僕にとっては良かったのか悪かったのか、翔子さんに妊娠した様子はなかった。直に「妊娠したのか」と確認した訳ではなかったけれど、あれからも翔子さんは変わらない様子で兄貴の部屋に遊びに来ていたし、僕にも普段と変わりなく接してくれた。
あれから数か月たっても、何一つ変わらない生活を送る事が出来ているのが、彼女が妊娠しなかった何よりの証拠だった。
僕はと言えば、兄貴の彼女である翔子さんをどうこう出来る訳もなく、かと言って彼女との体験をキレイさっぱり忘れる事も出来ないままで悶々とした生活を送り続けていた。
近所の公園で、翔子さんとバッタリ出会ったのは、悶々とした暮らしも限界になりつつあった、そんな日のことだった。
「あ、翔子さん」
「あ、弟君」
僕は思わず声をかけてしまったけれど、それから何を言ったら良いか解らずに黙る。
「どこか行くの?」
翔子さんは何とも思っていないのか、僕に普通にそう声をかける。
「ちょっとコンビニへ・・・」
「そうなんだ」
「翔子さんは?」
我ながらアホな質問だ。こんだけ我が家に近い場所で出会うのだから、これから兄貴のところへ行くに決まっている。
翔子さんは案の定、これから兄貴のところへ行くのだと言った。
「あ、じゃあ、僕、これで」
僕は他に話す事もなくなって、彼女に向けてそう言った。
「あん、待ってよ~」
「はい?」
そんな僕を彼女が呼び止める。
「なんだか最近、弟君、私のこと避けてるでしょ?」
「そ、そんな事ないですよ」
「うそ~、避けてるよ~、今日だって久しぶりに話したでしょ?」
「それは、そうですけど・・・」
「やっぱりアレのせい?」
「アレって・・・」
僕と翔子さんとの間で「アレ」と言えば、あの事以外にあり得ないのに、再びアホな反応を返してしまう。
「だから・・・アレ・・・エッチ」
翔子さんは、少し僕に近づいて小声で言う。
日曜昼下がりの公園・・・割と大きめの公園だけど、それでも視界の中には子供連れの母親や小学生の集団なんかも入るから、確かに大きな声でするような話じゃない。
「それはその・・・」
「私、妊娠しなかったよ?良かったねぇ」
翔子さんがイタズラな表情でそう言った。
「・・・・・」
「どうしたの?」
「良くない・・・」
「え?」
「良くないですよ」
「なにが?」
「翔子さん、妊娠すれば良かったんだ」
「またぁ、何言ってるの?」
「だって、そうしたら翔子さんは僕と・・・僕のものになったのに」
「弟君・・・」
翔子さんが困った顔になった。
「あの時も言ったでしょ?一時の気の迷いなんだから、早く可愛い彼女見つけなよ」
「そんな事ないですよ、あれからも僕はずっとずっと翔子さんのこと・・・」
「エッチな目で見てるとか?」
「そっ、そんな事・・・いや、それもあるけど、決してそれだけが目的と言う訳じゃないと言うか・・あの・・・」
彼女に図星をつかれて慌ててしまうあたり、なんて僕は幼いのだろうと思う。
「やっぱりエッチな目で見てるんだ」
翔子さんがそう言って僕の顔を覗き込む。
「それは、だって・・・あんな体験したの初めてだし・・・」
「またしたい?」
「それは、正直・・したいです」
さわやかな風が吹き抜ける公園。子供達の騒ぐ声が遠くに聞こえる。
「でも、だ~め、1回だけの約束だったでしょ?」
「わかってますよ、だからこうして我慢してるじゃないですか・・・」
「でも、エッチな目で見てるんでしょ?私のこと」
「・・・・・」
翔子さんの事はそう言う目で見ている。あれからずっと。
でもそれは自分でもどうする事も出来なくて、気がついたらあの日の彼女の姿を思い出しながら自慰に耽る毎日・・・。
「もう、解りやすいなぁ、弟君は」
「すいません」
「そうやってすぐに謝るんだから」
「あの・・すいません」
「もうっ、謝らなくても良いから、ちょっとこっちにおいでよ」
翔子さんは僕のシャツの裾を掴むと、引っ張るようにして公園の隅に連れて行く。
「あの、どこへ?兄貴、待ってるんじゃ・・・」
「うん、あんまり時間はないからね?」
「あの・・はい」
僕は訳が解らないままで彼女について行く。
「早く中に入って、早く早くっ」
程なくして、僕達は公園のトイレに来た。身障者用のトイレも備え付けている、割と小奇麗なトイレの、女性用の方へ僕の背中を押す翔子さん。
「ちょっ、こっちは女性用・・・」
「いいから、早く、人に見られちゃうよ」
「あ、はいっ」
僕はとにかく彼女の言うままに、女性用のトイレの中へ入った。
「うん、誰も居ないみたい・・・もっと奥まで入ってきても大丈夫だよ」
トイレに入ると翔子さんが僕をそう手招きする。
「・・・・・」
「ほら、こっち、この中に入って」
それから、僕に個室へ入れと言う。
「あの、何でこんなトコ・・・」
――ガチャリ
翔子さんは僕の後に続いて個室に入ると、すぐにトイレの鍵を閉めた。
それから僕の方へ向き直る。
「エッチはダメだけど・・・スッキリさせてあげるから」
それから、この爆弾発言。
「え?」
「だから、エッチは絶対にダメだけど、手とか・・・してあげるって言ってるの」
「な、なんで・・・そんな」
「嫌なの?」
「と、と、と、とんでもない・・嬉しいです」
「そう、じゃ、ズボン脱いで・・ホントにあんまり時間ないから」
「でも、どうしてこんな・・・」
