恥ずかしがる妻を見下ろして、それでも尚、僕は彼女へ質問する。
「坂井君のは、ものすごい角度で勃起してたじゃん」
「・・・・・」
「俺、最近、あんな角度にまで勃起しないもんなぁ、綾乃もあんなの久しぶりに見たでしょ?」
「あっ・・・あぁっ・・・っ・・・」
「どうなの?」
「う・・・うん・・・うん・・・」
「うん、じゃ解らないよ?」
「あっ・・・ひっ・・・久しぶり・・・に・・・み、見たぁ・・・っ」
「触った訳じゃないから解らないけど、俺よりずっと硬かったんじゃないの?」
「そ・・っ・・・んなの・・・解んない・・・よ」
「だって、綾乃は握ってたじゃん、解るよね?」
「・・・・・」
「どうだった?坂井君の硬さ・・・教えてよ」
「・・・あっ・・・あっ・・・ぅ・・っ・・・」
「ねぇ?教えて?」
「か・・・硬っ・・・かった・・・」
「俺よりも?」
「・・・あぁ・・お、同じ・・・くらい・・・っ」
(見た感じ、坂井君の方がずっと硬そうだったけどなぁ)
そうは思っても、まぁ、同じくらいだと言うのであれば、それ以上訊ねても仕方があるまいと思う。それに、僕は自分のモノの大きさに自信はないけれど、硬さにはちょっとした自信もあったのだ。
「ねぇ、綾乃は硬いのが好きなんだよねぇ」
「・・・・・」
「前に言ってたじゃん、大きいよりも硬い方が好きだって」
「あっ・・・あぁっ・・・あっ」
聞こえない振りをして喘ぎ続ける妻。
しかし、以前、彼女とそうした話をした時に、間違いなく妻はそんなような事を言っていたはずだ。
――ヌチュっ、ヌチュっ、ヌチュっ・・・
「ねぇ、今、俺のはどう?硬い?」
「う・・うんっ・・・あっ・・か・・硬・・いっ・・すごくっ・・・」
「坂井君も同じくらい硬かったんでしょ?」
「・・・・・」
「さっきそう言ってたよね?違うの?」
「あっ・・ち・・違わ・・・ないっ・・っ」
「じゃあさ、坂井君に入れられても、同じくらい気持ち良いって事だよね?」
「そ、そんな・・・ことっ・・・な・・・あっ・・あぁっ」
「どうしてさ、坂井君のも同じくらい硬くて、しかも俺より大きいんでしょ?入れたら気持ち良いんじゃないかなぁ」
「こ、孝介・・・の・・方が・・・いいもんっ」
――ヌチュヌチュヌチュっ
愛らしいセリフに、更に腰の動きが勝手に早くなる。しかし、ここで諦めはしない。
「試してみてよ・・・」
「あっあっあっ・・・あぁっ・・・んっ・・・えっ?」
「だから、坂井君と俺、どっちが気持ち良いか・・試してみてよ」
「そ、そんなの・・・出来る訳っ・・・あっ・・あっ」
「出来るよ」
「あっあっあっ・・・む・・・むっ・・・り・・無理っ」
――ヌチュヌチュっヌチュっ
激しい腰の動きにベッドが軋みだした。
「あっ・・あっ・・だ、ダ・・メっ・・・そんなに・・したら・・・っ」
「どうしてダメなの?」
「し・・・下っ・・・下っ・・・に・・・聞こえ・・ちゃうっ」
「いいじゃない、聞かせてやろうよ」
「やっ・・・あっあっあっ・・ダ・・・あっ・・やっ・・・あっ」
「今度は、俺、2人がやるところ見せろとか言わないからさ」
「あっあっあっ・・・え・・っ・・じゃ・・・何の・・・あっ・・・ため・・・に?」
「綾乃が坂井君とエッチして、どうだったか、感想を聞きたいだけだから、今回は見なくても良いし、ビデオに撮ったりもしない・・・それでどう?」
「あっ・・・そ、それでも・・・やっ・・いやっ・・だ・・・よぅ・・あっ」
――ヌチュ、グチュ、ヌチュっ・・・
「お願いっ・・・ね?」
「あっあっ・・・あっ・・・だ・・ダメ・・・」
「やってみて気持ち良くなかったら、もうしなくても良いからさ」
「あっあっ・・・あっ・・・出来・・ない・・よ」
「気持ち良くなかったら止めても良いんだよ?それなら1回だけだよ?ね?」
「あっ・・あっ、あっ、あっ・・・あっ・・い、イク・・・イキ・・そうっ」
(おっと・・・)
僕は腰の動きを緩めた。
まだ妻を果てさせて、興奮から醒めてもらっては困るのだ。
「あっ・・・あっ・・・・あ・・・どう・・して?」
「坂井君とエッチ・・・出来るね?」
「だって・・・口でするだけって・・・」
「綾乃が坂井君のこと、大きいとか硬いって言うから、気が変わっちゃった」
「・・・そんな」
「ね?綾乃が嫌がるような事は絶対にさせないから、それに坂井君に彼女が出来たら止めにするし・・ね?」
「さっきは1回だけって・・・」
「それは、綾乃が坂井君とエッチして気持ち良くなかったら・・・って話さ、気持ち良くなかったらつまらないだろう?」
「どっちでも・・イヤだよぅ」
――ヌチュっ・・・
再び腰を激しく動かし始める。綾乃がもう一押しだった事もあるけれど、僕は僕で、早く射精したい欲求を堪えているのだ。
「あっ・・・あっ・・・」
再び喘ぎ始める妻。
「若い男に抱かれて、綾乃がどんな風になるのか・・・知りたいんだ・・・綾乃のすべてを知りたいんだよ」
我ながら、古臭いセリフで恥ずかしい。セックス中でなければ絶対に吐けない言葉だ。
