――ゴソゴソっ
どちらかが大きく動いたと思しき音が聞こえた。
と、次の瞬間。
「あっ・・・あぁぁあっ」
一際甲高い妻の声が聞こえた。
一体、向こうで何が行われているのだろう。
「あっあっあっ・・・あっ」
間髪入れずに続く妻の声。
「痛くっ・・・ない・・ですかっ」
そう訊ねる男性の声も、何かをしながら発しているようで途切れ途切れだ。
「い・・痛く・・ない・・・んっ・・・あっ」
それに返答しながら悶える妻。
挿入している感じでもないから、おそらく岡田君が妻の秘穴に指を入れて、それを出し入れしながら訊ねたのだろうと予測する。
「あっあっ・・・あっ」
恥ずかしげもなく響き渡る妻の喘ぎ声。僕とする時もそうだけど、指を中に入れて出し入れされると、妻は一際気持ち良さそうに身を捩る。
妻には決まったツボがあって、中で指を曲げてそこを刺激すると、ダラダラと愛液が溢れ出す。
音声しか聞こえないから、今、妻がどうなっているのかは解らないけど、気持ち良さそうな喘ぎ声から察するに、岡田君の指は妻のツボに近い部分を刺激しているに違いない。
――クチっ、クチっ、クチっ・・・
粘っこい音が聞こえてきた。僕とする時と同じように、秘部から愛液が溢れ出てきたのだろうと思う。
「あぁ、あっ・・・・あっ」
途切れ途切れではあるけれど、妻の喘ぎ声は少しずつ強くなっていく。初めて身体の関係を持つ岡田君への恥じらいからか、声を我慢しようとするのだけど、思わず出てしまう・・・そんな感じに聞こえて興奮する。
「あっ・・・はぁっ・・んっ・・・あっ」
堪えきれなくなってきたのか、段々と声が糸を引いたように、ひっきりなしに聞こえるようになってきた。
音のみで興奮を得ている僕にとっては、ありがたい。
「綾乃さん・・・気持ち良いですか?」
ホテルに入るなりシャワーの準備をしたりするあたり、岡田君は遊び慣れているんじゃないかとも思ったけど、さっきから「痛くないか」「気持ち良いか」なんて綾乃に確認するあたりを見ると、あまり女性経験が豊富なようには思えなくなってきた。
気持ち良いかと訊ねる岡田君に対して、綾乃の声は聞き取れない。黙って頷いたのか、それとも何の反応も見せなかったのか・・・。
ここまで聞いた時、僕はついに我慢できなくなった。不確定要素が多すぎるのだ。
音を聞いて、妻が若い男に身体を差し出している様を想像するのは確かに興奮するのだが、しかしあくまでそれは想像にすぎない。この時にどんな風にされていたのか、妻はどうしたのか・・・それが皆目わからない部分が多すぎる。
この問題を解決する方法は一つしかない。
僕はその方法を実行するために、一旦、2人の卑猥な音声を聞くのを止めた。
※※※
夜も更け、子供が眠るのを待って、僕は問題解決に動き出した。
不確定要素を減らす手段は一つしかない。
手元に映像がない以上、その現場に居た人間に解説させるしかない。まさか、岡田君を呼んで解説させる訳にはいかないから、綾乃に解説してもらうしかなかった。
「ヤダっ、絶対にイヤっ!」
一緒に音声を聞きながら、僕の質問に答えて欲しいとお願いした時、妻は強くそれを拒否した。
「どうして?音だけだと、どうなってるのか解らないんだよ、頼むよ」
「ヤダよっ、そんなの恥ずかしいもん」
「頼むよ~、せっかく岡田君とエッチまでしてくれたのに、このままじゃ逆に悶々としちゃうよ・・・」
「そんな・・・」
「ね・・・お願いだから・・・さ」
僕は、猫撫声で妻に囁きながら、彼女の胸を揉み始める。
「・・・・」
音声を聞くのは嫌でも、僕の愛撫に身を任せはじめる妻。余程の事がない限り、僕がセックスを持ちかけた時に彼女が拒否しない事は織り込み済みだ。
「ね、一緒に音声聞こうよ・・・」
「・・・やだ・・よ」
胸を大きく、イヤらしく揉まれながらも拒否する妻。
「じゃあ、音声は後で良いから質問にだけ答えて?」
「・・・・・」
無言で僕に胸を揉まれ続ける妻。
「岡田君ってさ、あんまり女性慣れしてなさそうだけど、どう思った?」
まずは当たり障りのない質問から始める。
「そんなの・・・解んないよ」
「ホテルに入るなりシャワーなんかしてたから、最初は女慣れしてるのかと思ったんだけど、途中で綾乃に色々確認してたでしょ?」
「確認?」
「そう、痛くない?とか気持ち良い?とか」
「そう・・だったかな」
「そうだよ、だから慣れてないのかなと思ったんだけど、綾乃はどう思う?」
僕はそう訊ねながら、右手を彼女のショーツの中に滑り込ませた。
「あっ・・・」
小さく呻いた彼女のショーツの中は、既に少し湿り気があった。
「綾乃の感想は?」
「どう・・かな・・・やっぱり緊張はしてたみたい・・だった」
「そっか、やっぱりね」