「前にも言ったでしょ、弟君が可愛いからだよ」
「可愛いって・・・」
「私のことだけ想って・・・その・・・1人で・・・するんでしょ?そんな話聞いちゃったら、何だか・・・ね」
「・・・・・」
「ほら、早くっ、いくら人があまり来ないって言っても、いつ誰が入って来るか解らないんだから」
「は、はい」
僕は彼女に促されるまま、ズボンを下げた。
※※※
「わっ、相変わらずスゴい事になってるねぇ」
下着もさげて、男根を曝け出すと翔子さんはそう言った。
「だって、仕方ないじゃないですか」
「まぁ、そうだね」
立ったままの姿勢で男根を丸出しにしている僕の足元にしゃがみながら、眼前の硬くなったモノを右手で握りながら、翔子さんがそう言った。
その言葉を最後に無言になるトイレ内・・・。
黙って右手を前後に動かし始める翔子さん。
毎日自慰に耽っているのに、それとは比べものにならない快感に襲われる僕。
(あぁ、気持ち良い・・・)
物理的快感もさることながら、公園のトイレで仁王立ちする僕の足元に彼女が跪いて奉仕しているのだと思うと、その状況に興奮する。
「出そう?」
「あ、あの・・はい、でも・・・」
「でも?」
「で、出来れば・・・その・・口で・・・」
僕は素直に望みを言う。
「もうっ、エッチぃ~」
「す、すいません」
「ちょっとだけだよ?出そうになったら言ってよ?」
「はい・・・」
――ペロっ
翔子さんの可愛い舌が僕のモノに触れた。
「あぉっ」
久しぶりの感触に呻く僕。
「声・・・出来るだけ我慢してね?」
「は、はい・・・」
――ペロっ、ペロっ、ペロっ
男根の先端部を繰り返し舐める翔子さん。
(そう言えば・・・)
僕は数か月前に彼女の口内に思い切り精液をぶちまけてしまった時のことを想いだしていた。彼女は兄貴にもあんな事はされた事がないと言った。
あれから数か月経つけれど、今でもそうなのだろうか?だとしたら、今、果てる時には自分はどうするべきなのか?
「あ、あの・・翔子さん・・・」
僕は素直にその疑問を彼女にぶつけて、返答を待った。
「いいよ、口の中で」
「いいんですか?」
「うん、だって、服とか髪とか汚れたら困るし・・・」
「でも、口の中でなんて出された事ないって・・・前に」
「その時はね、今はもう大丈夫」
「それって・・・どう言う」
どうもこうもない。あの時は初めての体験だったけれど、今はもう大丈夫だと言う事は、その後で同様の経験を積んだと言う事だ。
翔子さんは兄貴の彼女な訳だから、そう言う経験を誰と積んだかは考えるまでもなかった。
「だって、弟君にはしてあげたのに、彼にしてあげないのは悪いかなって・・・あ、でも決して好きじゃないんだよ?変な味するし・・さ」
翔子さんは必要ないのに、言い訳のように僕にそう説明する。
兄貴に嫉妬する僕。でも、翔子さんは兄貴の彼女な訳だから、今、こんな事をしてもらっている僕のほうが悪い訳で、それはどうする事も出来ない事実だ。
――クポッ
ウジウジとそんな事を考えていると、翔子さんが僕のモノの亀頭部をカプリと口内に含んだ。そのままネロネロと少しだけ前後に動く。
アダルトDVDなんかで見るような行為と比べると幼さすら感じるけれど、これでも僕には十分気持ち良い。
――ヌロっヌロッ・・・
それなのに、亀頭部から更に深く僕のモノを咥える翔子さん、そのまま大きくゆっくりと頭を前後させる。
彼女は時間がないと言っていた、きっと兄貴と時間で待ち合わせているのだろう。
つまり、僕を早く終わらせたいのだ。
「翔子さん・・・」
ゆっくり、ゆっくりとした前後の動き。
しかし、それだけでも僕は限界を迎えつつあった。
「んっ・・んっ・・いいよ・・・らして」
僕のモノを咥えながらそう言う翔子さん。
翔子さんが僕の前に跪いて男根を咥えている・・・そして、口内に射精しても良いよ・・と可愛い声で言う・・・限界だ。
「翔子さん・・っ・・・んっ・・イクっ・・うぅっ」
「んっ、んぅ・・んっぐっ」
歪む彼女の表情。決して慣れている訳ではないのだろう。それでも僕のモノから口は離さずに最後の一滴が射出されるまで必死に吸い付く姿が卑猥なのに、とても可愛らしい。
「ん~っ・・・んはぁ」
翔子さんは、僕のモノから口を離すと、口内に溜まった精液をトイレの中に吐き出した。
「さすがに飲むのは無理なの・・・」
それから言い訳のようにそう続ける。
「の、飲むもんなんですか?こういうのって」
「あ、いや、解らないけど・・・」
僕はピンとくる。きっと翔子さんに飲んでくれと言った人物が居るのだ。そして、それはどう考えても兄貴でしかない。
「また、してもらえますか?」
「えぇ、どうしようかなぁ」
「お願いします。もう1回してください」
僕は真顔で言った。
「ど、どうしたの?急に真剣な顔して」
「また口でしてもらって、その時は僕の精液・・・飲んでください」
「え?」
「兄貴より先に・・・翔子さんに精液飲んでほしい」
「えぇ?そんなの約束できないよ~」
「兄貴より先じゃないとヤダ」
駄々っ子のように続ける僕。どうしても兄貴よりも先にそうしたいと思った。
「もう可愛いなぁ・・・」
そんな僕の頭をナデナデとしながら、翔子さんはニッコリと笑ってくれた。
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