…あられもない姿…
「あ~・・・さっぱりぃ、兄貴・・・次、入って良いよ~」
明日香が浴室から出てきた。
今日もTシャツにノーブラ、下は薄いブルーのショーツ一枚で歩き回っている。
――パシャっ
僕の携帯から撮影音が聞こえた。
もう心臓はドキドキを通り越してバクンバクンしている。
だが、明日香が冷蔵庫を開ける瞬間に合わせてシャッターボタンを押した事で、彼女は撮影音には気が付かなかったようだ。
僕は何気なく今撮影したばかりの写真を見直す。
冷蔵庫を開ける明日香の後ろ姿・・・ショーツのお尻の右側の部分が少し捲れて白い尻肉がはみ出ている・・・狙った訳ではないが、これは・・・雄大が喜びそうなショットだ。
(やっぱ一枚じゃダメだろうな・・・)
雄大のこの写真の用途を考えると、これ一枚きりでは許してくれないだろう。
それに彼は真由ちゃんの写真を「何枚か」撮影済みだと言った。
僕も同じように「何枚か」撮影しなければならないに違いない。
――パシャっ
僕は再びシャッターボタンを押した。
「おおぅっ!ビックリした・・・何撮ってんのよ」
今度は明日香にも撮影音が聞こえたようだ。
「あ、ああ・・・何か携帯の調子が悪くてさ・・・上手く写らないんだ・・・修理に出さないとダメかも」
僕はそう言って誤魔化す。
「ふ~ん。でも携帯持ってるだけ良いじゃん・・・私と真由なんてさ、お母さん同士が高校生になるまで持たせないって・・・訳の解んない約束しているお陰で買ってもらえないんだよ~?」
「俺だって中学の時は持ってなかったよ」
「兄貴の時とは違うんだってっ!クラスの子も半分くらいは携帯持ってるよ」
「そうなのか?」
――パシャっ
僕はそう言いながら明日香の正面の姿を撮影した。
「ちょっと、今のは私写っちゃったんじゃない!?やめてよ、こんな格好してる時に~」
「携帯の調子悪いって言っただろ・・・何にも写ってないんだって」
「それなら良いけどさ~」
僕は明日香に嘘を言いながら、今撮った写真を確認する。
居間の明るい照明に照らされて、明日香のTシャツにノーブラ、薄いブルーのショーツ姿が正面からキレイに写っている。
「万一写ってたら消してよね・・・恥ずかしいから」
「解ってるよ」
「まったく、だいたい女の子のこんな姿でテスト撮影するなんて、神経疑うよ」
「お、女の子って・・・」
「なによ~私が女の子じゃないとでも言いたいの!?」
「い、いや・・・そんな事ないよ・・あ、雄大がさ・・・明日香が急に女の子らしくなったって褒めてたよ」
「雄大が?」
明日香は満更でもなさそうな顔になった。
妹とケンカになるのを回避するためにとっさに出た言葉だったが、明日香としても悪い気はしなかったらしい。
「うん、明日香に彼氏でも出来たんじゃないかって言ってたよ」
「で、兄貴は何て言ったの?」
「ん?・・・ああ、そんな話は聞いてないから彼氏なんて居ないだろって答えたけど?」
「ふ~ん・・・」
明日香はそれっきり黙ると、さっさと自室へ行くために居間を出て行こうとした。
(あ・・・まだ3枚しか撮ってないけど・・・)
3枚で雄大が満足するかどうかは解らないけど・・・こんな寿命の縮まる思いをするのはもうごめんだ。
そんな事を思っていると、明日香が居間の出入り口で立ち止まって振り向いた。
「兄貴・・・私、彼氏・・・居るからね」
僕は一言だけ行って2階へ上がっていく明日香の足音を1人で聞きながら、雄大にこの事をどう伝えるか考え始めていた・・・。
※※※
明日香に彼氏が居る。
図らずも雄大の知りたがっていた情報を入手したが、それは雄大にとって望む情報ではあるまい。
僕は今しがた撮影したばかりの明日香の写真をメールに添付し終わった後で、この事をどうメールに書き込むか迷ったが、雄大には回りくどい言い方はダメだ・・・。
《明日香の写真を送ります。それから、明日香には彼氏が居るみたいです。》
この一文だけを沿えて、思い切って送信ボタンを押した。
彼は明日香の写真を今か今かと毎日待っていたのだろう。
僕がメールを送信すると、数分と間をおかずにメールが返信されてきた。
《やっぱり彼氏居たのか。そうじゃないかと思ったよ。約束の真由の写真送るわ。拓也は3枚だけだったけど俺は5枚撮ったぜ。2枚はオマケでくれてやるよ》
