「なぁ・・・おまえらどうだったんだよ?」
「どうって?」
「おまえと真由だよ。やったんだろ?」
あれから2、3日経った後で4人揃った時に雄大が突然訪ねてきた。
真由ちゃんはいつものように恥ずかしそうに俯いてるから、この質問への返答は僕の役割だろう。
「し、したけどさ」
「どうだったよ?」
「どうって・・・嬉しかったよ」
「それだけか?」
「それに・・・気持ち良かった」
僕は正直に雄大に答えた。
「真由は?痛くなかったの?」
それを聞いていた明日香が真由ちゃんに訊ねる。
「最初は・・・痛かったけど」
「最初だけ?」
「うん・・・最後の方は少し気持ち良かった」
「き、気持ち良い!?あれが?何で?どうして?痛いだけじゃんっ!」
「でも・・・最後はホントに良かったんだもん・・・」
「うそ・・・」
明日香は真由ちゃんの答えが信じられないようだった。
あの日、雄大の部屋からは明らかに痛みの為に苦しんでいる明日香の悲鳴のような叫び声が聞こえていた。
だから彼女の初体験が苦痛に満ちたものだったのだろうと言う事は想像に難くない。
「明日香はよぉ、少しも気持ち良くないってんだよ」
雄大が言った。
「当たり前でしょ!?あんなの痛いだけで少しも気持ち良くなんかないよ!」
明日香がそう雄大に言い返す。
「こ、個人差があるだろうから・・・そのうち慣れるしかないんじゃないの?」
僕はそう言って2人を落ち着かせようと試みる。
「慣れって・・・あんな事何回も何回も出来ないよ!もうエッチなんかしないっ!」
「なんでだよ~・・・慣れるまで痛いのは仕方がないだろ?」
「なによっ!雄大なんか最初から気持ち良さそうな顔してたくせにっ!女の子がどれだけ痛いか解んないでしょ!?」
「そりゃあ解んないけどよ。みんな通る道なんだから仕方ないじゃねぇか」
「みんなって、真由は!?真由は最初から気持ち良かったって言ってるじゃない!」
「だ、だからそれは個人差で・・・」
「兄貴は黙っててっ!」
「あ、はい・・・」
徐々にヒートアップしていく雄大と明日香の間に再び割って入ろうとした僕に明日香がピシャリと言う。
「なんだよっ!俺が悪いってのか?」
「そうは言ってないでしょ!?でも、もう少し・・・なんかあるでしょ?」
「なんかって何だよ?!」
「だから・・・もう少し、優しくするとか・・・心配してくれるとか・・・そう言う事よっ!」
「ばっ・・・俺が心配してないってのか?」
「心配してるように見えないんだよっ!」
「もうっ!やめなよっ!」
真由ちゃんが一喝した。
彼女がこんな大きな声を出すのは1年に1回あるかどうか・・・。
僕は久しぶりに彼女のそんな姿を眼にした。
珍しい出来事に、雄大と明日香も口喧嘩を止める。
「もうやめなよ・・・そんなことで」
今度は真由ちゃんが静かにそう言った。
「そんな事って言うけどよ・・・このままじゃ俺たち、2度とやれないんだぜ?」
「もっと優しくしてみれば良いよ・・・」
「優しく?」
「そうだよ・・・拓兄ちゃんは、真由のことすごく優しくしてくれたよ・・・お兄ちゃんは?明日香ちゃんのこと優しくした?」
「そ、そりゃあ・・・おまえ」
「してないよ!痛いって言ってるのに、我慢しろって言ってたじゃん」
すかさず明日香が反論した。
「仕方ないだろ!最初は痛いもんで、そのうち徐々に気持ち良くなるんだよ、あんなもんは!」
「でも真由は最初から少し気持ち良かったって言ってるよ!?」
「それが変なんだって!」
「・・・へ、変じゃないもん・・・拓兄ちゃんが優しくしてくれたからだもん・・・」
「だったら、その優しいってのを見せろよ、拓也!」
「へ?」
