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凛 騎 応 変!

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□ 妹遊戯~二組の兄妹~(完結) □

第2話 …犯罪なんじゃ・・・…

…犯罪なんじゃ・・・…



「なぁ・・・明日香ちゃんに訊いてくれたか?」

雄大が僕の方を見もせずにマンガを読んだ姿勢のままでそう言った。

「なにを?」
「何をって・・・彼氏の事訊いといてくれって言っただろ?」

(本気だったのか・・・)

雄大の言う事はその殆どが気まぐれで、こっちが真面目に考えていても当の本人がすっかり忘れている・・・と言う事が良くあった。

だから僕は今回の明日香の事も雄大の気まぐれに違いないと思って気にも留めていなかったのだ。

「ああ、忘れてたよ・・・」

僕は正直に雄大に向かってそう言った。

「頼むよ~拓也ぁ~・・・俺、最近ヤバいんだって」
「ヤバい?」
「明日香ちゃんが知らない男に色々されてると思うと堪んないんだよ~、夢にまで出てくるんだぜ」
「そ、それは結構末期症状だね」
「だろ!?だからハッキリさせたいんだよ、明日香ちゃんに彼氏がいるのかどうか」
「そんな事言われてもな~」

僕は返答に窮した。
僕と明日香は兄妹仲が悪いと言う訳ではないが、いくらなんでも唐突に「おまえ彼氏出来ただろ?」と訊くのはちょっと気が引ける・・・。

「俺さ・・・最近さ・・・」

雄大は急に声を低くして言った。

「最近さ・・・明日香ちゃんで抜いてばっかなんだよ」
「ぬ、抜くって・・・」

僕は口にしていたペットボトルのお茶を吐き出しそうになるのを寸での所で堪えて言った。
今、ここには明日香は勿論、真由ちゃんも居ない。
だけど、たまたま2人は真由ちゃんの部屋で明日香が買ったCDを聞いているだけだ。

雄大の聞く音楽とは根本的に違うから真由ちゃんが遠慮して自分の部屋へ明日香を連れて行って聞く事にした・・・ただそれだけで、音楽を一通り聞けばまた雄大の部屋へ戻って来るかもしれない。

そんな状況でこの話だ。

「解るだろ?抜くってのはおまえ・・・そう言う事だよ」
「い、いや・・・解るけど・・明日香だよ?」
「そうだ、明日香ちゃんだ、俺は明日香ちゃんを想像して抜いてばっかりなんだ・・・ここ最近」
「ま、マジで!?」
「こんな事、嘘ついても仕方ねぇだろが」

正直言って想像もしなかった、当然だが明日香を想像してオナニーをすると言う発想自体が僕にはない。
だが冷静になって考えてみるとおかしなことではない。

僕だって、真由ちゃんを想像して同じ事をするのだから・・・。

「そ、そんなに明日香がいいの?」
「どうなんだろな・・・自分でも解んねぇよ。ただ前も言っただろ?他の男に取られると思うと何だか変な気分になるんだよ」

雄大は昔から不器用な奴だ。
こいつはこいつなりに自分を分析しているのだろうが、まだ自分では気が付いていないのだろう・・・「他の奴に取られたくない」・・・それを「好き」と言うのだ。

雄大は良い奴だ。
それに僕と違って頼りになる男だ。

明日香は僕の大切な妹だし、変な意味じゃなく可愛いと思う。
だけど雄大が彼氏になるのなら安心だ。

そう思うと何だか僕まで明日香に彼氏が居るのかどうか気になってきた。
考えてみれば、明日香の彼氏になると言うなら少しは僕とも接点が生まれるかもしれない。

(ロクでもない奴だったらイヤだな・・・)

雄大と話しているうちに僕もそう思うようになったのだ。

「で、頼みがあるんだけどよ・・・」

僕がボンヤリ考えていると雄大が突然そう言った。

「なに?」
「明日香ちゃんの・・・写真、携帯で撮ってきてくれよ」
「そんなもん、いっぱい持ってるよね?」
「そうじゃねぇって・・・解るだろ?」
「なにが?」
「そんな普段の写真じゃなくてよ、兄貴なら撮れるような・・・そう言う写真だよ」

それでも僕は雄大が何を望んでいるのか良く理解できなかった。

「解んねぇかなぁ~だからよ・・・その・・・夜、使えるような写真が欲しいんだよ」
「夜・・・?」

これでもまだ僕はピンと来ない。

「だぁ~!・・・だからよ~・・・薄着の写真とか・・・風呂上りとか・・・そう言うの・・・兄貴なら撮れるだろ?」

ようやくピンと来た。
つまり雄大は「夜のオカズ」になるような写真を携帯で撮って自分に送れと言っているのだ。

「で、出来る訳ないだろっ!」
「何でだよ~、親友の頼みだろ~・・・絶対他の奴には見せないからさ~」
「ムリムリムリっ!絶対無理っ・・・だいたいそんなの犯罪じゃないか」
「そうかもしんないけどよ~、兄妹なんだから大丈夫だって・・・」
「無理だよ~」
「じゃあ、こうしようぜ・・・俺は真由の写真撮るからよ・・・それと交換でどうだ?」
「ば、バカな事言うなよっ」
「なんでだよ?・・・おまえ真由の事好きだろ?」

僕は雄大の言葉に固まった。
確かに僕は小学生の時からずっと真由ちゃんの事が好きだ。
だけどそれは誰にも話した事がない・・・勿論、妹の明日香にもだ。

「解んないと思ったか?・・・バカだな、そんなの見てれば解るぜ?・・・明日香ちゃんと2人の時にそう言う話になる事だってあるし、気付いてないのは当の真由だけじゃねぇか?」

