…お返し~後編~…
「とりあえず、パンツの上から触ってくれよ」
雄大はさすがに下着までも下げるのに躊躇いがあったのか、トランクス一枚の姿で椅子に座り直すとそう言った。
「う、うん・・・」
明日香は椅子に座る雄大の前に跪くと、恐る恐る雄大の股間に手を伸ばす。
「か、硬ぁ~い・・・」
それが明日香の人生初の男性器を触った感想だった。
「こんなにカチカチになるんだねぇ・・・」
感心したようにそう繰り返す明日香。
「そのまま・・・さすってくれよ」
その明日香に向かって雄大が言った。
「うん・・・こんな感じ・・?」
明日香は雄大に言われるまま、まるで子供の頭でも撫でるように優しく円を描きながら、雄大の硬くなっている部分を撫でまわした。
「お、おお・・・そう・・・そのまま撫でてくれよ」
下着の上からとは言え、始めて異性に触られる感触は相当気持ち良いのだろうか・・・雄大の声が幾分か上ずっている。
「うわ・・・もっと硬くなった・・・それに・・・うわぁ・・・大っきい・・・」
雄大のモノはトランクスの上からでもそれと解るほど下着を盛り上げてテントを作っている。
その大きさは、平均的に見て特別大きいとも思わないけれど、初めて目にする異性の性器だ・・・明日香がその形状に畏怖の念を抱いたとしても仕方がない。
チラリと真由ちゃんへ視線を向けてみる。
当然だが彼女は、この様子を直視できないようで俯いたままで顔を赤くしている。
「だ、ダメだ・・・ちょっと・・・」
――ギッ
雄大はそう言うと慌てて立ち上がった。
そして今度は躊躇いなくトランクスをズリ下げる。
元々雄大の足元に跪いていた明日香の目の前にモロに屹立した男性器・・・。
「き、きゃあっ!・・・な、何よ・・・いきなり・・・」
「だって、おまえ・・・脱がねぇと出来ないだろうが」
「そ、そうだけど・・・一言言ってから脱いでよね・・・ビックリするでしょ?」
「お、おお・・・そうか・・・わりぃな・・・」
雄大は素直に謝ると再び明日香の前に腰掛けた。
「ち、ちょっと・・・勇気いるね・・・これ・・・」
「ん?・・・何で?」
「だ、だって・・・なんか・・・グロい・・・」
「そっかなぁ~・・・見慣れてっから何とも思わねぇけどな~」
「わ、私は初めて見るんだってばっ!見慣れてる雄大と一緒にしないでよっ!」
「まぁ、いいからよ・・・頼むよ・・・」
「ど、どうしたら良いのよ・・・」
「今度は握るんだよ・・・あんまり力入れんなよ・・・痛ぇから」
明日香は無言のままで雄大のモノに向かって手を伸ばす。
しかし、今度はトランクス越しとは訳が違って、なかなか勇気がいるようだ。
「う・・・わぁ~・・・熱ぅい・・・」
それが直接男根を触った明日香の感想だった。
「ね、ね、真由・・・見てみなよ・・・これ・・・ほら・・・」
明日香は雄大のモノを握ったままで振り向いて真由ちゃんに声をかけた。
「わ、私・・・いい・・・」
「いいからっ!見てみなってばっ!あんただって見た事ないでしょ?男の子のおチンチン」
「な、ないけど・・・私は・・いいから・・・」
真由ちゃんはそう言ったまま俯いて、雄大の方を見ようともしない。
「い、いいじゃねぇかよ・・・別に真由に見せなくてもよ」
雄大は雄大で、さすがに妹に見せられるような姿ではないと思ったのか、明日香にそう言った。
「そっか~・・・こんなの見る機会、そうそうないのに・・・残念だなぁ」
明日香はそう言って口を尖らせる。
「に、握るだけじゃなくてよ・・・こう・・・握ったままで手を上下に動かしてくれよ」
雄大は右手で卑猥な動きを見せながら、明日香にそう要求した。
「うん・・・こんな感じ・・・かな・・?」
明日香は雄大の手の動きを真似るように、彼のモノを握ったままで手をゆっくりと上下に動かし始める。
「そ、そうそう・・・う、お・・・すんげぇ・・・」
「気持ちいいの・・・?」
明らかに快感の呻き声を漏らす雄大へ明日香が訊ねた。
「あ、ああ・・・すげぇよ・・・これ・・・」
僕は口の中がカラカラになっていた。
それから股間には熱い感覚・・・その感覚が勃起の前触れだと言う事に僕は自分で気が付いていた。
(な、なんで!?・・・)
まさか雄大の勃起したモノを見て自分が興奮したとは思えない・・・。
そうなると、妹の卑猥な姿を見て興奮している・・・そうとしか思えない。
「そっかぁ~気持ちいいんだぁ・・・こんなの簡単だね」
「そ、それなら・・またそのうちしてくれよ」
「ダメっ・・・今日だけっ、1回きりの約束でしょ?」
「簡単だったら良いじゃんよ」
