片手に少しだけ余るくらいの妻の乳房。
その柔らかさを手の平全体で楽しむように、ゆっくりと円を描きなら揉む。
ギュッと口を結んで、絶対に声を出すまいとしている姿が可愛らしい。
「は・・・っ」
それでも、硬くなり始めた突起を摘まむように刺激すると、小さな吐息が妻の口から漏れる。
(その口で、さっきまで坂井君のモノを咥えていたんだな)
そんな事を思いながらも、その唇に自分の唇を重ねる。
キスの大好きな妻は、小鳥のように僕の唇にキスを返してくる。
――チュッ、チュっ
そんな夫婦の時間を過ごしながらも、僕は寝室の入り口へ度々視線を向ける。
(まだ覗いていないみたいだな)
そこに坂井君の姿はまだない。
寝室は薄暗いダウンライトの灯りだけだから、普通の視力の僕でも、よく眼を凝らさなければ暗闇の戸外に身を潜める彼の姿は解らないかもしれない。
(外側からは意外と見えるんだよな)
だけど、暗い廊下から、薄明かりの寝室内が意外と見える事を、実は僕は知っていた。断っておくが、僕は露出狂ではないから、決して他人に見られながら行為に耽るのが好きな訳ではない。
出来れば、自分が行為に耽るような姿は知人には見られたくないと思っている。
だけど、それ以上に「行為に耽る綾乃の、あられもない姿を見せたい」と言う思いの方が強いから、その過程で仕方なく自分の格好悪い姿も見せる事になるだけだ。
「あっ・・・」
浴室で着替えて来たばかりのショーツの中に手を滑り込ませると、綾乃は小さな喘ぎ声をあげた。けれど、この程度の声は階下には聞こえないだろう。
(おっ・・・)
驚いたのは、既にそこがヌルヌルになっていた事だ。
「綾乃・・・すごい濡れてるよ」
「こ、孝介が・・・エッチな所触るから・・・」
「いつもより、濡れてると思うけどな・・・」
「・・・・・」
「坂井君にフェラチオしてて興奮した?」
「そんな事ないもんっ」
――ヌチッ・・ヌチヌチっ
「ぁ・・あ」
僕はわざと、その濡れっぷりを解らせるように音を出しながら指を動かした。
また小さく喘ぐ妻。
「ほら・・すごいでしょ?」
「・・・だって」
「だって・・・何?」
「気持ち・・・いい」
――ヌチッ、ヌチッ・・・
「せっかくお風呂も済ませたのに、これだけ濡れていたら下着は交換しなきゃダメだね」
「んっ・・や、いぢわるっ」
僕は、身体の位置を動かして、妻の股間に顔を伏せる。
その間、黙って僕の移動を待つ妻。
――ジュルっ、ピチャピチャピチャ・・・
わざとらしく音を出して、ヌルヌルになった妻の秘部を舐めまわす僕。
その間にも、チラリと寝室の入り口に視線を向けるけど、まだ坂井君の姿は確認できない。
「あっ・・・」
急に敏感な部分を激しく舐めまわされて、思いがけず大きめな喘ぎ声が漏れる妻。戸を少し開けているから、今の声は階下の坂井君にまで届いたかもしれない。
「綾乃、声、我慢しないと・・・」
そんな気はサラサラないくせに、一応、坂井君に声を聞かれたら困る・・・そんなポーズをとってみる。
「だって、じゃあ、もっと優しく・・・して?」
「どうして?」
「声・・・出ちゃうもん」
恥ずかしそうにそう言って顔を背ける妻。長い付き合いなのに、妻は僕の事をまだ理解しきっていない・・・。こんな表情で恥ずかしがられたら、益々、激しく愛撫したくなると言うものだ。
――チュぅぅぅっ、ジュルっ
妻の充血した核に吸い付き、溢れ出た愛液をすする。
「あっ・・・んっ・・うぅ」
また大きめな喘ぎ声を発した後で、自分の手で自分の口を抑える妻。目は硬く閉じて、表情だけ見ると、苦痛に耐えているような、そんな表情を見せる。
しばらく、彼女の一番敏感な部分を舐めまわした後で、僕は妻が一番好きな「指を入れながらクリトリスを舐める」愛撫を開始する。
