「今日はブラインドを開けてやるよ」
僕はそう言った。
「え・・・」
妻は躊躇いの表情を見せる。
「いいじゃないか・・・井川さんのご主人にもっと見せてやろう」
「そんな・・・恥ずかしいわ」
「今更恥ずかしがる事ないじゃないか・・・どうせ見られているんだ」
僕がお隣のご主人・・・井川さんに夫婦生活を覗かれていると気がついたのは、ここへ越してきてすぐの事だった。
いつものように妻が僕の上に乗って激しく腰を振っている時に、ふと視線を逸らすと、我が家の2階の窓よりも上・・・その小窓から誰かが覗いているのが目に入った。
(あんな所にも部屋があったのか・・・)
僕はお隣へお邪魔した事はないから、そんな事は知らなかったけど、どうやらお隣には3階、或いは中二階のような小部屋があって、そこからブラインド越しにウチの寝室が覗けるようになっていたのだ。
最初は夫婦の秘め事を勝手に覗き見られた事を抗議しようかとも思った。
「おい・・・お隣さんに覗かれてるみたいだぞ」
僕は僕の上で激しく腰を前後させる妻に向かってそう言った。
「え?え?・・・ど、どこから・・?」
「そのまま、振り向かないで聞くんだぞ?」
「う、うん・・・」
「お隣には3階のような部屋があるようなんだ、そこから見下ろすようにしてブラインドの隙間から覗かれてる・・・」
「そんな・・・どうしたら・・・」
「俺が明日にでも文句を言ってこよう」
「でも・・・」
「どうした?」
「お引越ししてきたばかりで、ご近所と揉めたくないわ・・・それに井川さんの奥さんはとても良い人なのよ・・・」
「でも・・・じゃあどうする?」
「今度の日曜日にでも模様替えをして・・・覗かれない場所にベッドを移動しましょうよ」
「井川さんには?」
「気まずくなりたくないから言わないで・・・」
「そうか・・・おまえがそう言うなら仕方ないけど・・・今日はどうする?このまま途中で止めたら変に思われるぞ?」
「あと少しだけ・・・エッチしてるフリをして・・・程々の所で止めたらどうかしら・・・」
いつから覗いているのか知らないが、自分の妻の裸を覗き見られるのは良い気分ではない。
しかし、越してきたばかりでご近所と揉めたくないと言う妻の気持ちも解る。
僕は会社へ行くから良いが、彼女は一日中家にいるし、買い物にでも出かければお隣の奥さんと顔を合わせる事もあるだろう。
(この位置関係なら、妻の後ろ姿しか見えないだろう・・・)
僕はちょうど妻が井川さんのお宅の小窓に背を向けていると言う事もあって、彼女の提案を受け入れた。
「それなら少し動くぞ・・・このまま動きを止めてたら変だろう?」
「そうね・・・」
僕は彼女を下から突き上げるように腰を動かし始めた。
「はぁ・・あっ・・・はぁぁ・・・」
フリをする・・・とは言っても、実際に僕の男根は彼女の中にズッポリと収まっている。
それに、覗かれていると気付くまで彼女も本気で感じていたから、妻の蜜壺も十分に濡れきっている。
そこへ僕が腰を突きあげ始めたのだから、妻の口から吐息交じりの喘ぎ声が漏れるのも仕方のない事だと最初は思った。
「あっ、あっ、あっ・・・あぁっ・・んっ・・・い、いいっ」
それからどれくらい経った頃だっただろう。
妻の喘ぎ声が段々とフリでは済まなくなってきた。
「気持ち良いのか・・?」
「う、うん・・・すごく・・いい」
「井川さんに覗かれてるんだぞ?」
「で、でも・・・フリだって解ってるけど、気持ち良いんだもん」
そう言いながら僕の上に乗る彼女は、お隣から覗かれていると気付く前と同じように激しく腰を振り続ける。
「あっ、あっ・・・あっ、い、井川さん・・・まだ覗いてる?」
妻は僕にそう訊ねてきた。
僕は不自然にならない程度にチラリと上を見上げる。
「ああ、表情までは見えないけど、まだ人が覗いてるのは解るよ」
