自分でも驚いた。
ある程度は予想していたが、しょうもない性癖が、これほど自分の仕事力を低下させているとは思わなかった。
佳純と鈴木コーチの一件があってから、僕は人が変わったように働いた。と、言っても、おかしな性癖に陥る前は毎日がこうだった訳だから「元に戻った」と言うほうが正確かもしれない。
「やっぱり池田君は頼りになるね、来週のプレゼンも期待しているよ」
上司からはそう声をかけられた。
あまりの僕の変わり様に、社内では「やっぱり池田さんは先日まで体調が悪かったに違いない」と言う、迷惑な体調不安説まで飛び出す始末だったのだ。
だが、それも2カ月も過ぎる頃には、失速し始めたのを僕は自覚していた。それでも、再び勝ち得た会社での信頼を手放したくない。僕は自分の中のテンションが再び落ちてきたのに気が付かないフリをしながら毎日の生活を続けていた。
「・・・祐・・・啓祐・・啓祐ったら」
「ん?ああ、どうした?」
「どうしたじゃないよ、啓太が遊園地に行きたいって言うんだけど、来週の日曜日どうかなって思って」
「ああ、来週はちょっと・・休日出勤になりそうなんだ」
「そう・・・残念」
「すまないな」
「ううん、いいの!啓祐はそうやってお仕事頑張ってる方が素敵だもん」
「お仕事・・・か」
「どうかした?」
「なぁ・・佳純」
「なに?」
「もう一度・・ダメか?」
「なにが?」
「もう一度、俺の為に協力してくれないか?」
俺に協力してくれ・・・ただその一言で、佳純は僕が何を望んでいるのか察したようだった。途端に和やかだった夫婦の会話が、緊張感溢れたものに変わる。
「あれから・・・何度も鈴木コーチから電話が来て大変だったの・・・だから・・」
「鈴木コーチはもういい・・・あんまり深い関係になるのは、俺もイヤだし・・・」
「え?・・・だ、だって・・・じ、じゃあ、また別な人と・・・ってこと・・・なの?」
先日の鈴木コーチと佳純の行為は、それはそれは興奮した。それこそ、その一品でご飯3杯いけると言うのと同じで、あの時のことを想いだしながら佳純とするセックスは、格別なものだった。
だが、そんな素晴らしい一品も、時間の経過とともに色褪せて、僕は一つの不満を感じるようになっていた。
(もっと積極的な佳純を見たい・・・)
鈴木コーチとの行為は、終始一貫して佳純が受け手だった。彼に口で奉仕はしたものの、それだって彼に求められてしたものだ。
そうでなく、佳純がリードしながら進んでいく行為が見たい・・・それが僕の不満だった。
おぼろげに作戦も考えてあった。
僕の会社では新商品が出た直後の繁盛期だけ、期間限定でアルバイトを雇う習慣があった。
ちょうど今来ているバイトが、あと数週間で契約満了になる。
そのアルバイトの中にいる専門学校生・・・島田 勇気、僕が白羽の矢を立てたのは彼だった。
彼には申し訳ないが、島田君はその名に似つかわしくないほどの奥手だ。見た目は悪くないのに、女性と話す事そのものが苦手な様子で、だいぶ年上にあたる社の女性社員に話しかけられても真っ赤になってしまっているのを、僕は何度も見ていた。
(間違いなく童貞だろう・・・)
僕は彼を見てそう思っていた。
佳純は、いくら僕が望んだところで、自分から男性を積極的にリードしてセックス出来るような女じゃない。それは夫である僕が一番良く知っている。
だから、もし、少しでも彼女の積極性を引き出そうと思ったら、彼女よりももっと奥手で経験の無い、出来れば童貞が良いと思っていたのだ。
そこに現れた、うってつけのアルバイト、島田君・・・彼を見てしまってから、僕は再びその欲望をたぎらせるようになってしまった。
「そ、そんな・・・また別の男の人となんて・・・出来ないよ」
「頼むよ・・・もう一度だけ・・・な?」