僕は一切この会話に加わっていなかったのに、いきなり雄大にそう言われて驚く。
「見せろって・・・」
「ここで4人でやろうぜ。俺も拓也と同じようにやるからよ・・・それなら良いだろ?明日香・・・」
雄大がまたおかしな事を言いだした。
つまり、真由ちゃんはそうでもなかったのに明日香があまりにも痛がるから、僕と真由ちゃんの行為を見ながら真似しよう・・・そう言う事らしかった。
「そんな、だって・・・ここにはベッドが一つしかないし」
「そんな事か、ちょっと待ってろ」
雄大はそう言うと足早に階下へ降りて行った。
そしてしばらく下でゴソゴソした後で再び2階に上がってきた時には、お昼寝用とでも言うのか、簡易な布団を持っていた。
「下にこれ敷いてよ、それなら出来るだろ?」
4人一室でSEXをした事はないけど、その手前の行為までは普通に一部屋でしていた僕たちは、普通ならあり得ないこの雄大の提案を受け入れた・・・。
※※※
「な、なんか変な事になっちゃったね」
僕は真由ちゃんの胸元に手を這わせ、服の上からゆっくりとその大きな胸を揉みながら言った。
ベッド上の雄大の視線が痛いほど突き刺さる。
「うん・・・お兄ちゃんがまた変な事言うから・・・ごめんね?拓兄ちゃん」
「いや、いいけど・・・」
僕らがそんな会話をしている間も雄大はチラチラと僕の方を見ながら、ベッド上で明日香の胸を制服の上から揉んでいるらしかった。
「いつまでもこうしてても仕方がないから、服・・・脱がせても良いかな!?」
「うん・・・恥ずかしいけど・・・仕方ないもんね」
僕は真由ちゃんに承諾を得て、彼女の制服を脱がせにかかる。
その合間にも優しく、彼女の唇に自分の唇を重ねてみる。
ふと、視線をベッド上へ向けると雄大も同じように明日香の制服を脱がせながら、チュッと音をたてている。
(とことん、真似するつもりらしいぞ・・・)
どうやら雄大は最初から最後まで、僕の一挙手一投足を真似て行為に及ぶつもりらしかった。
そんなに観察されるほどのものでもないと思うが、いつも雄大には威張られている分、なんだか参考にされる事が誇らしい。
「あ、はぁ・・・っ」
ようやく剥き出しになった真由ちゃんの乳房・・・その頂点にある薄いピンク色の突起を軽く舐める・・・。
それから、反対側の同じ個所を指で軽く軽く触ると彼女は小さな吐息と喘ぎ声をあげた。
「はぁ・・・っん」
ベッド上からは明日香の艶めかしい声が聞こえるから、雄大も僕と同じように彼女の胸を愛撫しているのだろうが、一旦事が始まると、そんな彼の視線を気にする余裕はない。
――チュッ・・・チュっ・・・
僕はさらに、硬度を増してきた真由ちゃんの乳首に吸い付く・・・するとベッドの上からもチュっチュっと言う音が聞こえてくる。
(最後まで完コピするつもりらしい・・・)
それならそれでも構わない。
僕はただ目の前にいる真由ちゃんを愛したい・・・ただそれだけなのだから。
「あ・・・はぁはぁ・・・た、拓兄ちゃん・・・」
執拗に胸を舐め続けていると、メガネの奥の真由ちゃんの目がトロンとしてきた。
(あ、メガネ外すの忘れてた・・・)
僕は今更ながらに彼女がメガネをしたままだと言う事に気が付いて、優しく両手でそれを外してあげる。
「おい!明日香はコンタクトだけど、どうすりゃいいんだよ」
雄大がベッドの上からバカな質問をしてくる。
「こんな事まで真似しなくて良いんだよ・・・」
「そうかよ」
それでも僕は仕方なく雄大にそう答えてから、再び彼女の胸に顔を埋めた。
「真由ちゃん・・・下の方も触っていい?」
僕は小声で彼女にそう訊ねる。
「うん・・・触って・・・」