「ああぁぁっ・・・あんっ、あんっ・・・あっ・・・」
僕が「まだ覗かれているぞ」と妻に告げると彼女はさらに激しく腰を振って悶えた。
こんなに激しく腰を振って乱れる妻を僕は見た事がない。
「お、おい・・・そんなに動いたら、俺も・・・」
初めて見る妻の乱れよう。
それに僕のモノを咥え込んでヌルヌルと刺激する彼女の秘部。
その感触の前に僕は他人に覗かれていると言うのに堪らなくなってきた。
「だ、だって・・・気持ち良いんだもん」
「そ、そりゃあ俺だって・・くっ、気持ち良いけど・・・」
僕は快感で思考能力が鈍くなった頭で考える。
(これではお隣のご主人に本気のSEXを見せつける事になってしまう・・・本気で乱れる妻の姿を・・・)
その時、妻が信じられない事を言った。
「あっ、あっ・・あ、ね、ねぇ・・・こ、今度はあなたが上になって・・・」
「何言ってるんだ・・・そんな事をしたら・・・」
そんな事をしたら・・・このまま正常位に移行したら、私の上で卑猥に腰を振る妻の姿だけでなく、私に突かれる度に揺れる彼女の乳房や、本気で感じているその表情までもお隣に覗き見られてしまう。
「お、お願い・・・それでも良いから・・・もっとして・・・」
妻はそれを指摘した僕にそう答えた。
僕はここにきて、ようやく悟った。
(妻は他人に覗かれる事でいつもよりも興奮している・・・覗かれるのがイヤじゃない・・・いや、むしろ覗かれている事で興奮しているんだ・・・)
「お、おまえ・・・興奮してるのか?覗かれて・・・」
「わ、解んないよ・・・解んないよ!でも気持ち良いの!すごく気持ち良いの!」
妻が他人に・・・それもすぐ隣のご主人に覗かれて興奮している・・・僕の妻はそんな女じゃないはずだ。
年齢よりも若く・・・幼くすら見られる事の多い妻。
口元からチラリと見える八重歯が可愛い僕の妻・・・。
付き合い始めた時から処女で、僕しか男を知らない妻。
勿論、その裸を僕以外の男に見せた事などないはずの妻・・・。
その妻が他人に覗かれて興奮している。
(くそっ!)
僕はもう何だか訳が分からなくなって、妻を身体の下に組み伏せた。
それから正常位で再び彼女の蜜壺へ怒張した男根を捻じ込む。
「あっ・・・ひっ・・・す、すごいぃ!・・・気持ち良いぃ!」
絶叫にも似た声を上げる妻。
その表情は快感の為に歪んでいる。
「き、気持ち良いのか・・・お隣のご主人に覗かれて気持ち良いのか!」
僕はそう言いながら思い切り腰を彼女に打ち付ける。
「き、気持ち良い・・・すごくいい・・いいのっ!」
――ヌチュヌチュっ・・・
彼女が一言そう発すると、蜜壺はキュっと僕の男根を締め付けた。
間違いなく覗かれる事に興奮している・・・。
僕は彼女に覆いかぶさるようにしていた身体を起こした。
そうしたままで尚も激しく腰を動かし、彼女へ男根を突き立てる。
これで、彼女の身体・・・幼い顔に似合わない白くて大きな胸が揺れる様や、妻の気持ち良さそうな表情・・・大きく開かれた脚の間に出入りする肉棒とそこを覆う柔らかな陰毛・・・すべてがお隣のご主人の目に触れたはずだ。
「お、おい・・・まだ・・・覗かれてるか?」
僕は腰の動きは少しも弱めずにそう訊ねた。
今の僕の位置からは覗かれているかどうかは判別できないが、仰向けに寝転んでいる妻は目を開ければブラインドの隙間からそれが判別できるはずだ。
「あっ、あっあっ・・・の、覗いてる・・・覗かれちゃってる・・・こんなエッチな姿・・・見られちゃってるよぉ・・・」
――キュっ
再び妻が僕のモノを締め付けた。
もう彼女が覗かれる事で興奮する性癖の持ち主である事は疑いようのない事実だ。
「おまえの姿を見ながら、オナニーしてるかもしれないぞ・・・その大きな胸が揺れる所を見てお隣のご主人も興奮しているぞ」
自分でも何故そんな事を言ったのか解らなかったが、とにかくそんな言葉が口を突く。
