話して、自分の後ろに隠れている愛美を引っ張り出すようにしてそう言った。
「ま、愛美も浮気しちゃうんだから・・・」
姉の後ろから引っ張り出された愛美は一言だけそう言った。
「ど、どういう事だ?」
「だから、雄太が浮気したから、仕返しに愛美も浮気するって言ってんのよ」
姉が愛美のセリフを補足する。
「だ、ダメだっ・・・愛美っ・・・俺が悪かったから、考え直せっ、な?・・・この家を出て行けと言うのならそうするから・・・だから、そんな仕返しなんか・・・そんな事のために他の男に身体を許すなんてこと・・やめてくれ・・・お願いだ・・・愛美・・・」
僕は愛美のあまりの覚悟に驚いた。
驚きの後で、彼女をそこまで追い詰めた事が悲しくて、男のくせに女々しく涙が流れ出す・・・。
「ち、違うもんっ!そんな・・・他の男の子とエッチなんて出来ないもんっ」
愛美が言った。
「へ?」
「あんたは・・・早とちりだっての」
「だ、だって浮気って・・・仕返しするって・・・」
「仕返しはするよ・・・」
「どういうこと?」
「あんたさ、今度の日曜日、部活休みなさいよ・・・試合じゃなくてただの練習でしょ?」
「そうだけど・・・」
僕の部活と愛美の仕返しの繋がりが解らないまま僕は姉に答えた。
「今度の日曜日、お父さんもお母さんも遅くなるんだって・・・」
「そ、それで?」
「愛美はね、私と浮気するから・・・」
そう言う事か・・・。
愛美は僕に仕返しの意味も込めて、姉と関係すると・・・そう言う意味か。
しかし、それと僕の部活とのつながりが解らない。
「そ、そっか・・・うん・・・そ、それなら知らない男とするよりは・・・全然いい」
解らないがとにかく愛美が適当な男を引っ張り込んでSEXするよりは何百倍も良い。
とりあえず僕はそう言った。
「あんた、見てなさいよ・・・」
「え?」
「私と愛美がエッチするところ・・・見てなさいよ」
「な、なんで?」
「そうじゃないと仕返しにならないでしょ!?」
「で、でも・・・」
「だけど、絶対私と愛美に手を触れちゃだめ。見てるだけ。もし、それが出来たら、今度のことは水に流してやろうって言ってんのよ。出来る?」
初めて2人が猥褻な行為をしていると知った時、僕はその様子を覗き見たくて仕方がなかった。
でも、今はあの時と違って、2人それぞれに愛情を抱いてしまっている。
その2人が僕を抜きにして2人で抱き合う姿・・・それを直視するのは辛いかもしれない。
「で、出来るよ・・・」
だけど僕としても、いつまでも姉や愛美とギクシャクした関係でいるのは嫌だったし、さっきも言ったように愛美が知らない誰かとSEXをするくらいなら、姉と関係する方がまだマシだとも思う。
だから、僕は姉の申し出を承諾した。
「で、でも・・・愛美はいいのかよ・・・恥ずかしいだろ?」
「ちょっと、あんた・・・何で愛美ばっかりなのよ?私だって恥ずかしいわよ」
姉が抗議する。
「じ、じゃあなんで?」
「知らないわよ・・・愛美に聞きなさいよ」
僕はこの話は姉がまとめあげて愛美を説得したのだろうと勝手に思っていた。
だが、驚くべき事にそうではなく、愛美が姉に持ちかけた話だったのだ。
「お、お兄ちゃんにヤキモチ妬かせてやろうと思って・・・」
愛美は相変わらず姉の後ろに隠れるようにしながらそう言った。
愛美は僕が姉とも身体の関係があると知って、猛烈な嫉妬心に襲われたのだと言う。
だから、同じ気持ちを僕にも味あわせてやりたいのだと言った。
「それに・・・・は・・・だし・・・」
「え?」
愛美が小さな声で何か付け加えたが聞こえない。
「はや・・・・だし・・・」