「どうして?コーチとエッチしたから・・・もう仕事頑張れるって言ったじゃない・・・」
「そう思ったんだけど・・・もう一度・・もう一度だけ・・な?頼むよ・・今度こそ大丈夫だから・・な?」
「でも・・・そんな、いろんな男の人とエッチするなんて・・私・・・」
「佳純・・これは浮気じゃない。前にも言ったろ?俺の為に、俺の為だけに違う男とセックスするんだ。相手は変わってもそれは変わらない」
「だからって・・・そんな・・・」
「それに今度は、俺が付いている」
「え?どういうこと?」
「今度は俺の目の前でしてもらおうと思うんだ」
「そ、そんな事無理に決ってるわ」
「いや、大丈夫だ」
僕は、兼ねてから考えていた事を佳純に話した。
会社のアルバイトで島田君と言う彼が居る事。その彼はおそらく女性をまだ知らないだろうと思われる事。そして、アルバイトが終わった時に、1人暮らしだと言う彼をそれとなく食事に招こうと思っている事。
「食事は・・いいけど・・・それ以上はムリよ」
「彼にも少しお酒を呑ませた後で、俺が話を切りだす、佳純は俺の言う通りに彼にしてあげれば良いから・・・」
「言う通り・・・って?」
「島田君には、佳純で女性を勉強してもらおうと思うんだ」
「勉強?」
「ああ、おそらく女性の身体を何も知らない彼に、佳純が教えてあげるんだよ・・・セックスをね」
「教えて・・・あげる」
終始困った表情を見せる佳純の眼の奥に、その一瞬、少し卑猥な色が見えたのを僕は見逃さなかった。
「何も知らない童貞に、女を教えてあげる」そのシチュエーションに少し興味を持ったのではないかと思う。
「な?頼むよ・・・勿論、島田君のためなんかじゃなく、俺だけの為に・・・さ」
このチャンスを逃すまいと畳み掛けるように言う僕。彼女には「僕の為に他人と寝る」と言う大前提が必要だから、ここで「島田君のため?」と疑問を抱かせる訳にはいかない。
「本当に最後にする?もう啓祐以外とエッチさせない?」
「ああ、約束する、こんなのはもう最後だ・・だから・・いいだろ?」
「でも・・・どんな人かも解らないのに・・怖いよ」
「それは大丈夫だ、俺が保証する、彼はとてもじゃないけど、積極的に女に付きまとえるような男じゃないよ」
「・・・・・」
「それに、今度は最初から最後まで俺が傍にいる、それなら心配ないだろ?」
「・・・・・うん」
「じゃあ、いいな?早速来週にでも誘うから・・・」
「あ・・啓祐・・・」
「なんだ・・・?」
「・・・私のこと・・・愛してる?」
「当たり前じゃないか」
「そっか・・・うん、そうだよね・・・解った・・・じゃあ、あと1度だけ・・・本当に1回だけ・・・ね、啓祐の為にするんだよ?解ってる?」
「解ってるよ・・・ありがとう、佳純」
こうして僕は、再び、佳純を自分以外の男に差し出す事にしたのだった。
※※※
啓太は今日も両親に預けた。つい先日、鈴木コーチが来たときも預けたばかりだったが、両親はむしろ喜んでいたし、啓太は啓太で、欲しいものを買ってもらえるから喜んでいた。
「さぁ、遠慮なく呑んでくれよ」
「あ・・・はい・・ありがとうございます」
もう彼がウチに来て2時間近くになる。その間、他愛もない話をしながらお酒も口にしていると言うのに、島田君はまだ緊張した面持ちだった。
おまけに、本当に女性が苦手なようで、佳純の顔をまともに見る事もない。
しかし、僕は心配していなかった。
徐々に慣れてくるに従って、佳純のTシャツを盛り上げる大きな胸を、彼がチラチラと横目で盗み見ているのを知っていたからだ。
鈍い佳純は、彼がドキドキしながら、自らの胸の膨らみを見ている事など全く気が付いていないようだった。
「いきなり自宅になんか招いて迷惑だったかな?」
