口元に差し出された僕のモノを、綾乃は素直に舐め始めた。
若い男の名を叫びながら果てる自分の妻の姿を見て、僕の興奮は最高潮に達していた。
再生されたままの機器からは、はぁはぁと言う妻の吐息と、ゴソゴソと身動ぎするような音が聞こえる。
僕は当然、この後、妻が岡田君にフェラチオしたのだろうと予想していた。しかし・・・。
――綾乃さん、もう入れても良いですか?
機器からは岡田君のそんな声が聞こえてきた。
――あ、えっと・・・
気持ち良くしてもらったら、気持ち良くしてあげる・・・それが彼女の今までの性生活上の常識だったから、おそらく妻は妻で岡田君にフェラチオしてあげるつもりだったに違いない。
――ちゃんとゴムも着けますから・・・いいですよね?
そんな妻に対して尚も挿入欲を訴える彼。
――あ、うん・・・
途切れ途切れにそう返答する妻。
ゴソゴソと再び機器からは身動ぎの音。
――じゃ、入れます
短くそう宣言する岡田君。
――あっ・・・
間髪入れずに小さく漏れ聞こえる妻の喘ぎ声。
ついに若い男に妻が貫かれた瞬間・・・。
しかし、僕は不満だった。
理由は明らかだ。
彼女が岡田君に口で奉仕しなかったからだ。
そもそも、僕のこの性癖は、清楚で恥ずかしがり屋な彼女のフェラチオに対するハードルが異常に低い事を知った事から始まっている。
野本さんとの性遊戯でも、2人をセックスさせる回数は少なかったが、フェラチオはそれこそ数えきれないほどにさせていたし、野本さんのモノを一生懸命に口で愛撫する妻の姿を間近に見て興奮していた。
今回はそれがない。
ここにきて、僕は新たに自分の性癖の一つに気が付く。
(フェラチオさせたい・・・)
若い男に抱かれる妻を想像するのも勿論興奮する。
しかし、僕の異常性癖の根幹はフェラチオにあったのだ。
――あっ・・あっ・・・あっ
その証拠に、岡田君に挿入されて気持ち良さそうに喘ぐ妻の声を機器越しに聞きながらも、僕はどこか冷めた眼で、僕のモノに舌を這わせる妻を見下ろしている。
「あん・・・む・・・ぅ」
そんな僕の冷めた視線に気が付かない綾乃は、あられもない姿のままで、僕のモノに一生懸命に舌を這わせる。
(これと同じ事を岡田君にもしてくれれば良かったのに・・・)
妻のフェラチオに身を任せながらも、そんな風に思う自分が異常である事は重々承知しているけれど、その思いはどんどん大きくなる。
「岡田君には・・・フェラチオしてあげなかったの?」
僕は堪らずそう訊ねた。
機器からは、岡田君に挿入されて気持ち良さそうな妻の喘ぎ声。
まだ、行為は始まったばかりだったし、もしかしたら、この後で妻は岡田君にフェラチオしてあげたのかもしれない・・・そんな思いがあっての質問だ。
「え?」
夢中で僕のモノに舐め続けていた妻は、こんな質問を受けるとは思っていなかったのか、意外そうに僕を見上げた。
「岡田君のおちんちんは、こんな風に舐めてあげなかったの?」
「・・・うん」
「どうして?」
「だって・・・」
「だって?」
「してって言われなかったし・・・」
「綾乃のほうから、舐めてあげるって言えばよかったじゃん」
「そんなのっ・・・無理だよぅ」
そりゃそうだろう。
求められてもいないのに「フェラチオしたい」なんて、綾乃に言える訳がない。妻のそんな性格は僕が一番知っているのだ。
知ってはいても不満な僕は止まらない。
「綾乃・・・足・・開いて」
僕は何とも言えない気持ちを欲望のまま、彼女にぶつけるためにそう言った。
「うん・・・」
そんな事は知らない妻は、素直に両脚を開いて、どうしようもない夫のモノを受け入れる準備をする。
――ヌチュっ・・・ヌチュチュっ
「あっ・・・あっ・・あぁ」
妻が足を開くやいなや、やや暴力的ともいえる勢いで自分のモノを捻じ込む僕。
不満があってもやはり妻の中は気持ちが良い。
しかし、不満な気持ちとその快感が相まって、僕はいつにも増して変態的な気分になってきた。
「俺は綾乃が他の男にフェラチオするところが見たいんだよ」
「あっ・・・あっ・・あ・・・え?」
挿入されながら、ストレートに夫の欲望を聞いた妻は、意外そうに訊ね返す。
枕元に置かれたままの機器からは、尚も岡田君に挿入されて歓喜の声をあげる妻・・・。
「綾乃が他の男とセックスして、こんな風に気持ち良さそうな声を出すのも興奮するけど、綾乃が口で他の男にしているのも見たいんだ」
「・・・そ・・・そう・・・なんだ」
僕の腰の動きに合わせてユサユサと揺れながらも、あまりにもストレートな僕の欲求に引き気味の妻。
「協力してくれるね?」
「協力・・・って・・・・・・あっ」
自分でも彼女に何を望んでいるのか解らないまま、半ば倒錯した精神のままで腰を振り続ける僕。
「俺以外の男に・・・フェラチオしてくれる?」
「・・・孝介以外って言っても・・・野本さん・・・とか?」