真由ちゃんも小声でそう答えたから、僕は迷いなく右手を彼女のスカートの中に滑り込ませた。
――クチっ・・・
「は・・・あぁ・・・はぁ」
――クチクチっ・・・
「んっ・・・はぁ」
――クチクチクチュ・・・
「あっ・・・はっ・・」
時間をかけてゆっくりゆっくり・・・右手の指がふやけるかと思うくらいに彼女のそこを指で弄る。
「あっ・・・あっ・・・あぁ・・っ」
ベッドの上からは同じように気持ち良さそうな明日香の声。
僕はそれを聞くと、何も言わないままで真由ちゃんの股間に顔を伏せた。
――ペチョ・・・ピチャピチャ・・・
僕が彼女の敏感な部分を舐めると、そんな卑猥な音がしてしまったから、それまで気が付かずにひたすら明日香のアソコを指で刺激していた雄大も、慌てて明日香の股間に顔を埋める。
「んっ・・・あ・・・」
「あっ・・・・あぁ」
部屋の中には2人の女の子の喘ぎ声。
ここまでは雄大にも問題はなさそうなのだが、一体なにが悪いのだろう。
そう思っていた時、彼がじれったそうに言った。
「なぁ、まだ入れねぇのかよ・・・」
「え?・・・うん・・・もう少し」
「なんでだよ・・・もう十分に濡れてるぜ?真由はまだなのかよ?」
「いや、そんなことないけどさ」
「じゃあ、なんでだよ」
何でと訊かれて考える。
特別理由などなく、ただ僕は真由ちゃんをもっと気持ち良くさせたい・・・ただそれだけだから、胸を張って雄大に言える理由などないのだ。
「じ、じゃあ・・・そろそろ入れようか・・?いい?真由ちゃん」
「うん・・・いいよ」
僕は雄大に急かされるようにして、自分のモノにコンドームを装着すると先端を真由ちゃんに当てがって、初めての時のようにゆっくりゆっくりと中に収めて行った。
「あっ・・・っ・・・い、いたっ・・・」
突然ベッドの上で明日香の声があがった。
反射的にそちらへ視線がいってしまう僕・・・。
(なるほど・・・)
僕は雄大と明日香の様子を見て、なぜ2人が僕達よりも苦痛に満ちた初体験を迎えてしまったのか解ったような気がした。
ベッド上では、苦痛に顔を歪める明日香・・・それなのに、興奮にまみれた表情で、何の手加減もなしにズンズンと彼女を突き続ける雄大・・・。
「あの・・・雄大?」
僕は妹の辛そうな表情を見ているのがあまりにも可哀そうで彼に声をかけた。
「・・・なんだよ?」
彼は腰の動きを止めもせずに言った。
「それじゃないかな・・・明日香が痛がる理由」
「それって、どれだよ」
「だからその・・・もっとゆっくりとしてあげないと・・ほら、明日香が痛そうだよ」
「それは経験が浅いから仕方がないだろ?」
「違う・・・と・・・思う・・・な」
僕の下で真由ちゃんが声をあげた。
「私も・・痛いは痛いけど・・・拓兄ちゃんがゆっくりゆっくりしてくれるから、そのうちに慣れてきたもん、そんなんじゃ明日香ちゃんが可哀そうだよ」
「じゃあ、どうすりゃいいんだよ」
半ば逆ギレ気味に言う雄大。
よくある話だが「女は激しく突けばそれだけで気持ち良い」と思っている男の典型だ。
「いいのかどうか解んないけど・・・俺はゆっくりと真由ちゃんの中に入れて・・・全部入ったらしばらく動かないでいるよ」
「それじゃ気持ち良くないじゃねぇか」
「そんなことないさ、やってみなよ」
――ギっ・・・
僕に言われるままに明日香の中にゆっくりと侵入する雄大。
やがて彼は自分のすべてを彼女の中に収めると、そのまま動きを止めた。
「全部入ったぜ?このまま動かねぇのか?」
「そう・・・そのまましばらくね」
「全然気持ち良くないぜ?」
「そうかなぁ」
(おかしいな~、僕は動かなくても十分気持ち良いんだけどな・・・)
