最後に姉に手でシテもらってから3日が経った。
前回、姉は1週間我慢した僕に「思ったより我慢したじゃん」と言う趣旨の事を言った。
と、言う事は1週間は我慢しなくても姉の許容範囲内と言う事だ。
果たしてそれは何日間か?
もう3日我慢した。
姉の手技は僕にとって未知の快感で、アダルトDVDなんか見ながら自慰に耽るよりもずっとずっと刺激的だった。
(今日あたり・・・姉ちゃんの部屋へ行こうかな・・・)
僕は3日にしてそう思い始めていた。
しかし、この「3日」が姉にとってどうなのか判断がつかない。
1週間は我慢した方だと思ったようだが、3日だとそれはそれで「またぁ!?」となるのではないかと言う危惧もあった。
(どうしよっかなぁ~・・・もう1日くらい我慢しようかな~・・・)
もう時計は23時を指そうとしている。
姉の部屋からは小さく音楽が漏れ聞こえているから、まだ起きては居るのだろう。
しかし、早くしないと眠ってしまう。
さすがに、眠っている姉を叩き起こして「手で気持ち良くしてくれ」とは言えない。
僕は早急な決断を迫られていた・・・。
(よ、よし・・・今からお願いしてみよう・・・)
僕が考え抜いた揚句、そう決めた時だった。
――コンっ、コンっ
僕の部屋をノックする音が聞こえた。
「はい・・・」
こんな時間に誰だろう。
まさか姉が自ら僕に手で奉仕しに来てくれたのだろうか?
それならこんなに嬉しい事はないが・・・。
「お兄ちゃん・・・起きてる・・・?・・・」
しかし、ヒョコっと戸を開けて顔を出したのは妹の愛美だった。
「あ、ああ・・・起きてるけど・・・」
僕がそう言うと、愛美は僕の部屋の中へ入ってきて注意深く戸を閉めた。
「どうした?・・・」
僕は訊ねた。
「どうしたって・・・あれから10日にもなるのに、なかなか返事くれないから・・・」
「ああ・・・そうだな・・・ごめんな・・・」
僕は10日前、愛美に告白された。
彼女の真剣な表情を見る限りあれは冗談ではなさそうだと思ってはいたが、こうして10日間も指折り僕の返答を待っていたと言う事は、やはり大真面目だったようだ。
「・・・で・・・どうかな・・・愛美のこと・・・」
「あの時も言ったけど、俺は愛美のこと好きだぜ・・・」
「んもうっ!そう言う事じゃなくて・・・その・・・女の子としてどうかな・・・って」
僕は言葉に詰まった。
愛美はまだ中学3年生で幼さは残るものの、女の子としては十分に魅力的だ。
普通なら、告白されて嫌な気持ちになる男はいないだろう。
だが、彼女は僕の妹だ。
その妹に対して、どう告白の返事をしろと言うのか・・・。
「あのな・・・愛美・・・俺、愛美のことは好きだけど、だからってどうする事も出来ないだろ?」
「どうして?」
「どうしてって・・・俺たち兄妹だぞ?」
僕はすこぶる常識的な事を言う。
「兄妹だと好きになっちゃいけないの?・・・」
愛美が悲しそうな顔で僕を見上げる。
前にも言ったが、僕は愛美に泣かれるのが苦手だ。
こうして悲しそうな顔を見せられるだけでも狼狽えてしまう。
「あ、いや・・・そう言う訳でもないことも・・・ないけだろうけど・・・」
「どっち?ダメなの?・・・いいの?」
「あ、いや・・・その・・・」
僕は次の事ばが出ずに沈黙してしまった。
その沈黙は愛美にとって悲しい時間だったようだ。
「解った・・・お兄ちゃんは愛美のこと・・・イヤなんだね・・・」
「ち、違っ・・・」
慌てて愛美の方へ視線を向けると、彼女はとっくに大きな目に一杯に涙を溜めていた。
「お兄ちゃんに振られちゃった・・・よ・・・」
小さくそう言って愛美は涙を一滴(ひとしずく)流した。
「ち、違うんだって・・・そうじゃないよ・・・愛美の事は好きだって言ってるだろ?・・・でも俺たち兄妹なんだからさ・・・好きでもどうしようもないだろ?」
僕は愛美を慰め半分にそう言った。
「でも、お互いに好きだったら付き合うんだよ?普通・・・クラスにも付き合っている娘・・・いるもの・・・」
「そ、それは・・・その二人は兄妹じゃないだろ?だから付き合えるんだよ・・・」
「だからどうして兄妹は付き合っちゃいけないの?」
「そ、それはだな・・・その・・・法律で決まっている」
「そんな法律聞いたことないよ・・・」
「いや、嘘じゃないぞ・・・そう言う法律があるんだ・・・確か」
実際は近親者で結婚してはいけないと言う法律だったと思うが、この際どうでも良い。
愛美に解らせる為には多少の脚色は止むを得まい。
「違うもん・・・兄妹で結婚しちゃダメだけど、付き合うのは法律で禁止されてないもん・・・」
恐るべしネット社会。
中学3年生の妹でも、この程度の事は簡単に調べられるようだ。
「そ、そうだったっけ?」
「やっぱり・・・お兄ちゃんは愛美の事が嫌いなだけなんだ・・・」
愛美はそう言うと再び目に涙を溜め始める。
(よ、弱ったな・・・どうすればいいんだ?・・・)
「じ、じゃあさ・・・愛美はどうしたいんだよ・・・」
僕は思った事をそのまま愛美に丸投げして返した。
「愛美は・・・お兄ちゃんの事が好きだから・・・普通に付き合いたい・・・」