「そう言う問題じゃないのっ!今日だけ・・・そう言う約束なんだから」
「ちぇ~・・・解ったよ・・・」
目の前ではそんな会話をしながら、雄大の前にきちんと座ってゆっくりと男根を上下する妹の姿・・・それを見守る僕のすぐ隣には、真由ちゃんが俯いて座っている・・・。
(こ、この異常な空気に興奮してるんだよ・・・な・・・)
僕は自分が決して明日香の姿を見て興奮しているのだと言う事を認めたくない思いで、1人そう思っていた。
「ねぇ・・・これ・・・どうなったら終わりなの?」
行為に飽きてきたのか明日香が雄大にそう訊ねた。
「そりゃ、おまえ・・・出るまで終んねぇよ」
「出るって?」
「先っぽから白いのがビュッって出るからよ・・そしたら終わりだ」
「ビュッって・・・そんなに一杯出るの?」
「ああ、結構な勢いで出るぜ?」
「じゃあ、制服汚れちゃうじゃないっ!」
「ああ、そうか・・・真由、悪りぃけどそこのティッシュ取ってくれよ」
雄大は突然真由ちゃんにそう言いつけた。
真由ちゃんはノロノロと身体を動かし、決して雄大のモノを視界に入れないように気を付けながら目を逸らしたままでティッシュを箱ごと彼に渡した。
「そんなに見るの嫌なの?」
明日香がその様子を見て真由ちゃんに言う。
「嫌って言うか・・・だって・・・恥ずかしい・・・もん・・・」
「恥ずかしいのはこっちだっつ~の!」
雄大がすかさず口を挟む。
「ふ~ん・・・見てみればいいのに・・・」
明日香は一言だけそう言うと再び雄大へ向き直って、稚拙な手の運動を再開した。
「よ、よし・・・ティッシュも取ったし・・・もう少し・・・手の動き早くしてくれよ」
「早く・・・って・・・こう?・・」
「そ、そうそう・・・そのまま・・・そのままだぞ・・・っ」
――シュシュシュシュ・・・
明日香の手の動きが速くなると、彼女の制服から衣擦れの音が部屋に響きだした。
その音に反応して真由ちゃんが一瞬、雄大の方を見てしまう・・・。
「きゃ・・・」
そして一言短く悲鳴を上げて再び俯いたけど、雄大は快感の中に居たし、明日香は右手を動かすのに忙しくて、その様子を見ていたのは僕だけだった。
「お、お、う・・・だ、出すぞっ・・・出すぞっ・・・うぅっっ!!」
雄大はそう言って、腰を大きく持ち上げて身体を大きく1回ビクつかせた。
だが、その先端にはきちんと右手でティッシュを当ててあり、放出された精液が部屋の中や明日香を汚す事はなかった。
「で、出たの・・?」
雄大が落ち着くのを待って、明日香がそう訊ねた。
見ると、まだ雄大のモノを握ったままだ。
「ああ・・・出ちまった・・・少し早かったな、勿体ないことした」
「勿体ないって・・?」
「だってよ・・・もう明日香は2度としてくんねぇんだろ?・・・それならもっとゆっくり幸せ噛みしめれば良かったと思ってよっ」
雄大は冗談とも本気ともつかない顔で明日香に向かってそう言った。
「バカっ・・・」
明日香は一言だけそう言うと、ようやく雄大のモノから手を離した。
――クンクン・・・
それから、今まで雄大のモノを握っていた自分の右手の匂いを嗅ぐ。
「ば、バカやろっ!何してんだよっ!」
「どんな匂いすんのかなぁ~と思って・・・でも別に何にもしなかったよ・・・変な匂い・・・」
「あ、当たり前だ・・・いつも清潔にしてるからな」
「ふ~ん・・・」
明日香はそう言うと僕と真由ちゃんへ視線を向けた。
「なに?・・・真由、結局最後までそうしてたの?」
真由ちゃんは、すべてが終わって雄大がズボンを履き終わってもまだ俯いて床だけを眺めていた。
「おう、もうズボン履いたから顔上げても大丈夫だぞ」
雄大がそう言っても、真由ちゃんは明日香や雄大の顔を見るのも恥ずかしかったようで、なかなか顔を上げなかった。
真由ちゃんがようやく顔を上げて、僕ら3人の会話の中へ戻ってきたのは、それから20分程経ってからだった。
4人揃った僕らは、またいつものように馬鹿げた話をしては皆で笑い合った。
僕達4人は、いつもこうして4人で過ごしてきた。
何年も何年も同じように4人で過ごしてきた。
けれど、誰も口には出さないけど、僕達はそれぞれに解っていた・・・4人揃って、当たり前の道を踏み外して、あらぬ方向へ向かって歩き出してしまった事を・・・。
第1章 ― 完 ―
第1章~性の目覚め~はこれでおしまいです
ここまで読んで頂いてありがとうございました。次話から、第2章 ~おかしな4人~に突入予定です。
続きも読んで頂けると嬉しいです^^
≪
前へ /
次へ ≫
Information