果てたばかりでグッタリとしている妻を組み伏せるようにして、坂井君は猛烈な勢いで腰を振り始めた。
――パンパンっ・・・
彼の腰が妻の秘部を打つ音がハッキリとモニター越しに聞き取れる。
「あっ・・・あぁ・・・あぁ・・・」
さっきまでの歯切れの良い喘ぎ声とは違う、糸を引くような妖しい喘ぎ声をあげる妻。最初に正常位で挿入された時には、シーツを掴むようにしていたけれど、今は、両手もダラリと開いたまま、ただ、彼の動きに合わせてユサユサとベッドに揺られている。
――パンパンパンっ・・・
尚も激しく腰を打ち付ける坂井君。
その動きを見ているだけで、彼もフィニッシュを迎えようとしている事が容易に想像できる。
「あぁ・・・あぁぁ・・・っ」
力ない喘ぎ声をあげる妻。
彼女は、イッてすぐに行為を再開すると、こうした力ない喘ぎ声をあげるのが常だ。しかし、気持ち良くない訳ではない。
逆に1度果ててしまうと、膣内が敏感になってしまうらしく、通常はゆっくりと近づいてくるはずの快感の波が、猛烈な勢いで一気に盛り上がってくるのを感じるらしい。
にも関わらず、喘ぎ声に迫力がなくなる事を「なぜか?」と訊ねた事がある。その時にはハッキリとした返答は得られなかった・・・と言うより、本人にも解らないようだ。とにかく、彼女にはそうしたクセのようなものがあるのだ。
「あ・・・やべっ・・・」
と、射精に向けて、激しく腰を打ち付けていた坂井君が、急にその動きを緩めて、ゆっくりとした腰の動きに変わった。
(出ちゃった・・・のかな?)
一瞬、何が起こったのか解らず、ただ彼のセリフから、思いがけず射精してしまったのだろうかと想像する僕。
だが、それは違った。
「奥さん・・・」
坂井君は、腰の動きはゆっくりと続けたままで、眼下で揺れる妻に声をかけた。
「あぁ・・・っ・・・あぁ」
返答せずに、ただ、力なく喘ぎ続ける妻。
しかし、この距離で聞こえないはずもない。坂井君は言葉を続ける。
「孝介さんに、顔に出せって言われてるんですけど・・・いいっすか?」
「あぁ・・・あっ」
「奥さん・・・顔に出してもいいっすか?」
「・・・・・」
話しかけられて、現実世界に引き戻されたのか、綾乃の口から妖しい喘ぎ声が消えた。
「あ・・・顔・・・?」
それから、やっと、そう言葉を返す。
「孝介さんが、最後は顔に出して欲しいって言ってたんすけど・・・奥さんにもOKもらってるって言ってましたけど、聞いてません?」
「あ・・・あの・・・聞いてる・・・けど」
「じゃ、いいっすか?俺、そろそろヤバい感じなんで」
「あ、でも・・・」
「目は瞑っててくださいね、俺、女の人の顔になんか出した事ないんで、目を避けるとか無理っす」
「あ・・・その・・・あっ・・・あぁっ・・・」
何か言いかけた綾乃。
しかし、その言葉は言葉にならずに喘ぎ声に変わった。
――パンパンパンッ・・・
坂井君が、自分の言いたい事だけ言い終えると、すぐさま激しく腰を動かし始めたからだ。
「あっ・・・あっ・・・あっあっ」
会話のインターバルのお陰か、綾乃の喘ぎ声に力が戻ってきた。
歯切れよく、気持ち良さそうな声を上げる妻の姿に、僕の興奮も盛り上がる。
――ゴトっゴトっ
雑音の後で、映像が大きく乱れた。
坂井君がカメラを手に取ったようだ。
(よく解ってるじゃないか)
内心、そう思う。
今までの引きの映像も悪くなかったが、妻の顔が僕以外の男の精液に塗れる所は、やはり寄りの映像できちんと見たい。
「あっ・・あっあっ・・あっ」
坂井君が激しく腰を動かしているから、映像はお世辞にもキレイとは言えなかったけれど、モニターには、彼の激しい抽送運動でユサユサと揺れる妻の乳房がきちんと映っている。