それから自分で言った事に深く落ち込む。
さっきまで僕しか知らなかった妻のキレイな身体を、今はただ隣に住むだけの男に見られている・・・しかもこんな姿を・・・。
「お、おおっ・・・そ、そんなに締め付けたら・・・」
「し、知らないよ・・・勝手に締まっちゃう・・・」
妻はそう言いながら、自分で自分の乳房を揉み始めた。
彼女がこんな事をするのは初めてだ。
今まではどんなに乱れても、こんな姿を僕に見せた事はないのに、覗かれている事を意識しているのかいないのか、彼女は自分のそんな姿まで晒した。
「あっあっあっ・・・あっ・・・い、いい・・・いいっ!」
「うっ・・・あぁ・・」
――グッチュ、グッチュ・・・
ひっきりなしに僕達の結合部からは粘着質の卑猥な音が聞こえる。
勿論、こんな音までお隣に聞こえる訳もないのだが、妻が乱れて股間からそんな音がするほどに濡れている姿を覗かれていると思うだけで、嫉妬とも興奮ともつかない感情が湧き上がる。
「の、覗かれて興奮してるのか?・・・そうなんだろ?」
「あっ…あっ・・・・そ、それは・・・」
「正直に言えよ、抜いちまうぞ」
「そ、そう・・・お、お隣のご主人に覗かれてると思うと・・・私・・・」
「気持ち良いんだろ!覗かれながらするのが好きなんだろ!」
僕は少しだけ乱暴な気分になって妻をそう責めた。
だが、彼女はそれに答える事はなかった。
「あ・・あっ・・あっ、あっ、あっあっ・・・い、イク・・イキそう・・・」
限界が迫っていて僕の質問に答える余裕がなかったのだ。
「お、俺も・・・で、出るっ・・・出すぞっ・・」
「うん・・うん・・・い、一緒に・・・一緒に・・・あっあっあっ・・・イクぅっ!!」
「お、うっ・・・うっ!」
僕は何だか煮え切らない感情を抱えたままで妻の中に思い切り放出した。
子供のいない僕達は、安全日だろうが危険日だろうが、最後にはこうするのが当たり前だった。
だが、もし今日のこのSEXで妻が妊娠などしたら、僕達が子供を作ったまさにその瞬間をお隣のご主人に目撃された事になる・・・複雑な気分だ。
「はぁ、はぁ、はぁ」
「はぁ・・・はぁ・・・はぁ・・・」
僕はそれでも今までで一番気持ち良いSEXだったと思った。
思いたくはなかったが、それを認めざるを得ないほどに今日のSEXは良かったのだ。
妻にとってもそれは同じだろう。
さっきから果てた後でも時折ピクっピクっと断続的に痙攣しながら焦点の定まらない目をしているのが何よりの証拠だ。
「まだ・・・覗いてるか?」
僕は自分の呼吸が整った後で妻に訊ねた。
「ううん・・・もう、覗いてないみたい・・・」
妻はまだ少し乱れたままの呼吸を抑え込むようにしながらそう返答した。
「そうか・・・」
「ねぇ・・・あなた・・・」
「うん?」
「わたし・・・覗かれて興奮しちゃったの・・・ごめんなさい。嫌いになった?」
「いや・・・」
「本当?」
「ああ・・・」
「今度の日曜日にはベッドの場所を動かしましょうね・・私1人の力じゃ無理だからお願い・・・」
「いや、それは止そう・・・」
「え?」
「ベッドはこのまま、窓際に置いておこう」
「で、でも・・・」
妻はまだ快感の余韻が残る顔に躊躇いの表情を混ぜる。
「なぁ・・・今度は大きくブラインドを開けてSEXしてみようか・・・」
どうやら覗かれる快感に目覚めてしまったのは妻だけではなかったようで、僕は心の中では妻を誰にも見られたくないと思っているのに、それとは裏腹にそう言った。
「あなたがそうしたいなら・・・」
それから、僕の提案を拒否する事なく受け入れる妻の姿を見て、再び嫉妬と興奮の入り混じった不可思議な感情に支配されるのだ・・・。
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