――クッチュ、クッチュ、クッチュ・・・・チュっ、チュぅぅっ
「あっ・・・あぁぁっ・・んっ」
堪らず、大きく喘ぐ妻。今の声は、坂井君が眠っていれば、それを起こしてしまうほどの声ではないだろうが、起きていれば確実に階下の彼の耳に届いただろう。
(絶対起きてるさ)
僕は彼に「これから綾乃とセックスをする」と宣言して寝室に入った。彼が綾乃に興味を持っているのであれば、間違いなく起きていて、夫婦の寝室を覗きに来るタイミングを図っているはずだ。逆に、この状況で覗きにこないのであれば、綾乃に興味がないか、もしくは思いのほか酒が廻って意図せずに眠ってしまったかのどちらかだろう。
「あっ、あっ、あっ・・・あぁっ」
綾乃は階下の坂井君の存在など忘れてしまったのか、いつも夫婦で行為に及ぶ時と然程変わらないボリュームで嬉声をあげる。
―――クチュっ、クチュっ、クチュっ・・・
そんな妻に応えようと、右手の動きを徐々に激しくしつつ、クリトリスへの吸い付きを強くしていく僕。
息継ぎを出来るだけしないで吸い付き続けると、綾乃の腰は段々と浮いてくる。イキそうになっている証拠だ。
若いうちは何ら問題なかったけれど、10年以上も喫煙し続けて衰えた肺には、実はこの愛撫は少々キツいのだが、それでも彼女を果てさせたい一心で充血した核に吸い付く。
「あっあぁっ・・・んぅ・・・イ・・・ク・・・イキそうっ・・・」
その甲斐あって、最後の時が近いと僕に訴えながら、尚も腰を浮かせる妻。
「も・・・イク・・・ぅ・・・んっ・・んんっ・・・んっ!!」
――ビクっ、ビクッ・・・ビクビクっ
大きく2度。
それから小さく2度痙攣する妻。
その後で、浮いていた尻をドサっとベッドに落とす。
「いつもより、イクの早かったんじゃない?」
はぁはぁと大きく呼吸する妻に向けて僕は言った。
「そう・・・かな・・・」
「うん、下に坂井君が居るから興奮したんじゃないの?」
「そんな事っ・・・ないもん」
「でも、最後のほうは結構大きな声出てたよ?坂井君が起きてたら聞こえちゃうくらい」
「うそっ!」
「ホントだよ、まぁ、アレだけ酒飲んでるし、もうとっくに寝ちゃってるだろうけどさ」
僕の言葉を聞いて、少しホッとした表情を見せる妻。僕はチラリと入り口に視線を向けたけど、まだ坂井君が覗いている様子はない。
「ね、綾乃・・・今度は、俺の・・・お願い」
「あ・・・うん」
さっきまで、坂井君が居るからといって、行為に及ぶことを強く拒否していたくせに、素直に僕の足元へ移動して、股間に顔を伏せる妻。「気持ち良くしてもらったらお返しをする」それが彼女の中のルールだ。
「待って・・・」
いつものように、ベッドに寝転ぶ僕の足元でフェラチオしようとする妻を制止する。
寝転んでしまっては位置関係的に、寝室の戸が見えないから、坂井君が覗きに来ても解らない。それが理由だ。
僕はベッドの端に腰掛けた、それから、ベッド下の床に座って僕のモノを咥えるように妻に指示をする。
「・・・はい」
素直に指示に従って、床に座って僕のモノを咥えようとする妻。
「あ、やっぱり、待って!」
「・・・どうしたの?」
「うん、やっぱり、寝転んでしてもらったほうが気持ち良いかなと思って」
しかし、僕は、すぐに再び寝室の入り口が見えなくなるのを承知で寝転んだ。
理由は簡単だ。
ベッドの端に腰掛けて、チラリと入り口に目を向けた時、そこに黒い人影を見た。
(やっと覗きにきたか)
坂井君が覗きに来た事が解れば、もう入り口に気を払う必要はない。
――ペロっ・・ペロっ
寝室の入り口で、若い男が覗いているとも知らずに、綾乃はいつものように僕のモノを舐め始めた。
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