僕は島田君に言った。
「とんでもないです・・・僕、1人暮らしだし、実家も遠いから・・・いつもコンビニのお弁当ばかりで・・・こんな美味しい料理を食べたのは久しぶりです・・・」
「そうか、佳純の料理を気に入ってもらえて良かったよ・・・な?佳純」
「え、ええ・・遠慮しないで、たくさん食べてね」
島田君の奥手ぶりにも驚くが、佳純は佳純で、まだ言葉や表情が硬い。
まぁ、当然かもしれない。なぜなら彼女はこれから、目の前の素朴な青年と卑猥な行為に及ぶ事になっているのだから。
「いや、本当にもうお腹いっぱいです・・・」
「ははは、若いとは言え、かなり食べたもんな」
「はい・・・遠慮なくいただいてしまって・・・すいません」
「謝ることないさ、君にはこの3か月世話になったからね、お礼のつもりさ」
「・・・で、でも・・・アルバイトは僕の他にもいるのに・・・何で僕だけ・・・」
「それはね、君が一番黙々と真面目に働いてくれたからさ、僕だってダテに係長じゃないよ、アルバイトの仕事ぶりだってきちんと見ているさ」
今日、彼を自宅に招いたのは、当然、佳純と卑猥な行為をさせる為だ。だが、彼が一番働き者だったと言うのも嘘ではない。
元来が人見知りらしく、私語をしようにも、それが苦手・・・本当のところはそれだけだったのかもしれないが、とにかく黙々と真面目に働いてくれたのは事実だった。
「僕、お酒もあんまり得意ではないので・・・本当にもうこれで・・・」
島田君が自分のお腹をさするような仕草を見せながら言った。これから後の事を考えると、あまりアルコールを入れすぎるのも良くない。お酒は「ちょっと気が大きくなるくらい」で良いのだ。
「そうか、満足してもらえたかい?」
「ええ、本当に、こんなにしてもらってありがとうございます」
「なに、さっきも言ったろ?これは真面目に働いてくれたキミへの、僕なりのお礼なんだ」
「お礼なんて・・・ちゃんとアルバイト料ももらってますし・・・そんな」
「バイト料は他の子達も一緒だろ?キミは他のアルバイトよりも良くやってくれたよ、だから、これはそのお礼さ」
「ありがとうございます・・・」
「それでね、島田君・・・」
僕は目の前のビールを小さく一口飲んだ。いよいよ、今日の本当の目的に向けて進み始めるための景気づけだ。
「はい・・・」
「キミは彼女なんていないのかい?」
「僕は・・・その・・女の子と・・・と言うか、性別関係なく、他人と話すのが苦手で・・・だから、そんな人はいません・・・」
ここまでの会話に、佳純が殆ど入ってこない事でも分かるが、島田君は話をするときに、僕の方だけをジッと見て話す。すぐ隣に佳純が座っているのだが、彼女と眼を合わせる事は決してない。筋金入りの人見知りのようだ。
「キミは・・いくつだったかな?」
「19歳です・・・」
「おっと、じゃあお酒を勧めたのはマズかったな」
「あ、でも・・・今どきは10代でも普通にお酒を呑まされますから・・・」
「キミもかい?」
「僕は・・・さっきも言った通り、あまりお酒は得意じゃないので・・そう言う席にはあまり・・・」
「ふむ・・・気を悪くしないで聞いてもらいたいんだけどね・・・」
「なんで・・・しょう」
「島田君は女性を知っているのかい!?」
「知っている・・・って・・・?」
「つまり、女性経験はあるのかと訊いているんだが・・・」
「そ、それは・・・だって・・・そんな事・・・その・・・」
「どうなんだ?」
「・・・ありま・・せん」
やはり、僕の予想は正しかった。彼の普段の様子から見ても、おそらく童貞だと思っていたのだ。割と整った顔をしているのに・・・原因は、この半端じゃない人見知りにあるのだろう。
「しかし、キミくらいの年齢なら興味はあるだろう?」