――パンッパンッパンッ・・・
「奥さん・・・出そうっす・・・出しますよ・・・目・・・閉じて・・・っ」
「あっあっ・・・あ・・・え?」
「目・・・閉じなきゃっ」
「あ・・・はいっ」
再び映像は大きく乱れた。
ゴソゴソと言う音は聞こえるのだが、何をしているのか全く分からない。
少しだけ間があって、モニターには目をギュッと硬く閉じる妻の顔と、その顔の上で自分のモノを扱く坂井君の手が映った。
(そう言えば、コンドームしてたから、それを外すのに手間取ったんだな、きっと)
いくら、妻が他人に抱かれる所を見たいとは言え、さすがに妊娠は困る。避妊はきちんとしてくれるように、前もって彼には言ってあった。
しかし、顔射をしようとするなら、コンドームは邪魔だ。
一瞬、カメラが大きく動いて、何だか解らない映像になったのは、コンドームを外すためにカメラに意識がいかなくなったためだろうと予想できた。
「奥さん・・・ちょっと・・・舐めて・・・」
今まさに、最愛の妻の顔が精液で汚されようとしているのを見て興奮していた僕の興をそぐように、彼が言った。
(早く、出しちゃえよ)
ところが、彼のモノからは、射出されるはずの精液が一向に出てこない。
「奥さん・・・舐めてください」
坂井君の2度目のお願いで、綾乃は小さく口を開けて、舌を出した。
その舌に先端部を押し付けるようにしながら、右手で自分のモノを扱く坂井君。
どうやら、コンドームを外したり、妻の顔まで移動している間に射精感が遠のいてしまったようだ。
(・・・しかし、コレはコレで・・・いいかも)
眼を瞑ったまま、控えめに開けた口から舌を出す妻。
その舌を、文字通り「使う」ようにして、射精しようとする坂井君。
「奥さん・・・も、ちょっと・・・舌・・・動かして」
尚も、自分自身のモノを扱きながらそう言う坂井君。
――チロチロチロっ・・・
眼を瞑ったままだから、ただ、やみくもに舌を動かすしかない妻は、それでも上下にチロチロと舌を動かす。
「あぁ・・・気持ちいいっす・・・」
「・・・・・」
「出しますよ・・・奥さん・・・イキますよ・・・イキますよ・・・んっ・・んっ・・・ふっ」
綾乃の舌の動きが良かったのか、彼は無事射精した。
射精の瞬間、映像はやや乱れたものの、僕の期待した瞬間はきちんと映っていた。
「んっ」と腹の底から呻くような声と共に、ビュッと一筋の線が妻の顔へ向けて放たれた。最初の一筋は勢いが良すぎて、妻の顔にはあまりかからず、額と髪を汚した。
「んっ」と立て続けに2回目の呻き声と共に放たれた精液は、最初の射精よりも少し勢いを失って、妻の瞼と鼻を汚す。
「ふっ」と最後の絞り出すような呻き声と共に、更に勢いを失った精液が放たれる。その精液は鼻の下を汚し、彼のモノを舐めるために小さく開いていた口内へ流れ込んだ。
それを受けて、慌てて口を閉じる妻。
ピッ、ピッと小刻みに2度放たれた微量の精液は、その閉じた唇を精液で汚した。
「はぁ・・・はぁ」
坂井君の息遣いだけが聞こえる映像。
しかし、映っているのは、坂井君ではなく、多量の精液を顔に受けた妻の姿だ。
ただ目を閉じてモニターに映り続ける妻。
綾乃の顔にブチまけられた精液は、やがて重力に従って、彼女の頬へと流れだし、さらに顔の広範囲を汚した。
ただただ、汚れた妻の顔と、ギュッと眼と口を硬く閉じた表情を、ややしばらく撮影した後で、映像は一旦終わった。
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