僕に聞き返されて愛美は同じ事をもう一度言ったが、それでも声が小さくて聞こえない。
「もうっ、まどろっこしいわねっ!ハッキリ言いなさいよっ愛美っ!」
姉が苛々しながらそう言った。
「は、早く・・・お兄ちゃんと仲直りしたいし・・・」
今度はきちんと聞こえる声で愛美がそう言った。
愛美も早く僕と仲直りがしたい・・・そう思ってはいるものの、姉との事が心の棘になって引っかかる・・・だから、その棘を抜く為の荒療治・・・そう言う事らしかった。
こうして僕は、今週の日曜日は部活動を休む事になった。
※※※
「あんた・・・今日サッカー部は?」
「ああ、今日は練習ないんだ」
「珍しいわね~」
母はそれだけ言って、父と2人できちんとした服装をして出かけて行った。
どこへ行くのかは知らないが、帰りは遅くなるから3人で夕食を食べていろと姉に伝えているのが聞こえた。
「さてとっ・・・」
両親が外出すると姉がおもむろにそう言った。
「お風呂にお湯溜めてくるね」
「お風呂入るの?」
「入るわよ~・・・愛美と2人でね・・・」
僕への仕返しは、両親が玄関の戸を閉めた瞬間から開始されたようだった。
「あんたは、ここに居なさいね」
姉はニヤニヤとしながら言った。
愛美は不安気な表情をしている。
発案したのは愛美のはずだが、この計画にノリノリになっているのは姉のようだ。
僕は浴室の脇にある階段に腰掛けて、2人が浴室から出てくるまで、ずっとそこに座っている事を命じられた。
今日の僕は2人に仕返しをされる身だ。
大人しく僕は階段に座った。
やがて、ザザァと言うお湯の流れる音が聞こえ始めた。
仕返しされるのは解っているが、姉妹の仲良し入浴タイムの音声を聞かされても別に何とも思わないし、仕返しにもならないのではないだろうか?
そう思っていた時だった。
「お、お姉ちゃんっ・・・」
「いいから・・いいから・・・雄太~っ、そこにいる?」
「ちゃんといるよ・・・」
姉は僕がわざわざ階段に座っているか確認した。
僕は疑われては堪らないと、すぐさま返事をする。
「あっ・・・い、いやっ・・・そこ・・・」
僕が返事をするや否や、浴室から愛美の可愛らしい声が漏れ聞こえてきた。
「雄太~っ・・・愛美の乳首・・・硬くなってるよ~っ」
姉はわざわざそう実況する。
僕の脳裏に、愛美の裸身が浮かぶ。
それから、同じように裸の姉が愛美の胸に手を這わせている姿・・・。
今は2人の身体を想像ではなく、リアルに知っている分、妄想もかなりクッキリとした映像で浮かんでくる・・・。
「あっ・・・やっ・・・んっ・・・」
「石鹸でヌルヌルだから・・・愛美、気持ち良さそうだよ・・・」
姉がまた実況する。
どうやら姉が愛美の身体にボディソープを塗って撫でまわしているようだ。
「はっ・・・んっ・・・」
「ほらっ・・・愛美も何か言ってごらんよ・・・」
「な、なんかって・・・」
「ほら・・・どう?・・・気持ちいいの?・・・」
「うん。き、気持ちいい・・・」
こ、これは・・・思っていたよりもキツイ・・・。
僕は今すぐに浴室の中に乱入したい気持ちになっていた。
考えてみれば、あれから・・・風邪をひいてからの僕は姉や愛美とのSEXはおろか、オナニーすらしていない・・・溜まっているのだ。
「雄太~っ。愛美・・・私の手で触られて・・・気持ち良いってさっ」
姉がわざとらしく大きな声でそう言う。
「はぁ・・・っ・・・んっ・・・」
その姉のセリフを裏付けるように愛美の可愛いアニメ声が浴室からエコーがかかって聞こえてくる。
(み、見たい・・・いや、それよりなんか・・・なんだろうこの気持ち・・・)
