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凛 騎 応 変!

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□ 姉遊戯(完結) □

第23話 …母の覚悟…

あの後、姉が目を覚ますのを待って話し合った後で、いつまでも2階に籠城している訳にもいかないと言う、当然の結論に達した僕たちは2人で思い切って階下へ降りて行った。

「あ、おはよう・・・朝食・・・食べるでしょ?・・あぁ、もう昼食ね・・・」

母は少し元気がないようにも見えたが、昼近くに起きてきた僕等にいつもの軽口を叩いただけで、僕らが心配する「あの事」には触れてはこなかった。

父は朝早くにゴルフへ出かけて行ったらしく、僕等が起きてきた頃にはとっくにその姿は無かった。

(バレてないみたいだな・・・良かった・・・)

僕は心底そう思って安心した。

「優奈・・・」

母が姉へ話しかけた。

僕は自分の名を呼ばれた訳ではなかったけれど、一瞬ドキッとする。

「なに~?」
「あんた昨日何時に帰ってきたの?」
「解んないな~・・・1時か・・2時くらいかな~」
「もう良い大人なんだから遅くなるのは構わないけど、少し静かに入ってきなさいよ」
「あ、うるさかった?・・・ごめんなさ~い」
「少しね。お陰でお母さん、目が覚めちゃったんだから・・・」

え?今なんて?・・・目が覚めた?・・・そう言ったのか?
姉が帰宅した物音で母の目が覚めた・・・そう言ったのか?

とすると・・・昨晩・・・僕と姉が興奮に塗れて互いに快感に酔いしれていた時に母は起きていた・・・そう言う事になるのか?

事の重大さに姉もすぐに気が付いたようだった。

それまで飄々とした顔で母との会話に応じていた姉の表情もさすがに固まる。

「お、俺も・・・姉ちゃんが帰ってきた音で目が覚めたよ・・・」

僕はその場の空気にいたたまれなくなって、そう口を挟んだ。

「それも知ってるわよ・・・あんた達、風呂場で話してたでしょ?」

それも知ってるのか・・・。

僕は母がどこまで僕等の事に気が付いているのか確認したくなった。
いや、確認しなければならない・・・そう思った。

「あ、うん・・・翔太が心配して様子見に来てくれたのよ・・・」

姉も表情にこそ出さないものの慌てているようで、僕と母の間にそう割って入る。

「それで・・・母さん、朝まで眠れなかった・・・とか?」

僕は母にそう訊ねた。

――カチャン・・・

母が台所仕事をする手を止めた。

それから、静かに顔をあげて、居間にいつ僕たちへ視線を向ける。

「朝まで眠れなかったわけじゃないわ・・・でも・・・しばらく起きてたのよ・・・お母さん・・・」

母は、ゆっくりとそう言って、僕と姉の顔を交互に見た。

「ふ、ふ~ん・・・そっか・・・」

僕は母から目を逸らしながらそう答えた。

「それだけ?・・・」
「え?」
「他にお母さんに言う事はないの?・・・翔太・・・」

母は尚も僕と姉から視線を逸らさずにそう言った。

「他にって・・・」

「言ったでしょ?・・・お母さん、あの後起きてたのよ・・・しばらく。お父さんは何も気が付かないで寝てたけど・・・お母さんは起きてたの・・・」

(バレている・・・)

僕は母のセリフと様子から、昨晩のことがバレている事を悟った。
隣を見ると、姉も真っ青な顔で母から目を逸らしたまま立っていた・・・。



※※※



「いつから・・・なの?・・・」

僕と姉は二人掛けのソファに並んで座っていた。
その向かいのソファには母が1人で座って、僕と姉にそう訊ねてきた。

「・・・。」
「・・・。」

ついに恐れていた事が現実になった。
母に、僕たち姉弟の関係がバレてしまったのだ。

「いつからなの?って・・・訊いてるのよ・・・」

ふと隣に座っている姉を見ると、膝の上に置いた手が小刻みに震えている。

(俺がしっかりしなきゃ・・・)