経験豊富でも、初めて関係する時には緊張もするだろうとは思う。でも、少なくとも遊び慣れているような男であれば緊張すらしないだろう。
岡田君の女性経験はあまり豊富ではないらしいと思う。
「どのくらいの部屋の明るさだった?」
「え?」
「ホテルの部屋さ、明るかった?」
「ううん、最初明るかったから、照明消してもらった」
「真っ暗?」
「真っ暗じゃないけど・・・あんまりハッキリと見えないくらいに・・・」
「ふ~ん、それからどうしたの?まず、岡田君は綾乃に何をしたの?」
「何って・・・」
「バスタオルを脱がされたんじゃない?」
「あ、うん・・・そうだった」
「それから?」
「それから・・・胸を・・・」
「胸を?どうされたの?」
「触られた」
「どんな風に?」
「どんなって・・・」
「ただ触られた訳じゃないでしょ?」
「さっきの・・・孝介みたいに・・・」
「こんな感じ?」
僕は妻の秘部にあった右手を彼女の乳房に移動させて、激しくそこを揉みしだいた。
「そんな・・・激しくない」
「このくらい?」
「そう・・・だと思う」
僕がゆっくりゆっくり円を描くようにイヤらしく妻の胸を揉み始めると、彼女はそう返答した。
緊張しながら、妻の乳房をイヤらしく揉む岡田君の姿がハッキリと思い浮かぶ。やはり、音声だけの時よりも、妻の補足があった方が生々しくて興奮する。
「その後は?」
「その後・・・は・・・どうだったかな」
惚けても無駄だ。この辺りまでの音声は確認済みなのだ。
「胸、舐められたんじゃない?」
僕はそう訊ねる。
「あ、うん・・・舐められた」
――チュッ・・チュっ
僕は妻の胸に吸い付いた。
「こんな感じ?」
「・・・うん」
「岡田君にも、こんな感じで舐められたの?」
「・・・うん、そう・・・」
「それから?胸の後は?」
「後・・は・・」
僕の愛撫を受けながら、一生懸命に思い出そうとする妻の姿。最初は拒否していたのに、いつの間にか僕に従ってしまっている事に気が付いていない天然な妻。
「胸の後にされる所なんて、だいたい決まってるよね」
僕は妻が答えやすいようにと思って、そう水を向けた。
「あ、うん・・・アソコ・・・」
「え?」
「アソコ・・・触られた」
「触るだけ?」
「・・・・・ううん」
「じゃあ、触られた後でどうしたの?」
「孝介と同じように・・してくれた」
同じように・・・と言うのは「舐められた」と言う事だろう。しかし、それを言うのが恥ずかしい様子の妻。ハッキリと妻の口から「舐める」と訊きだしたかったのだが、それよりも僕を興奮させたのは、妻が「してくれた」と言った事だ。
野本さんと関係を持った時は100%「ヤラせてあげた」と言う感じだった。まぁ、実際にそうなのだが・・・。
それが、岡田君との関係を聞きだす中では「してくれた」と言う表現だった事に興奮する。妻にとっては何ともない言葉だったのだろうと思うが、僕にとっては興奮要素だ。
「同じようにって・・・どういう事?」
「だから・・・その・・・孝介もしてくれるでしょ・・・口で」
「舐めるってこと?」
「そう・・・」
「そっか、アソコを触られた後は舐められたんだね・・・」
「・・・うん」
「気持ち良かった?」
「え?」
「岡田君に舐めてもらって・・・気持ち良かった?」
「・・・それは・・・少しは・・・」
「少しだけ?」
「孝介にしてもらう方が・・良いもん」
愛らしい事を口にする妻。
僕は再び、右手を妻のショーツの中に滑り込ませる。
「あっ・・ん」
ヌルっとした感触が指に纏わりつく。こんな話をしながら、胸を攻めている間に彼女の身体は僕を受け入れる準備が整っていたのだ。
「ヌルヌルになってるよ・・・興奮してる?」
「イヤ・・ん」
「ねぇ、岡田君とのエッチを思い出してヌルヌルになったの?」
「違・・・う」
「ふ~ん、で、その後はどうしたの?舐められた後は?」
「その後・・・は・・あっ・・あぁ」
少し指を激しく動かして、妻の秘部を刺激し始める僕。
「ねぇ、どうしたの?それから・・・」
「それから・・・指・・・」
「指?」
「指・・を・・っ・・・あっあっあぁ」
秘穴の上でプックリと熱を帯びた彼女の核を激しく擦る。
「指をどうされたの?」
「ゆ、指・・・入れられた」
「こんな感じ?」
「あっ・・・あぁぁぁっ」
秘穴へ一気に中指を突っ込む。それから少しだけ指を曲げて、彼女の一番感じる部分を擦りながら、ゆっくりと指を出し入れする。
「あぁ・・・あぁ・・・あっ」
恥ずかしくて閉じ気味だった彼女の両膝が、段々と緩んで開いてくるのを待って、僕は左手でゆっくりと、妻と岡田君の情事が録音されている機器を手にとった。
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