「それは・・・ない・・事も・・ないです」
「どっちなんだ?」
「・・・・・あります」
「うん、そこでキミにもう一つお礼を用意してるんだけど、受け取ってくれるかい?」
「いや、本当にもう・・こんなにごちそうになって、十分ですから・・・これ以上はお気遣いなく・・・」
「まぁ、そう言わずに・・・きっとキミにも気に入ってもらえるお礼だと思うんだけどな」
「・・・・・」
「佳純・・・」
それまで、僕と彼のやりとりを黙って聞いていた佳純が、僕に名を呼ばれてビクリと身体を震わせた。それから身体を硬直させたまま僕を見る。
「さぁ、島田君・・・右手を出して」
「右手・・・ですか?」
「そうだ、こっちへ右手を出してくれ」
「・・・はい」
素直に右手を差し出す彼。僕は急にその右手を掴むと、やおら佳純の右乳房に押し付けた。
「わ、わわっ・・・すいません」
解りやすく動揺する島田君。黙って身体を硬くして・・・それでも拒否する事なく彼に乳房を触らせる佳純。
「どうだ・・柔らかいだろう?これが女性のおっぱいだ」
「あ・・・あの・・・あの・・・すいません」
口では謝るが、その柔らかさの虜になっているのか、右手を避けようとはしない彼。
「ん?ブラジャーの上からじゃ、イマイチ柔らかさが伝わらないかな?」
「そ、そ、そんな・・・こと」
「良かったらTシャツの中に手を入れて、直接触っても良いんだよ?」
「で、でも・・そんなこと・・・」
「佳純・・・ブラジャーを外してあげると良い・・・彼は慣れてないから、女性のブラジャーを外すのも大変だろうからね」
――ゴソゴソ・・・プチンっ
佳純は少し躊躇った後で、それでも僕の言いつけどおりに背中に手を廻し、器用にTシャツを着たままブラジャーのホックを外した。
「さぁ、島田君、ブラジャーは外れたよ、Tシャツの中に手を入れて、直接触ってみると良い・・・」
「そ、そんなこと・・・出来ません」
「キミが女性に触れた事がないと言うから、お礼のつもりだったんだけどな・・ウチの佳純じゃ不満かい?」
「とんでもないっ!お、奥さんは・・・可愛くて・・スタイルも良くて・・・不満だなんて!」
それまで、しどろもどろに答えていたくせに、そこだけはハッキリと答える彼。どうやら僕の佳純は島田君のお眼鏡にも叶ったようだ。
「じゃあ触ってみると良い・・・ほら、遠慮しないで」
僕は再び彼の右手を取ると、強引に佳純のTシャツの中に入れた。だが、そこまでしても、まだオドオドとしている彼。佳純のTシャツの中に手を突っ込んだまま、彼女の乳房を揉むでもなく触るでもなく黙っている。
「佳純・・・島田君はおっぱいの位置が解らないらしいぞ、佳純が島田君に教えてあげると良いよ」
「え・・・?」
驚いて、元々大きな眼をさらに丸くする佳純。
「島田君の手をとって、おっぱいまで誘導してあげてくれよ」
「で、でも・・・」
「さぁ、島田君も佳純のおっぱいを触りたいだろう?」
「・・・・・」
「どうなんだ?」
「・・・・・さ、触りたい・・・です」
ここに来て、ようやく正直にそう言う彼。
「ほら、佳純・・・」
彼が素直に触りたいと言った事で、佳純も仕方がないと思ったのか、自分のTシャツの中に手を入れて島田君の右手を取った。
それを黙って上の方・・・自分の乳房へ持っていく佳純。
僕は、まだ19歳で童貞の男の子の手を取って、自分の胸を触らせる佳純の姿に得も言われぬ興奮を感じ始める。
「ちゃんと・・ブラジャーの中に・・・生で触らせてやるんだぞ?」
僕はそう念を押したが、どうやら既に島田君の右手は佳純のブラジャーの中に潜りこんでいるようだ。
「佳純のおっぱいはどうだい?島田君・・・」
「あの・・・すごく・・・柔らかい・・です」
「それから・・・?」