「4、5年前くらい・・・」

僕は声を振り絞るようにそう母に答えた。

「し、4、5年前って・・・あんた達、中学生と高校生じゃない・・・」

母はそう言って驚いた様子も見せたが、その反面で「やっぱりね」と言う雰囲気も見せた。
僕たちは今日まで、少しの疑いもかけられないように気を付けてきたつもりだったけど、さすがに母親ともなると感じるものがあったのだろうか。

「うん・・・俺が中2の時から・・・」
「ホントなの?・・・優奈・・・」

姉は黙って頷いた。

「だって・・・優奈、大学の時にお付き合いしていた男の子が居たでしょ!?」
「うん・・・あの人とは別れた・・・」

「俺が姉ちゃんに別れるように言ったんだ。姉ちゃんの事が好きだから・・・」

僕は姉と母の会話に割って入った。

「お姉ちゃんを好きなのは構わないのよ・・・翔太・・・。優奈も良く聞いて・・・」

母は怒る風でもなく優しく諭すように僕と姉の顔を見て言った。

「姉弟仲が良いのは悪い事じゃないわ・・・。でもね、あなた達が昨日の夜していた・・・その・・・ああ言う事は・・・姉弟でしてはいけない事なのよ・・・解るでしょ?」
「SEXの事?」

僕は間髪入れずに言った。

「そ、そうよ。せ、SEXは姉弟でするものじゃないの・・・」
「でも、俺は姉ちゃんが好きなんだ。姉ちゃんだって俺の事好きだって言ってくれる・・・好きな者同士がSEXをするのは普通でしょ?」
「それはそうだけど・・・でも、あなた達は姉弟なのよ・・・」

話は堂々巡りだった。
母にとっては「姉弟」と言う世間体が大切で、僕と姉にとってはそんな事よりも、2人が一緒にいる事の方が大切だ。
価値観が違うのだから仕方のない事だったのかもしれない。

「お母さん・・・」

ずっと青い顔をして黙っていた姉が口を開いた。

「お母さん・・・私・・・翔太が好き・・・弟としてじゃなくて・・・。大学の時に他の人と付き合ってみて良く解ったの・・・私は翔太の事を弟としてじゃなくて、男性として・・・好き・・・」
「優奈・・・」

顔色は悪かったけど、そう言う姉は真っ直ぐに母を見据えてハッキリとした口調だった。

「お願い・・・私と翔太を離さないで・・・」

それから、大きな目に涙をたくさん溜めてそう言った。
何だか僕も目頭が熱くなったけど、ここで僕まで泣く訳にはいかない・・・必死で堪えた。

僕は顔を上げた。

そして、姉の膝の上にある手を取って、強く握る。

「母さん・・・お願いだよ・・・認めて欲しいんだ・・・」
「な、何を・・・?・・・」
「俺と姉ちゃんが、付き合う事・・・」
「それは・・・だって・・・そんな事・・・」
「もしも、ご近所の目とか親戚の目が気になるって言うなら、俺は姉ちゃんと2人で家を出て行く・・・誰も知らない所で2人で生きて行く・・・親不孝だと思うけど、そうするしかないんだ・・・俺たち・・・」

僕は普段から考えていた事を口にした。
こんな話は姉にもした事がなかったから、隣にいる姉も僕を見上げて驚いた表情を見せた。

「翔太・・・」

その後で、姉は堪えきれなくなったように僕の名を呼んでから、溜めていた涙を流した。
しかし、それ以上に驚いた表情を見せているのは母だった。

「そんな・・・そこまで・・・本気で・・・」
「本気だよ、俺。ずっと考えてたんだ。この世に姉ちゃんより大切なものなんて無い・・・父さんにも母さんにも感謝してるけど・・・それでも俺、姉ちゃんを連れて出て行く」

