――クッポ、クッポ、クッポ・・・
聞き慣れた音をたてながら、妻の頭が上下に動き始めた。
慣れているはずの彼女のフェラチオが、いつも以上に気持ち良い。
「あぁ、綾乃・・・上手だよ」
僕はすっかり興奮モードに移行していて、傍らで見守る野本さんに遠慮する事なくそんな言葉を吐けるようになっていた。
――クポっ、ジュルっ
僕から緊張が抜けてきたのを察したのか、妻のフェラチオは益々イヤらしさを増してきた。いつものように唾液をたっぷりと使う彼女の口淫。
(あぁ、気持ちいい・・・)
幸福な気持ちが湧き上がってきた。
だけど、その気持ちは、すぐに嫉妬に変わる。
(でも、これと同じ快感を野本さんも経験しているんだ・・・何度も)
その事が僕に嫉妬感を呼び起こして、興奮に更に拍車をかけるのだ。
――ジュポっ、チュっ・・・ジュポっ
根本まで咥えては吸い上げ、裏筋に吸い付いては再び咥える妻。
普通に考えて、女性が夫に口で奉仕する姿なんてものは、他人に見せたくないトップシークレットだろう。
いくら親しい間柄でも、異性の性器を頬張る姿なんて、他人に見られるのは恥ずかしいに決まっている。
ところが、妻はそんな感情など初めから存在しないように、イヤらしい姿を野本さんに曝け出す。
(当たり前・・・か)
当たり前なのだ。
だって、その野本さんに「フェラチオ姿を見せる」どころか、彼に「フェラチオしてあげている」のだから・・・。
「恥ずかしい?」
そうは思っても、僕は妻にそう訊ねずにはいられなかった。
「ん・・・む?」
段々とフェラチオの勢いも増してきたところで水を差すように言葉をかけられて、妻は男根の先端を咥えたままで変な反応を返してくる。
「綾乃がチ○ポ咥えてるところ、野本さんが見てるよ」
僕はわざと、チ○ポと言うような卑猥な言葉を使って、妻に野本さんの存在を思い出させる。
「んっ・・・んん~っ」
妻は「やめて」とでも言いたげな呻き声をあげながら、それでも男根から口は離さずに、野本さんに後頭部を向けて、口元が彼から見えないようにした。
「ダメだよ、ほら・・・野本さんにイヤらしいところ見てもらおうね」
僕は優しくそう声をかえながら、軽く妻の頭を掴んで口元が彼に見易い角度に戻す。
「んっ・・ん~」
再び口元が野本さんに丸見えになった事で再び「やめてよ~」とでも言いたげな声を上げる妻。でもやっぱり男根から口は離さない。
――ジュッポ、ジュッポっ、ジュッポっ・・・
突然、妻が強く僕の男根に吸い付いたまま頭を激しく上下させ始めた。
「うっ・・・あぁ」
思わず呻く僕。
――じゅぽっ、ジュッポっ、ジュッポっ・・・
お構いなしに頭を上下に振り続ける妻。
この恥ずかしい状況から逃れるためには、僕を果てさせるしか手がないと悟ったのだろう。彼女の口淫は完全に男性を果てさせる時のそれになっていった。
――ジュポっ、ジュッポっ、ジュッポっ・・・
「あぁ・・・」
強烈な快感が襲ってきた。いつもなら、もう少し妻のフェラチオを楽しむ余裕があるのだけど、今日は何だかいつも以上に興奮する。
(野本さん・・・)
僕は射精感を紛らわせるように、チラリと野本さんに視線を向けた。彼と眼が合ってしまうのは恥ずかしかったけれど、妻に与えられる強烈な快感と興奮のお陰で、今となってはそうなっても構わないという気持ちになっていたのだ。
彼は瞬きも忘れるくらいに、僕達を見ていた。と言うよりも妻を見ているのだ。
いや、もっと正確にいうと男根を咥える妻の顔・・・そこだけを凝視しているようだ。その表情には興奮の色がありありと浮かんでいる。
(このまま3P出来たら良いのに)
僕は快感の中でそう思う。野本さんが興奮状態のまま、今、妻の身体に触り始めても僕は何も言わないだろう。それどころか、彼女に快感を与える事に協力して、2人がかりで妻を犯そうとするに違いない。
だが、野本さんは律儀に見ているだけだった。もう堪らないと言う表情を見せているくせに、律儀に約束を守る野本さん・・・まぁ、そんなところが彼の良いところだ。
「野本さん、どうですか・・・綾乃のフェラ姿」
僕はあえてそんな彼に声をかける。
「どうって・・・気持ち良さそうだな、やっぱ」
「野本さんだって何度も綾乃にしてもらってるじゃないですか」
「そうだけど、やっぱ人にしてるのを見るって・・ちょっと違うな」