平静を装った返信内容だったけど、付き合いの長い僕には解る。
これでも雄大は落ち込んでいるのだ。
具体的には《そうじゃないかと思ったよ》の部分だ。
雄大はこんな言葉使いは普段しないしメールの時も他の文面のように《~ぜ》とか《~だわ》と書き込む。
従って雄大が《そうじゃないかと思った》のは嘘と言う事になる。
僕がそこまで考え終った時、添付されてきた5枚の写真すべての転送が完了した。
僕は逸る気持ちを落ち着かせながら、携帯を持って自分の部屋へ戻る。
雄大が真由ちゃんのどんな写真を撮ったのか解らないが、居間で堂々と見る事が出来るような写真ではあるまい・・・そう思ったのだ。
――バタンっ
僕は落ち着いていたつもりだったけど、部屋のドアはうるさい音をたてて閉じた。
部屋の灯りを消してから携帯に目を向ける。
別に1人きりなのだから灯りを消さずに見ても良いのだが「悪い事をした」と言う気持ちが僕にそうさせた。
画面をスクロールさせて1枚目の写真を見る。
そこには真由ちゃんが写っている。
だけど、僕が見る制服や私服に包まれた彼女ではない。
さっき僕が雄大に送った明日香の写真と似たような構図でTシャツ一枚に黄色い下着姿の真由ちゃんの姿だ。
お風呂上りだと思われる真由ちゃんは、今時珍しい肩まである長い黒髪をアップにして首筋が見えている。
普段は髪に隠れて見えないそのうなじだけでも僕は興奮する。
しかし、その下・・・白いTシャツを盛り上げる胸・・・。
余計な衣服を身につけていない分・・・と言うか、その感じからおそらくブラジャーも身につけていない分、はっきりとその形状が解る。
(や、やっぱり大きいな胸・・・)
僕はもっとその写真を見ていたかったけど、他に4枚も添付されてきている。
そちらを見るのが優先だ。
次の写真へ携帯を操作する。
2枚目は前屈みになった真由ちゃんを後ろから撮影してあった。
どうやら冷蔵庫の下の方にあるものを取り出そうとしているようで、さっきみた黄色い下着に包まれた尻が前屈する事でこちらに突き出されている。
妹の明日香はスリムな体型な分、尻も小さい。
だけど真由ちゃんのそれは明日香よりも少し肉付きが良く丸みを帯びていて・・・一言で言えば「女の子らしいお尻」だ。
さらに次の写真へ進める僕。
(ん?・・・なんだこれ?)
一瞬その写真が何だか解らない。
黄色い紐状の物に付いたタグを撮ったようだ。
タグにはDと書いてある。
(さ、サイズだ・・・ブラジャーの・・・)
3枚目の写真には真由ちゃんは写っていなかった。
どうやらお風呂場かどこかで、雄大が真由ちゃんのブラジャーだけを撮影したようだ。
(ディ、Dカップ・・・やっぱり・・・大きい・・・)
中学生にしては巨乳と言って良いサイズに何故だか満足感が込み上げる。
「つ、次・・・次・・・」
僕は独り言を口にしながら写真を進める。
(う、おぉっ・・・)
僕は心で叫んだ。
携帯には真由ちゃんの寝姿が写されている。
部屋の中が明るい所を見ると、朝にでも撮影されたものだろう。
(あいつ・・・早起きしてまでこんな写真撮ったのか・・・)
ゴロリと横になって眠る真由ちゃんを上半身側から撮影しているその写真は、構図の妙のお陰で彼女の胸にハッキリと刻まれた谷間が写っている。
(ゆ、雄大・・・もしかしてこういう才能あるんじゃ・・・)
僕は変な事に関心しながら写真を次に進める。
次が5枚目・・・最後の写真だ。
(こ、これはまた・・・・)
最後の写真も同じ時に撮影されたようで、真由ちゃんはゴロリと寝転んでいる。
しかし今度は構図が足元からなので、さっき見たお風呂上りの写真に写る黄色い下着が一晩かけて尻に食い込んでいる・・・。
やはり丸みを帯びて女の子らしい彼女のお尻・・・これだけみたら中学2年生の身体には見えないに違いない。
僕はもう一度1枚目から順に写真を見た。
それから、携帯を握りしめてベッドに潜りこむ。
(真由ちゃん・・・ごめん・・・ごめんよ・・・)
僕は左手に携帯、右手に自分の硬くなったモノを握りしめたままで、心の中で彼女に詫びながら、ゆっくりと手を上下に動かし始めた・・・。
≪
前へ /
次へ ≫
Information