「綾乃がシャワーから出てきたら、そこの客間に布団敷かせるから、使ってよ」
「あ、はい、すんません」
綾乃の口内に大量に射精した坂井君は、ウチに泊まっていく事になった。今からだとタクシーで帰路に着くしかないし、野本さんは先に帰宅してしまったから割り勘にもならない。お金が勿体ないから泊まっていけと僕が言ったのだ。
綾乃は、坂井君が泊まっていく事が決まると、僕と彼にビールと軽い肴を準備して、自分はさっさと浴室に行ってしまった。
妻はお風呂が大好きだ。
野本さんが泊まろうが、他のどの友人が泊まろうが、僕の両親が泊まろうが、少々の風邪をひこうが、必ずシャワーか入浴をする。
今日もそれは例外ではなかった。
坂井君は綾乃にフェラチオしてもらった事を、一言も話題にしなかった。まぁ、こんな経験は普通に生活していると出来るものでもないし、どう話題にしたら良いのかも解らなかったのだろう。
「坂井君、迷惑だったかな」
そんな坂井君に、あえて僕の方から、それを話題にする。
「いや、とんでもないっす、逆に申し訳ないっす」
「申し訳ない事ないさ」
「でも・・・」
「俺が、特別な性癖だって言うのは、もう薄々気付いてるだろ?」
「はぁ、なんて言うか・・・奥さんが俺に、ああいう事するのを見るのが良いんすか?」
「そうだなぁ、まぁ、そんな感じだよ。勿論、相手が誰でも良い訳じゃないけどね。よく考えて、坂井君なら綾乃の相手をさせても良いなって思ったんだ」
「そうっすか、光栄っす」
緊張が解れたのか、にっこりと笑ってそう言う坂井君。
「それで、綾乃には内緒なんだけどさ」
「・・・・・」
「これからも、出来れば、たまにお願いしたいんだよ」
「今日みたいな事っすか?」
「坂井君さえ、嫌じゃなければ、今日よりももっと先の事までお願いしたいと思ってる」
「もっと先って・・・」
「まぁ、最後まで綾乃とヤっちゃってくれって事さ」
「マジっすか!?」
「ちょっ、大きな声だすなって、まだ綾乃には何も言ってないんだから」
彼の驚きように、逆に僕が驚いてそう言う。
「すんません」
「で、どう?坂井君から見たら、綾乃なんて年増かもしれないけど、相手に出来そうかい?」
「年増なんて、何言ってるんですか、奥さん、全然若いし、年上の人にこんな言い方は失礼かもしれないけど、なんか可愛い感じじゃないっすか」
「じゃあ、OKかい?」
「いや、でも、奥さんが嫌がるんじゃ・・・」
「そこは、少し時間はかかるかもしれないけど、俺が必ず説得するからさ」
「そうっすか」
「ただ、条件があるんだ」
「条件?」
「うん、綾乃は、元々、俺以外と寝るのは嫌がってるんだけど、俺の性癖がこんなだから、仕方なく付き合ってくれてるんだ」
「そうでしょうね」
「だからさ、坂井君と綾乃が、セックスするとしても、それは綾乃にとっては俺を満足させるためにしている事なんだよ」
「メッチャ愛されてますね、フツー出来ないっすよ、そんな事まで」
「まぁ、それはそうかもしれないけど、条件って言うのは、今日みたいに俺に見られながらヤッて欲しいって事なんだ」
「・・・・・」
「俺の為にヤッてる事だから、俺が見られないと楽しくない・・・解るだろ?」
「それは、そう言う性癖だってのは解ります」
「どうかな?それでも、綾乃とヤッてくれるかな」
「孝介さんは、良いんすか?」
「あぁ、変態っぽいプレーとかは困るけど、普通のセックスをする分には構わないよ」
「・・・・・」
「どう?」
「いや、奥さんさえ良いなら・・俺は・・・」
「解った。綾乃には十分に話をしておくから、そのうち俺の方から連絡するよ」
「了解っす」
坂井君の協力を取り付けた瞬間、目の前に、一気に色々な光景が浮かんできた。若い彼に何度もいかされる妻、若さに任せて乱暴に身体中を弄ばれる妻、四つん這いで壊れてしまいそうなくらい激しく突かれる妻・・・。
そんな姿だ。
「あ、それからさ・・・」
僕は付け加えるように言う。
「俺、さっきの見てたら興奮しちゃてさ、綾乃がシャワーから出てきたらセックスしようと思ってるんだ」
「・・・・・」
「嫌じゃなかったら覗きに来ても良いよ」
「マジっすか!?」
「寝室は2階の突き当りの部屋だから」
「でも、奥さん怒らないっすか?」
「バレたら怒るかもしれないけど、少しだけ戸を開けておくから。あいつ眼が悪いし、簡単にはバレないと思うよ」
実際に、綾乃の眼の悪さを利用して、僕は何度も夫婦の行為を隠し撮りする事に成功している。堂々と撮影する事も出来るのだが、やはり「撮られている」と意識すると、行為そのものが遠慮がちになってしまう。
その点、隠し撮りだと、綾乃の本当の雌としての姿が記録されるから興奮する。
(・・・あ)
そんな事を考えていると、一つの考えが僕の脳裏に浮かんだ。
(坂井君とのセックスも、俺が堂々と見ているより、こっそりと覗いたり、隠し撮りしたりする方が、綾乃の本当の姿を見る事が出来るんじゃないか?)
それは、随分前に、野本さんとの行為を楽しんでいた頃に一度、頭を過った考えだった。あの時は、綾乃を怒らせてしまったので実現しなかったけれど、今なら実現できるかもしれない。
どうやら、坂井君を巻き込んだ、僕の性遊戯には、まだ再考の余地がありそうだった。
※※※
「ちょっ、何言っているの?下にお友達がいるのにっ」
寝室にスエット姿で入ってきた妻の身体に、僕はさっそく手を這わせた。つい2時間ほど前の坂井君と綾乃の姿を見てから、僕の性欲は、もう自分でもどうしようもない所まで来ていたのだ。
「静かにヤレば大丈夫だって、それに酒も呑んだし、もう眠っちゃってるよ、きっと」
「ダメだってば、起きてるかもしれないでしょ?」
「頼むよ、綾乃~、もう俺、興奮しちゃって眠れないよ」
「絶対ダメ。バレたらどうするの?ね?明日にしよう?」
明日までなんてとんでもない。絶対に我慢できない。
「無理だよ~、もう、さっきから興奮しちゃって、辛いんだよ~」
「そんな事言っても、お友達に声とか聞こえちゃうよ・・・」
「静かにすれば大丈夫だってば~、もう我慢できないよ~、何で我慢できないのかは言わなくても解るでしょ?」
「それはっ・・・・・」
それっきり黙ってしまう綾乃。
僕がこんなにも興奮しているのは、自分が若い彼のモノを口で奉仕する姿を見せたからなのは十分に理解しているはずだ。
だけど、恥ずかしがりの彼女は、そんな事は口に出来ないらしい。
「ね、出来るだけ静かにするから・・・」
囁くように言いながら、妻のTシャツの中へ手を滑り込ませ、優しく乳房を揉み始める僕。
綾乃は、もう、何も言わずにただ黙って胸を揉まれている。
抵抗しなくなった彼女の身体を撫でまわしながら、僕はチラリと、少しだけ開いた寝室の扉に目をやった。
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