開き直りと言うのは怖いものだ。

あんなに悩んでいたのが嘘みたいだ。

言ってしまえば何のことはない。そうだ、姉より大切なものなんて無いのだから、バレる前にこうすれば良かったんだ・・・そう思う。

母は無言のままだった。
何も言わないまま、難しい顔をして俯いては上を向き、上を向いては俯いた。

「お母さんね・・・」

それからポツリと話しはじめる母。

「お母さんね・・・優奈と翔太が幸せになってくれれば良いと思ってるの・・・。でも、あなた達が選ぼうとしている道の先に幸せは無い・・・そう思わない?」

僕は黙ってしまった。

同じ事を自分も何度も何度も考えたからだ。
もしかしたら両親や親せき一同から白い目で見られたり、互いの友人ともまともに付き合えなくなるかもしれない・・・本当に2人っきりの人生・・・それが姉にとって幸せだろうか・・・この疑問に一度として答えが出た事は無かったから、母の核心を突いた質問に返答する事が出来なかったのだ。

その時、不意に姉がギュウッと僕の手を握り返してきた。

「思わないよ・・・私。翔太が居れば・・・翔太と2人なら幸せ・・・他の何があったって翔太が居なければ幸せにはなれないよ・・・」

姉がハッキリとそう言った。

「そんな若さに任せて暴走しても後悔するだけだわ・・・」

母はもう「年齢と経験」と言う、自分が確実に勝っている部分でしか僕等に意見が言えなくなっていた。

「それなら、若くなくなるまで・・・俺が大人になるまで黙って見守っていてくれないかな・・・そうして、俺が大人になって・・・それでも考えが変わらなければ2人で生きて行く事を認めて欲しい・・・ダメかな・・・」

僕はまだ高校生で、自分が大人じゃない事は理解している。
考えだって、まだまだ甘いだろう。
だから、母にそう提示したのだ。

「ふぅ・・・・」

母は大きくため息をついて、それから言った。

「解ったわよ・・・解りました・・・あなた達がそう言うのなら、お母さんは2人がどうなるのか見守るわ・・・。」
「母さん」
「お母さんっ」

僕等は母が理解してくれたのだと思って2人揃って歓喜の声をあげた。

「ただしっ!・・・但し、お父さんにはバレないようにして・・・あの人は常識の塊みたいな人だから・・・どれほどのショックを受けるか・・・解るでしょ?」

確かに父は常識人で、なぜあの父から自分が生まれたのか理解できないくらいだ。
僕は黙って頷いた。

「そして・・・もし、あなた達が別れて、互いに他の人と付き合って、普通に結婚して・・・そんな人生を歩むとしたら、この事は忘れる事・・・他の誰にも言わずに、そのまま墓場まで持っていくのよ・・・出来る?」
「そんな事にはならないけど・・・もしそうなったら、誰にも言わないよ」

僕はそう返答し、姉もそれに従って頷いた。

「それから、やっぱりご近所や親戚の目は気になるわ・・・2人が仲良くするのは構わないけど、場所はわきまえて。解るわね?」

僕と姉は続けて頷く。

「それから・・・その・・・アレの事なんだけど・・・」
「アレ?・・・」
「その・・・アレよ・・・夕べの・・・」
「ああ、SEX?」
「そう、それ。避妊だけはきちんとしなさい。優奈・・・あなた自分の身体の事なんだから、しっかりとしなさい」
「はい・・・」

姉はさっきまで青い顔をしていたのに、今度は真っ赤な顔で頷く。赤くなったり青くなったり忙しい顔だ。

「お母さん・・・賛成した訳じゃないのよ。でも、あなた達があんまり真剣だから、様子を見てあげようと思うだけ。お母さんが見ていて、お互いの為にならないと思う関係なら、その時にはお母さんにも覚悟があるわ」
「覚悟・・・?」

「どんな手を使ってでも・・・例え卑劣な手を使ってでも、あなた達を離れ離れにしてみせる・・・お母さんはどんな手を使ってでもあなた達の人生を守って見せるわ」

母は背筋を伸ばし、凛とした顔つきで真っ直ぐ僕等を見て言った。
その表情には母の強さと優しさ、覚悟がハッキリと見てとれた・・・。


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Date:2011/11/23
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