「明日香ちゃんを・・・抱きしめてあげれば良いんだよ・・・お兄ちゃん」
真由ちゃんが小さな声で言った。
「抱きしめる?」
「そう・・・それだけで幸せになれるから」
「そ、そんなこと・・・おまえ、恥ずかしくって・・・なぁ?明日香」
「・・・・・」
「おまえも恥ずかしいだろ?」
「・・・して・・・」
「は?」
「抱っこ・・・して・・・」
明日香が小声でそう言った。
この位置関係では僕から明日香の表情はハッキリと見えないけれど、彼女の性格からして、こんな事を言うのは勇気がいった事だろう。
雄大は明日香にそう言われてどうするのか・・・そんな事を思っていたが、それはいらぬ心配だった。
――ガバっ
勢いよく雄大が明日香に抱きついた。
「ちょ、ちょっと・・・お、重たいよ・・・」
「あ、悪ぃ・・・」
「もう・・・唐突だな~」
「だ、だってよ・・・おまえが、あんまり・・・その・・可愛いこと言うからよ」
「か、可愛いって・・・ば、バカじゃないの?」
「もう一回言って見ろよ・・・抱っこって」
「い、言わないわよ!」
「いいから!・・それとももういいのか?離れても」
「い、いや・・・だ・・・」
「じゃあ、言って見ろよ」
「・・・抱っこ・・・・抱っこして・・・欲しい・・・」
――ギッ・・・ギッ・・・
ベッドが軋み始めた。
雄大が我慢できずに腰を前後に動かし始めたようだ。
「痛てぇか?」
「う、ううん・・・その・・・くらいなら・・・」
「痛かったら言えよ?」
「うん・・・大丈夫・・・みたい・・・」
「そうか」
僕は2人のその姿を見届けると、再び意識を真由ちゃんに集中した。
僕も雄大と同じで、そろそろ腰を動かしたい・・・。
「真由ちゃん・・・俺も、いいかな・・・動いても」
「うん・・・いいよ・・・」
「じ、じゃあ・・・動くよ・・・」
僕が彼女にそう告げて、腰を動かそうとした時だった。
「あ、はぁ・・・っはぁ・・・んっ」
「痛ぇのか!?」
「ううん・・・なんか・・・ちょっと気持ちいい・・かも」
「マジか!?」
「うん・・・ホントに・・・前よか全然・・いい」
どうやら、雄大に足りないのは優しさと相手を思いやる気持ちだったようだ。
元々、悪いやつじゃないけど、目の前の欲望に駆られて明日香へのその気持ちが足りなかったのが前回の失敗の原因だろう。
(もう大丈夫そうだな・・・あの2人も)
でも、雄大は欲望の中で明日香を思いやる気持ちに気が付いた。
だからもう放っておいても大丈夫そうだ。
(それに、とっくに2人の世界に入ってるみたいだし・・・あの2人)
彼らは正常位で身体を重ね合い、互いの目を見つめ合ったままでゆっくりと揺れている。
もう僕と真由ちゃんを参考にするような気持ちは露程もないのだろう。
(僕は僕で真由ちゃんを愛そう・・・)
そう思って真由ちゃんへ視線を戻すと、彼女は潤んだ目でとっくに僕だけを見ていた。
「もう・・・大丈夫そう?明日香ちゃん・・・」
「うん・・・もう心配なさそう」
「良かった・・・じゃあ、こっち見て・・・拓兄ちゃん・・・もう、真由だけを見て欲しいの」
胸がキュンとなるような感覚・・・本当は僕がチラチラと明日香の方へ目をやるのが嫌だったに違いない。
でも、優しい彼女は「兄が妹を心配する気持ち」を察して、黙っていてくれたに違いなかった。
「真由ちゃん・・・好きだよ」
「私も・・・拓兄ちゃん」
僕達は互いにそう言うと、明日香と雄大に負けないように見つめ合いながら、徐々に快感の淵へ落ちて行った。
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