「だって、そうやって岡田君の時も・・・」
「あの時は、俺の良く知らない相手だったから・・・ゴメン・・・もう一度だけチャンスが欲しい」
「・・・・あっ・・・あっ・・・・あっあっ」
「頼むっ、綾乃っ、綾乃っ」
――ギッギッギッ・・・
ベッドが軋みだす。
「あっあっあっ・・・だっ・・・あっあっ・・・・あっ・・・い、・・イク・・・イッちゃうっ」
「お、俺も・・・出そうっ・・・イク前に約束してっ・・お願いっ」
「あっ・・・あっあっあっ・・・イクっ・・・イクっ・・・」
「早くっ、早く約束してっ!坂井君とエッチっ・・・出来るでしょっ?早くっ、出ちゃうよっ」
「あっ・・・い、1回・・・1回・・っ・・だけ・・・」
「いいんだね?してくれるんだね?」
「あっ・・・いっ・・・1回っ・・だけぇぇっ・・・あっあっ・・・イクぅっ・・っっっっっ」
「で、出るっ・・・うっ」
綾乃がビクビクっと痙攣する。いつもならある程度、それを見届けてから、僕は自分のモノを引き抜いて妻の腹や胸に精液をブチまけるのだが、今日はその余裕がなかった。
「あっ・・・・あっ・・・・あっ・・」
余韻のように小さく喘ぎながら、身体をビクつかせる綾乃の腹部に容赦なく白濁液を浴びせる僕。
綾乃は身体中、精液塗れのまま、まだ小さく身体をビクつかせていた。
※※※
僕にとって、夢のような一夜が終わり、次の日の朝を迎えた。
朝一番に起きて、僕や坂井君の朝食の準備を済ませた妻は、いつもと変わりなかったけれど、坂井君が起きて来ると、その態度は一変した。
「おはようございます」
眠そうな目をこすり、昨晩は若者らしくてセンスの良かった髪型が、ボサボサに乱れた彼。
そんな彼に、小さく「おはようございます」と言った後、目を合わせようとしない妻。
昨晩の情事はなかなか激しかったから、自分の嬉声が階下の坂井君に聞こえてしまったかもしれない。
そんな気持ちが彼女を緊張させているのだと思う。
「良く眠れたかい?」
「はい、すっかり泊めてもらっちゃって、すいませんでした」
「別に気にする事ないさ、坂井君さえよければ、また時々遊びに来ると良いよ」
「ありがとうございます」
また来ると良い・・・それが何を意味するのか、坂井君も綾乃も薄々気が付いているだろうに、2人ともそれを態度に見せない。
「昨日、あれからすぐ眠れた?」
もうすぐ、義母に預けた子供を迎えに行かなければならないから、今から坂井君と綾乃をどうこうする時間はなかったけれど、僕の悪戯心がそんな質問をさせる。
「あ、えっと・・・はい」
急な質問に返事を窮する坂井君。
気にしない素振りをみせて坂井君の分の食事を器に準備する妻。しかし、その実「自分の喘ぎ声が彼に聞こえていたかどうか」は今、綾乃が一番気になっている事でもあるから、耳は完全にこちらに集中しているに違いない。
「あれから、俺たち、2階でしばらく起きてたんだけど、うるさくなかったかい?」
エロティックな気分・・・と言うよりも、2人の反応がおもしろくて、尚も続ける僕。
「あ、はい・・・あの・・大丈夫っす」
「何も聞こえなかった?」
「・・・あ、いや、」
「結構、大声で騒いでいたから、何も聞こえない事なかったでしょ?」
「あ、はい・・・いや、その」
覗いていた事がバレるのはマズいけど、綾乃の喘ぎ声が階下に漏れていたのを聞いてしまった・・・そのくらいは許容範囲だろうと思うから、僕はさらに続ける。
「聞こえた?」
「あ、何か・・・少し・・・」
こちらに背中を向けていた妻が、ピクリと反応した。
「あ、いや、でも、何をしている声とか、そんな事まで解らなかったっす」
(あははっ、正直な奴っ)
内心で笑いを噛み殺す僕。
今の言葉で「奥さんの喘ぎ声が聞こえていた」と言ったようなものだ。
普通なら「何を話していたのか解らなかった」或いは「何の音か解らない程度だった」と言うような表現をするだろう。
しかし彼は、何を「して」いるのか解らなかったと言った。何かを「して」いる事には気が付いていたと言う事だ。
――コトンっ
無言のまま妻が茶碗を坂井君の前に置いた。
「あ、すんません」
自分の吐いた言葉の裏の意味に気が付いていないのか、普通に礼を言う彼。
僕はチラリと妻へ視線を向けた。
「・・・いえ」
どうやら、彼女も「聞かれていた」と言う事には気が付いたようだ。既に顔は真っ赤で、唇を硬く結んで羞恥に耐える表情を見せている。
(楽しくなりそうだなぁ)
「さて、飯を喰ったら、すぐ出発するぞ」
「あ、了解っす、すんません、送ってまでもらっちゃって」
(いやいや、その分、これからたっぷりと楽しませてもらうから大丈夫さ)
そう思いながら、僕は妻のつくった朝食を口に放り込む。
紆余曲折、苦労もしたが、こうして僕は野本さんに代わる新しい性生活パートナーを手にした。
若い彼はこれから、綾乃の身体と僕の性癖を十分満たす活躍をしてくれるのだが、それはまた別なお話で・・・。
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