僕は焦った。
雄大だけでなく、明日香にまで僕の気持ちを悟られているとは・・・。
あいつは口が軽い。
真由ちゃんに余計な事を言っているんじゃないだろうか・・・。
それが心配でたまらない・・・。

「だからよ・・・俺が真由の際どい写真撮ってやるからよ、明日香ちゃんの写真と交換しようぜ・・・な?」
「だ、だけど・・・明日香は薄着で家の中ウロウロしたりするけど・・・真由ちゃんはそんな事しないだろ?」
「そんな事無いぜぇ~。それは幻想ってもんだ。真由だって家に居る時はなかなか際どい格好でウロウロするぜ?あいつ無駄に乳デカいだろ?どうしても目が行くんだよな・・・」

確かに真由ちゃんは胸が大きい。
中学2年生だけど、高校1年の僕の同級生の女子よりもずっと大きいくらいだ。

「なぁ~頼むよ~、拓也だって真由の写真欲しいだろ?」
「う・・・」

そんな事はいけない・・・犯罪だ。
それは解っている。
だけど、さっきまでと違って、今の僕の頭の中には真由ちゃんのあられもない姿が浮かんでしまっている。

想像じゃなく、それを実際に見る事が出来るかもしれないチャンス・・・。

気が付くと僕は雄大に向かって小さく頷いていた。

「よっしゃっ!!慌てなくてもいいから、ちゃんと使えるやつ撮ってくれよな!それと、彼氏が居るかどうかも訊いてくれよっ!忘れんなよっ!」

「何が忘れんなよなの?」

突然明日香と真由ちゃんが雄大の部屋に入ってきた。
どうやら買ったばかりのCDを聞き終えたらしい。

「あ、いや・・・何でもねぇよ」

雄大が慌てて明日香にそう言った。

それからはいつものように4人で笑い話をしながら雄大が録画した昨晩のテレビなんかを見た。

だけど、僕はテレビの内容なんかこれっぽっちも頭の中に入ってこない。

椅子が一脚しかない雄大の部屋の床に女の子らしく脚をWに崩して座る真由ちゃんの姿・・・帰宅してから着替えてもいないから可愛らしいセーラー服のままだ。

首に結ばれたセーラー服のスカーフの先が胸元に垂れている。
それが首から真っ直ぐに垂れないで、彼女の盛り上がった胸の上に乗っかっている。

(この中を実際に見る事が出来るかもしれないんだ・・・)

その甘い誘惑は僕の心をガッチリとキャッチしてしまった。

「拓兄ちゃん・・・どうしたの?」

僕は相当難しい顔をしていたらしく真由ちゃんがそう訊ねてきた。
僕は真由ちゃんに「拓兄ちゃん」と呼ばれている。
その呼び方も可愛らしくて、僕の胸をドキドキとさせるのだ。

「あ、いや・・・何でもないよ」
「そう・・・なんか・・・難しい顔してた・・・よ」

呼び方は「拓兄ちゃん」と言う親しげな呼び方だけど、真由ちゃんは筋金入りの人見知りだ。
10年以上も一緒にいる僕にすらまだハッキリとものが言えない事があるくらいなのだ。
そんな頼りなさげな所も僕は可愛いと思っている。
男顔負けの図太さを持つ、どっかの妹とは大違いだ。

「ん、テレビ見て・・・考え事してたんだ・・」
「考え事って・・・これお笑い番組だよ?・・・変な拓兄ちゃん・・・」

真由ちゃんはそう言ってニッコリと笑う。

(か、可愛い・・・)

僕は真由ちゃんのその笑顔を見て、明日香を犠牲にして彼女の写真を入手する事を決意した。



※※※



(難しいもんだな・・・)

第1に携帯で写真を撮るときには、マナーモードにしていても「パシャっ」とか「ピロリロリンっ」と言う音が出る。
雄大のような不届きものが安易に被写体に内緒で写真が撮れないように配慮されているのかもしれない・・・まぁ、今は僕も人の事は言えない訳だけど・・・。

第2に、やっぱり心の問題だ。

いくら妹とは言え、風呂上りや寝起きなんかのあられもない姿を内緒で撮影するなんて事は犯罪だ。
どうしても気が|咎《とが》める。

第3に、これも心の問題だけど、この写真が真由ちゃんの写真との交換条件になっていると言う事だ。

勿論、雄大は真由ちゃんの兄だから、彼が真由ちゃんのあられもない姿を眼にするのは仕方がない。
だけど、僕にとってはちょっと古臭い言い方だけど真由ちゃんは「天使」のような存在だ。
この写真を撮って雄大に送る事で間接的にその天使を汚す事になる・・・勿論、汚すのはほかならぬ僕だ。

この3つが心の|足枷《あしかせ》になっていて、僕はもう数週間も明日香の写真を撮れずにいた。

最初は「ゆっくりで良い」と言っていた雄大も、だんだんと待ちきれなくなっていて、最近では僕の顔を見るたびに「まだか」と催促する。
そして自分はもう真由ちゃんのあられもない姿を何枚か撮影済みだとも・・・。

(き、今日こそ・・・撮んなきゃ・・・)

僕は訳の解らない使命感を感じてしまっていた。

明日香が浴室から出てきた時に台所へ寄って水を飲む事は解っている。
冷蔵庫が真正面になる位置に身体を置いて、何となく携帯をいじっている振りをしながら僕は彼女が来るのを待っていた・・・。


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Date:2011/12/26
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