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凛 騎 応 変!

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□ 妹遊戯~二組の兄妹~(完結) □

第10話 …発覚…

― 第2章 おかしな4人 ―



…発覚…



僕達は高校2年生になった。

2人の妹たちは同じように進級して中学3年生になり、今年は受験の年だったけど、僕ら4人は相変わらず雄大の部屋で自堕落な日々を過ごしていた。

「こんちは~・・・雄大?・・・入るぞ~」

僕はいつものように2階に居るはずの雄大に声をかけて勝手に彼の家に上がり込んだ。

――カチャっ

「雄大?いるんだろ?」

僕はそう言いながら彼の部屋の扉を開けた。

「お、おうっ・・・拓也っ」

雄大は部屋に居た。
それに明日香も・・・雄大の部屋に居る。

「ああ、返事がないから勝手に上がらせてもらったよ」

僕はそう雄大に声をかけながら明日香の顔を見た。
そんなに暑い訳でもないのに、頬をピンク色に染めて、心なしか潤んだ目・・・。

ここ最近、こうした事が増えた。

僕が雄大の部屋に来ると、彼は先に帰宅していて、そこに明日香も居る。
そして僕が彼の部屋の戸を開けると、明日香が潤んだ目と赤らんだ頬で僕を迎える。
そしてこう言うのだ。

「あ、兄貴・・・早かったね」

それはまるで僕がもう少し遅く来れば良いのに・・・そう言っているように聞こえる。

理由は薄々解っていた。

あの時・・・明日香が雄大に手で猥褻な行為をした時、明日香は「一度きり」だと何度も繰り返し言っていた。

だけど、2人の関係は1度きりでは終わっていないのだ。

根拠はいくつかある。

雄大と僕は同じ高校に通っている。
朝だって一緒に登校するし、下校する時だって殆ど毎日一緒だ。

だけど、時々・・・1週間か2週間に1度くらい、僕が帰り支度をしている間に雄大は先に帰ってしまう事があった。

「トイレに行きたくてよ」

雄大はその度に、そんな下手くそな言い訳を僕にしていたけど、それが通用するほど僕もバカじゃないつもりだ。

そして雄大がそんな下手な言い訳をする日に限って、今日のように明日香も雄大の部屋に先に来ているのだ。

他にも根拠はある。

今日もそうだが、僕が雄大の部屋へ来たときに、明日香が赤い顔をして僕を迎えたりする事がある。

今日は明日香の顔が赤いだけだったけど、時には僕が階段を上がっている間にカチャカチャと慌ててベルトを締める音がする事もあったし、酷い時には明日香の制服が明らかに乱れている事もあった。

それは取りも直さず、2人が衣服を乱さないと出来ないような行為をしていると言う証拠に他ならないのだ。

「おまえら2人でエロい事してんだろ」

そう直接訊ねれば話は早いのだが、僕はそれが出来るほどの度胸も持っていないし、デリカシーの無い人間でもないつもりだ。

そうして、2人の事には触れずにいるうちに真由ちゃんがやってきて4人になり、僕等はいつものようにダラダラと過ごして自宅に帰る。

明日香と雄大はそんな関係をズルズルと続けながらも、別に付き合っている様子も無かった。
そもそも雄大の性格から言って、もし2人が付き合う事になれば必ず僕や真由ちゃんに宣言するはずだが、そんな様子も全くなかったのだ。