「相手はこれから決めるさ・・・いいでしょ?」
「そんな・・・イヤだよ・・・そんなの・・・」
「じゃあ、セックスはしなくて良いからさ・・・フェラだけ・・・それならいいでしょ?」
言いわけがない。
僕の提案は妻にとっては何の取引きにもなっていないのだ。
「だけど・・・誰に?」
「それはまだ決めてないけど・・・俺じゃない誰か」
「そんな・・・知らない人にそんな事できない・・・」
「じゃあ、また綾乃の会社の人にしようか?」
「それはっ・・・それも・・・困る・・・」
「じゃあ・・・どうしようか・・・」
「・・・・・」
「全然知らない人にフェラするのと、誰か綾乃の知っている人にフェラするの・・・どっちが良い?」
いつの間にか、フェラチオする事は決定済みで、相手をどうするかと言う話題にすり替わっているのだが、その事の不自然さに気が付いているのかいないのか、綾乃は「どうしようかなぁ」と言う表情を見せる。
その天然ぶりが何だか愛おしくて、僕は妻の中に入ったままの自分の男根をゆっくりと再び前後に動かし始めた。
「あぁ・・・はぁっ・・・あ」
途端に艶めかしい声を出し始める妻。
「ねぇ、どうしようか。相手は俺が決めても良いかい?」
「あっ・・・あっ・・あぁっ・・・んっ」
「勿論、綾乃に乱暴な事するような人や、不潔な人なんて選ばないよ」
「・・はぁっ・・・んっ・・・あっ・・・あっ」
眼を閉じて、ゆっくりと前後する男根の挿入感を感じる妻。
「・・で、でも・・・やっぱり・・・」
「やっぱり・・・何?」
「あっ・・・あっ・・・し、知らない人に・・・そんな事・・・出来ない・・・よ・・」
「そんな事って?」
「・・・あっ・・・だ・・だから・・口で・・なんて・・・」
「知らない人にフェラチオするのは出来ないって事?」
「・・う・・うん・・・っ・・・あっ」
「じゃあ、やっぱり綾乃の知り合いの中から選ぼうか?」
「・・・・・」
「知らない人にフェラは出来ないんでしょ?」
「そ・・そうだけ・・ど」
「じゃあ、綾乃の知り合いの中から選ぶしかないよね?」
「・・・あっ・・・あっぁ・・で、でも・・ぉ」
「でも?」
「それも・・・ちょっと・・・っ」
「ちょっと・・・何?・・・恥ずかしい?」
「う・・うん・・・」
まぁ、当たり前の反応だろう。
もう退職するとは言え、長い事・・・それこそ結婚前からお世話になっていた会社なのだ。全員と言う訳ではなだろうけれど、下手をすると10年来の知人も中には居るはずだ。
そんな旧知の男性に、問答無用でフェラチオしろと言うのだから「はい、わかりました」とはなるまい。
もしも万一、素直に会社の人間にフェラチオする事を妻が承諾したとしても、それでは岡田君の場合と同じで僕はその様子を観察する事が出来ないからおもしろくない。
けれど、この時の僕はそんな事に考えが及ぶような精神状態ではなかったのだ。
「じゃあ、折衷案でどう?」
それでも、僕の口からはそんなセリフが飛び出した。
このセリフは普段から、僕が仕事で判断に迷うと口癖のように使うセリフだったから、こんな時でも自然に口にする事が出来た。
「せ・・折衷・・・案?」
会社の人間には珍しくない僕の「折衷案」だけど、妻にとっては珍しいセリフだ。
彼女は僕の下でユサユサと揺れながら、そう訊ね返した。
「そう、折衷案。知らない誰かにフェラするのもイヤだし、かと言って綾乃の知り合いでも嫌なんでしょ?」
「う・・・うん・・・」
「だから、間を取って、野本さんの時みたいに、俺の知り合いだったら大丈夫なんじゃない?」
野本さんは、最初から僕だけの知り合いと言う訳ではなくて、綾乃とも多少の面識はあった。だから、この提案も的を射ているようで実はそうでもないのだが、一番敏感な部分に僕の男根を咥え込み、耳元では岡田君に突かれながら漏らす自分の喘ぎ声・・・。
こんな状況で、彼女が正常な判断を下すのは難しかった。
「どう?それなら、危険な事もないし、だいたい前に野本さんにはしていた訳だから、大丈夫だよね」
「・・・あ・・・あっ・・あぁ・・・ん」
「出来るでしょ?フェラチオ・・・」
「あっ・・・あっ・・・あっ・・・」
無言のままで喘ぎ続ける妻。
あと一息だと感じる。
「ねぇ・・・綾乃が俺以外にフェラチオする姿が見たいんだよ・・すごく・・・だから、お願いだよ」
僕は腰を大きくグラインドさせながら、そんな派手な動きとは対照的に彼女の耳元でそう囁いた。
「できるね?綾乃」
それから、やさしく彼女の髪を撫でながらそう訊ねる。
「・・・・・・がんばる」
僕は、最後に消え入りそうな声でそう言った妻を見下ろしながら、思い切り彼女へ向けて腰を振り続け、やがて腹から胸にかけて大量の白濁液を浴びせてから落ち着いた。
≪
前へ /
次へ ≫
Information