「つ、付き合うって、おまえ・・・一緒に暮らしてるんだからさ・・・ある意味恋人同士よりも一緒にいるぞ?俺たち・・・」
「そうじゃなくて・・・この前みたいに・・・キスしたり・・・そんな風にしたい…」
「き、キス・・?」
そう言えばこの間、涙目になる愛美にせがまれて軽くキスしたんだった。
「そんな風に、他の皆と同じように付き合いたい・・・お兄ちゃんと・・・」
「同じようにって・・・キスするのが?」
「それだけじゃなくって・・・一緒に遊びに行ったりとか・・・楽しいでしょ?そう言うの・・・」
なるほど・・・段々と愛美の中の「付き合う」と言うのがどういう事が見えてきたような気がする。
何だかんだと言ってもまだ中学生だ。
例えば手を繋いで映画に行ったりとか・・・そう言うのを望んでいるんだろう。
(それくらいなら別に・・・ちょっと仲の良い兄妹でもしてるだろうな・・・)
「そう言う事ね・・・解ったよ・・・じゃあ、付き合おうよ・・・俺と」
僕はそう言った。
別にシスコンと言う訳ではないが、姉とも妹とも兄妹仲は良い方だし、付き合うだの何だのと言わなくても、一緒に外出する事だって時々はある。
きっと愛美は、年頃が年頃だけにそうした男女の付き合いに憧れるんだろう。
しかし、どちらかと言うと引きこもりがちな愛美にとって、一番身近な同年代の男の子が僕だった・・・ただそれだけだ。
(まぁ、これは愛美がいつか好きな男が出来るまでのモラトリアムみたいなものだな・・・しばらく恋人ごっこに付き合ってやるかな・・・)
僕はその程度の軽い気持ちで愛美と付き合う事を承諾したのだ。
「ホント?・・・ホントに?・・・兄妹じゃないよ?・・・恋人同士として付き合うんだよ?・・・いい?・・・いい?」
「ああ、解ってるよ・・・俺の彼女は愛美ってことだろ?」
「か、彼女・・・」
愛美は「俺の彼女は愛美」と言う言葉に激しく反応した。
それはもう見ていて面白いくらいに顔を赤くして、ジタバタとした後で僕に向かってこう言った。
「ふふ・・・うふふ・・・そ、そう・・・お兄ちゃんの彼女は私・・・」
それから堪(こら)えきれないようにニマニマと表情が緩む。
「まぁ・・・今日はもう寝ようぜ・・・明日も学校だし・・・」
「うん・・・そうする・・・はいっ!」
愛美は先日と同じように「はいっ」と言いながら目を瞑って唇を差出す。
あの時は驚いて狼狽えたが、今日はもう2回目だ。
――チュっ
「おやすみ、愛美」
僕は愛美の唇に触れるか触れないか程度の軽いキスをするとそう言った。
「うんっ・・・お休み・・・お兄ちゃん・・・」
愛美はそう言って頬を赤らめながら僕の部屋を出て行こうとして、立ち止まり振り返った。
「お兄ちゃん・・・」
「ん~?・・・どした?」
「私・・・すごく嬉しい・・・ありがと・・・じゃね、おやすみなさいっ」
「あ、ああ・・・おやすみ・・・」
僕が愛美におやすみの挨拶を返した時には、もう彼女の姿は僕の部屋になかった。
最後に振り向いて「すごく嬉しい」と言った愛美があまりにも可愛くて、しばらく思考と動きが停止した為だった・・・。
(いかんっ、いかんっ・・・)
僕は頭をフルフルと左右に振って思い直す。
今、一瞬感じた「可愛い」と言う愛美への気持ちは、妹に向けるその気持ちと少し違った種類だったような気がしたからだ。
愛美が出て行った後で、ふと時計を見る。
結局愛美とは30分以上も話していたようだ。
(今日は・・・もういいか・・・)
僕は姉の部屋へ行く事を諦めた。
それは、時間が時間だと言う事もあったが、それよりも愛美の「純粋な気持ち」に中(あ)てられたのかもしれない。
(そう言えば・・・)
僕はふと思う。
あの日聞いた、姉と愛美の喘ぎ声・・・。
間違いなく2人はそう言う行為をしていたはずだ。
そもそも、何故2人はあんな関係になったのだろうか。
しかし、姉は姉で愛美との行為を「便利な性欲処理」の機会みたいに言っていた。
それ自体は、まぁちょっと無理すれば合理主義者の姉らしいと言えば姉らしい。
だが、愛美が姉のその行為に簡単に応じた理由が解らない。
本当に嫌だったら、例え姉が相手と言えどもキッパリと拒否するなり、逃げるなりすれば良いのだ。
あの時の感じでは、間違いなく互いに合意の上で楽しんでいたのだと思う。
(姉とのあの行為も、愛美が俺に恋人同士の関係を求めたのと同じように、彼女が性に対して興味を示し始めた過程で起こった間違いなのだろうか?・・・)
そんな風にも思ったりしてみる。
(だとすれば・・・今日から俺と愛美は恋人同士な訳だから・・・当然、そうした行為をする事も含まれるのではないだろうか・・・)
「い、いかんいかんっ!さっきから何考えてるんだ・・・俺」
姉に手で性欲を処理してもらうだけでも異常だと言うのに、この上妹にまで手を出そうと言うのか・・・。
僕は部屋の灯りを消して布団にも潜った。
(きっと欲求不満だから変な事考えるんだ・・・明日は姉ちゃんにお願いしよう・・・)
僕は潜った布団の中でそんな事を考えているうちに、いつしか眠りに落ちていた。
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