そんな2人に気を取られながら過ごしていたある日・・・ちょっとした僕の油断が、大変な出来事を招いてしまった・・・。



※※※



「こんちは~・・・」

僕はいつものように雄大の家へ勝手に上がり込んだ。
そして、いつものように雄大の部屋へ入る。

しかし、そこはいつもの空間ではなかった。

何だか空気が重苦しい。

明日香と真由ちゃんが雄大のベッドの端に座っている。
雄大はその正面の椅子に座ったままで、彼女たちから視線を逸らすように窓の外へ目を向けている。

「ど、どうしたの・・・?」

僕はまた雄大が明日香に暴言でも吐いて怒らせたのだろうと軽い気持ちで訊ねた。

「あ、ああ、拓也・・・いや・・・あのな・・・実は・・・」

雄大がいつになく歯切れの悪い様子で僕に話しかける。

「兄貴・・・今日携帯は・・・?」

いきなり明日香が僕にそう訊ねた。

「あ、いや・・・今日は忘れたみたいでさ・・・家にあると思うんだけど」

僕はそう言った。
別に嘘をついている訳ではない、本当に家を出るときに持つのを忘れてしまったのだ。

「ここにあるよ、兄貴の携帯・・・」

明日香が僕の携帯をチラチラと見せながら言った。

「あれ?なんで?」
「朝、兄貴が携帯忘れたのに気が付いたから、急いで追いかけたんだよ、私・・・」

明日香が言うには、朝、僕が家を出てからすぐに彼女は玄関の靴箱の上に置きっぱなしになっている携帯電話に気が付いてくれた。

すぐにその携帯を持って僕を追いかけてくれたそうだが、その時には僕と雄大の姿はもう近くには無かった。

「わざわざ家に戻るのも面倒だからさ・・・そのまま持ってガッコ行ったんだよね・・・私」
「そ、そうか・・・悪かったな」

僕はとりあえず詫びた。
しかし、それがそんなに怒るような事だろうか。

「他に言う事ないの・・・?」
「え?・・・」
「他にあるでしょ?言う事・・・」
「な、何を・・・?」
「ふ~ん・・・とぼける気なんだ・・・兄貴」
「とぼけるも何も・・・何の事言ってんだよ・・・」

僕は心当たりもないのに妹に一方的に怒られるのが腹立たしくて、少しずつイライラしてきた。

明日香もそんな僕の様子に気が付いたのだろうか・・・一気に核心に迫ってくる。

「真由に・・・言う事あるんじゃないの?」

明日香は一言だけそう言った。
僕は明日香の言葉を聞いて自然に真由ちゃんを見た。

いつも俯いているから気が付かなかったが、何と真由ちゃんは俯いたままでポロポロと涙を零していたのだ。

「ま、真由ちゃんっ・・・どうしたの!?」

僕は驚いてそう訊ねた。

「どうしたのじゃないよ・・・兄貴のせいで泣いてんだから」
「お、俺のせい!?・・・な、なんで!?」
「わかんないの?」
「ま、全く・・・」
「本気で解んないの?」
「ほ、本気で解んないよ・・・」
「あきれるね・・・ほらっ!これのせいだよっ!!」

明日香は語気を強めて、僕の携帯を放り投げてよこした。
僕は自分の携帯の液晶画面を見た。
それから意識が遠くなりそうな感覚に陥って足元がフラッとする・・・。

(最悪だ・・・)

携帯には、ずっと以前に雄大が撮影してくれた真由ちゃんの・・・胸の谷間がクッキリと映ったあの写真が映し出されていた。

「真由だよね・・・それ・・・」
「・・・」
「そんな写真、兄貴には撮れっこないでしょ・・・撮ったのは雄大だよね・・・」
「・・・」
「グスっ・・・スンっ・・・」

僕らを問い詰める明日香の声の合間に真由ちゃんの泣き声が聞こえる・・・そしてそれはどんどんと大きくなっているようだ。

「ご、ごめん・・・」

僕はいたたまれない気持ちになって真由ちゃんへ謝った。

「悪かったよ・・・」

それから僕に釣られるように雄大も謝る。

明日香の話によると、学校へ僕の携帯を持っていった彼女は、それを使ってクラスの娘たちの写真を撮って遊んでいたようだ。
明日香も真由も自分の携帯をまだ持っていない。
高校生になったら買ってあげると言うのが彼女達の両親の取り決めのようで、僕と雄大も高校に上がるまで携帯は持っていなかった。

そんな彼女達だから、たまたま手にした僕の携帯で遊んだ事は仕方がないのかもしれない。

僕は真由ちゃんの写真5枚を別なフォルダに分けて保存しておいたのだが、まさか明日香や真由ちゃん本人の目に触れるとは思っていなかったから、隠しフォルダに保存するような事はしていなかったのだ。