僕は居てもたってもいられなくなって、階段から立ち上がりその辺をウロウロと歩き回る。
「んっ・・・あっ・・はぁっ・・・」
「雄太~・・・愛美・・・すっごく可愛いよ~・・・見たいでしょう!?」
もはや姉の声など耳に入らない。
ただただ愛美の喘ぎ声だけに集中して、彼女が今どんな状況にあるのか探ろうとする。
「さっ、愛美・・・もうキレイになったね・・・」
姉が突然そう言ったかと思うと次の瞬間、愛美の大声が聞こえた。
「あっ!!・・・や、やぁ~っ・・・んっ・・・」
愛美が大声をあげたと言うのに、あのワザとらしい姉の実況がない。
どういう訳だろうか。
――・・・ペチャペチャ
僕が疑問に思ってる所へ、子犬か子猫がぺロぺロと飼い主の頬でも舐めているような音が聞こえた。
(だから姉ちゃんの声・・・聞こえなかったのか・・・)
愛美は今、姉の手で敏感な部分をキレイに洗われた後で、今度は彼女にそこを舐められているに違いなかった。
「あっ、あっ・・・んっ・・・お、ねぇ・・・ちゃんっ・・・」
途切れ途切れに姉を呼びながら気持ち良さそうな声をあげる愛美・・・。
その声を聞いていると、彼女と初めて身体を重ねたあの日の事が甦る。
僕は堪らなくなってズボンの上から、とっくに硬くなっている自分のモノを握った。
「んっんぅ・・・ぷはぁ・・・雄太~・・・解ってると思うけど・・・オナニーもダメだからね~」
いつもいつも、どこかに第3の目でもあるんじゃないかと言うくらい的確に僕の思考を先読みする姉・・・。
僕はちょうど、そう言えば「触ってはいけない」とは言われたけど「オナニーしてはいけない」とは言われていないな・・・そう思っていた所だったのだ。
「し、してね~よっ」
僕は焦ってそう言った。
「あっ・・・あぁっんっ・・・」
僕の返答を待つように浴室から愛美の喘ぎ声が再開された。
姉が再び愛美の敏感な部分を舐め始めたのだろう。
――ピチャピチャッ
と言う音が、妄想だけでなく耳からも僕を興奮させる。
「う・・んっ・・・あ・・・はぁっ・・・あっ」
愛美はまだ姉ほど開き直っていないみたいで、喘ぎ声の中に我慢している様子が伺える。
まだ堂々と僕に喘ぎ声を聞かせてやろうと言う気持ちになっていないようだ。
「あっ・・・あっ・・・・」
それでも姉の舌によって与えられる快感に徐々にその抵抗感も弱くなっていくようで、少しずつ愛美の喘ぎ声はハッキリとしたものに変わっていく。
そして・・・
「あっ…あっあっあっあっ・・・あぁぁっ!!!」
愛美の声が突然叫び声のように甲高くなって消えた・・・。
「雄太~・・・愛美・・・イッちゃったよ・・・すごい可愛いよ~」
再び再開される姉の実況は、彼女の口が愛美の秘部から離れた事を示す。
愛美が果てた事など、実況されるまでもなく明らかだった。
――ガチャっ
しばらくして浴室の戸が開いて2人が出てきた。
愛美はクッタリとして姉にもたれかかるようにして歩いている。
「な、なんかのぼせちゃったみたい・・・」
辛うじて僕にそう言い訳する愛美の顔はしかし、決して湯の温かさだけでそうなったのではない事がハッキリと解るほどにトロンとした眼つきをしていた。
「さっ、私の部屋行こうかっ・・・」
そんな愛美を相変わらずスラリとした体躯で支えながらバスタオルを身体に巻いただけの姉がそう言った。
その胸元には深く、色っぽい谷間が刻まれていて、僕はこのまま最後まで我慢できるのだろうか・・・そう思いながら2人の後を着いて階段を昇っていった。
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