「そうでしょう?興奮しますか?」
「うん、なんか不思議な感じだ」
ネトラレ属性とまでは言えないだろうが、少しは僕の異常性癖の一端が彼にも理解できただろうか。野本さんはそれを「不思議な感じ」と表現した。
「綾乃は?どう?野本さんの前で・・・」
――ジュッポっ、ジュッポっ・・・
「・・・・・」
「野本さんの前だと興奮する?」
――ジュポっ、ジュッポッ・・・
「・・・・・」
「ねぇってば」
「・・・しないよ」
妻は一瞬だけ僕の男根から口を離して言った。
「じゃあ、どんな感じ?」
――ジュッポっ、ジュポっ、ジュポっ
「・・・んっ・・んっ、恥ずか・・・んっ・・しい」
フェラチオの合間にそう言う妻。しかし、その思い切った口淫ぶりはとても恥ずかしがっているようには見えない。
(それは言わない方が良いだろうな)
本当は、彼女の口淫ぶりがとても恥ずかしがっているようには見えないと伝えたかったが、それを言うと本当に恥ずかしがって止めてしまいそうだから、僕はそれを我慢した。
――ジュポっ、ジュポっ・・・
言いたい言葉を呑みこんで、何も彼女にかける言葉がなくなると、突然に快感も強く感じるようになってくる。
「んっ・・・ふぅ」
溜息のような吐息が出る。
――クッ、クッ、クッ・・・
表現しにくい、強く男根を吸い上げる音だけを残して、妻のフェラチオが殆ど無音になった。
「おっ・・・う」
フィニッシュに向けて、彼女が持つ口技の中で、一番強い刺激を与える事が出来る方法で男根をしゃぶり始めた妻に、もはや呻き続けるしかない僕。
「あぁ・・・気持ちいい・・・出そう・・出そうだよ、綾乃」
僕は夫婦二人で行為に及ぶときと同じように射精感が近づいている事を彼女に知らせる。
「んっ、んっ、んっ・・・んふぅ」
すると、妻もそんな声を上げながら一層激しいフェラチオに耽る。
「あぁ、出すよ、口の中に出すよ」
僕はそう言った。普段はこんな事は言わない。なぜなら、妻が僕にフェラチオする時は口内に射精するのが当たり前だからだ。
「飲んで・・・口に出すから全部・・・飲んでよ」
これも普段は言わない。以前、僕が薬を服用していた時期を除いて、僕が口内に射精したモノは嚥下するのが彼女の常識だから、わざわざそんな事を言わなくても、妻はどんなに多量の精液を口内に放っても、それを残さずに飲み込んでくれたのだ。
当然、これらのセリフは野本さんを意識してのものだった。
僕の仕向けた事とは言え、野本さんは妻のフェラチオを何度も味わっている。その気持ち良さは、今、僕が感じているものと同等だろうと思う。
そう考えると強い強い嫉妬が襲ってくる。
僕はそれを、彼も経験した事のない事を綾乃にさせることで振り払おうとする。
(精液を飲んでもらった事はないもんな、野本さん)
今の場面では、それだけが僕に残された「特別」だった。
(野本さんの精液も飲ませたいな)
だけど、次の瞬間には、それも彼へ捧げたいと願う性癖の異常さ・・・。
「あぁ、イクよ・・・綾乃・・・イク」
だけど、そんな異常など冷静に考察する余裕はなく、身体の奥から湧き上がる熱い感覚。
「んっ・・・んっ、んっ」
男根を咥えて、激しく頭を上下させながら、イキそうだと言う僕に「OK」の合図をする妻。
「イクっ・・・んっ・・・んっ」
次の瞬間、僕は溜めこんだ欲望を一気に妻の口内に吐き出した。
「んっ・・んっ、んん~っ」
小さく声を上げながら、口内に精液を受け止める妻。
僕はここ最近じゃ、ちょっと記憶にないくらいの量の精液が彼女の口内に放たれているのを感じる。それは量に比例して、とんでもなく満たされた射精感へと変わる。
「はぁ、はぁ・・・」
快感のために興奮した吐息の僕。
サッと妻が上体を起こした。僕はその妻をじっと見る。
「んっ・・・ふぅ」
(飲んだ)
僕はそれを確認すると野本さんへ視線を向ける。
案の定、口内に出された精液を飲みこむ妻を凝視している彼。得も言われぬ優越感に浸る僕。
「飲んだ?」
「・・・・・」
「俺の精子、飲んだ?」
解りきった事を意地悪く訊ねる。
「・・・飲んだ・・よ」
少し乱れた髪のまま、妻は僕を見下ろしながらそう言った。
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