写真を見つけたのは真由ちゃんだった。
彼女も携帯の操作になれていないから、今、撮影したばかりの写真を確認しようとしているうちに、そのフォルダを開いてしまったようだった。

「冗談にしても酷すぎるよね・・・この写真・・・」

明日香が言った。
僕は何も言い返せない。
明日香の言う事が全面的に正しいのだ。

「真由も何か言ってやりなよ・・・撮られたのは真由なんだからさ・・・」

僕は真由ちゃんの写真5枚と引き換えにした明日香の写真はとっくに削除していた。
もしあの写真も保存されていたら、明日香の怒り様なこんなものじゃなかったかもしれない。

「た、拓兄ちゃん・・・どうして・・・?・・・どうして・・・あんな写真・・・」

真由ちゃんが消え入りそうな涙声で僕に向かって言った。

「そ、それは・・・」

僕はチラッと雄大の方を見た。

雄大は相変わらず所在無さげに窓の外をボンヤリと眺めている。
元々、この話・・・明日香の写真と真由ちゃんの写真を交換しようと持ちかけてきたのは雄大だ。
だけど、その写真を後生大事に保存して、どうしようもなく性欲を持て余した夜に、それを使ってあらぬ妄想に耽っていたのは僕だ。

(今更、雄大のせいにする訳にもいかないよな・・・)

「真由ちゃんが・・・可愛いから・・・つい・・・雄大に撮ってもらったんだ・・・」

僕は腹を決めてそう言った。

「か、可愛いからって・・・こんな写真撮って良いと思ってんの!?」

明日香が間髪入れず僕にそう突っ込んでくる。

「いや・・・反省してる・・・ごめん・・・今すぐ消すから・・・写真」
「消せば良いってもんじゃないけど・・・どうする?真由?」
「消して・・・欲しい・・・」
「う、うん・・・」

僕は素早く携帯電話を操作して、長い事お世話になった真由ちゃんの写真を消去した。

「誰かに・・・見せた?・・・その写真・・・学校とかで・・・他の男の子に・・・見せた・・・?」

真由ちゃんはそう言いながら再び肩を震わせるほどに泣き出した。

「み、見せる訳ないよっ!こ、こんな写真っ・・・誰にも・・・僕と雄大しか見てないっ!ホントだよっ」

僕は真由ちゃんに慌ててそう言い訳する。

「ホントに・・?・・・」
「ホントだよっ・・・ほ、他の奴に真由ちゃんのこんな姿なんか見せるもんかっ」

僕は一生懸命言い訳した。

「ま、それは信じるとして・・・他に無いでしょうね?」

明日香が僕にそう凄んできた。

実はまだ明日香の同じように卑猥な写真を雄大が保存している可能性がある。
僕はまた雄大へ視線を向けたけど、彼は同じように窓の外に視線を向けたままだったから、その事は言わない事にした。

「も、もうないよ・・・これで全部だから・・・もう、消したから・・・」

僕がもう一度そう言った時、突然真由ちゃんが立ち上がった。
そして何も言わず・・・僕に視線をチラリと向けただけで雄大の部屋から出て、すぐに自分の部屋へ入ってしまった。

「あ~あ・・・真由を本気で怒らせると面倒だよ~・・・?」

明日香がそう言って僕に追い打ちをかける。

「ま、今日は何を言ってもダメだろうから、またそのうちにきちんと真由に謝りなよっ!いい!?兄貴っ!」
「う、うん・・・そうするよ・・・」


僕達はその日、再び4人揃う事なく雄大の部屋を後にした。

「全く・・・兄貴もバカだね・・・ああ言うの・・・真由が一番嫌いだって知ってるでしょ!?」

帰りしな、明日香は僕にそう言った。

僕は夕食の後で、自室で1人になってから、こんな事で僕の大切な初恋が終わってしまった事に人知れず涙を流した。


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Date:2012/01/08
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