「それから・・・その暖かくて・・・それで・・・」
「それで・・・?」
「すごく・・・大きいです・・・」
「大きなおっぱいは嫌いかい?」
「・・・・いいえ・・・そんなこと・・」
「好きかい?」
「す、好きです・・・」
「佳純、良かったな・・・島田君は大きなおっぱいが好きだそうだよ」
「・・・・・」
無言で19歳の童貞に胸を触らせ続ける佳純。俯いて真っ赤な顔をして、これではどちらが童貞か解らない。
「ところで島田君・・・キミも興奮してきたんじゃないかい?」
「え?」
「佳純のおっぱいを触って、勃起してきたんじゃないかと訊いてるんだよ」
「そ、それは・・・」
「佳純・・・島田君のモノを触って確認してくれないか、僕はきっと勃起していると思うんだけどね」
「そ、そんな・・・」
「早く・・・確認するんだ、なに、触ればすぐに解るよ、若いんだからギンギンになっているはずさ」
しばらくモジモジとして動かない佳純。黙って佳純のTシャツの中に手を入れたまま固まる島田君。
「佳純・・・頼むよ」
僕がそう言うと、ようやく佳純は動き始めた。食卓の椅子ごと島田君の方へ移動する佳純。
「あ、あの・・・ごめんなさい・・・ね」
それから彼に一言言って、ジーンズの前の部分に恐る恐る手を延ばす。
「どうだ?」
「・・・・・」
「佳純・・島田君のアレはどうなってる?」
「・・・あの・・・大きく・・・なってるみたい」
「す、すいません・・・」
佳純に勃起していると指摘されて、思わず謝る島田君。
「謝る事はないと言っているだろう?それよりも、そんなタイトなジーンズを履いていちゃ、勃起したモノが窮屈だ、脱いだらどうだい?」
「あ、いや・・・それは・・・」
「佳純・・・島田君のジーンズを脱がせてあげて」
「・・・・・」
上手く話は進んでいる。僕も興奮してきた。自分では解らないが、その興奮っぷりは佳純にも伝わったようで、ここに至っては躊躇っても仕方がないと思ったのか、静かに島田君の足元に跪いた。
「あの・・・腰、上げてください」
「で、でも・・・」
「いいから、佳純の言う通りにするんだ、島田君」
「・・・あ、はい」
僕に言われて立ち上がる島田君。その足元に跪いて、丁寧にズボンを脱がせてあげる佳純の姿・・・。
「あっ・・・」
佳純が小さく声を上げた。
彼女がジーンズを脱がせるのと同時に、トランクスの中で抑圧されていた男根が勢いよく飛び出してきた事に驚いたらしい。
「ははは、やっぱりギンギンじゃないか、島田君」
「す、すいません・・・」
「佳純・・・ついでだからトランクスも脱がせてしまうといい」
「・・・はい」
僕に言われるまま、ジーンズに続いて彼のトランクスも下げる佳純。さらに抑圧から解放された男根がビヨンッと彼女の眼前に立ち上がる。
島田君は立ち上がっている。佳純はその足元に跪いている。
その位置関係では、彼女のすぐ顔の前に屹立した男根があるから、島田君は佳純の吐息を直に男根に感じているかもしれない。
「佳純・・・手でシゴいてやるんだ」
僕は言った。
しかし、佳純は動かない。聞こえなかったのかと思って、もう一度同じ事を言ったが、やはり彼女はジッとしたままだ。
ここまで来て嫌になったのかと思い、彼女の顔を覗き込む。
しかし、その視線は島田君の男根を真っ直ぐに見ていて、そのまま佳純は固まっているようだ。
彼の持ち物が、恐ろしく巨大だとでも言うのであればその行動も解るが、どちらかと言うと小振りな方で、僕の方が大きさだけなら勝っているような気がする。
しかし、佳純は島田君の男根の何かが気になるらしく、黙ったまま真っ直ぐに見ている。
僕はそれが何なのか解らなくて、彼の男根に視線を向けた。それから、あぁなるほどと思う。
彼のモノは、既に興奮のあまり、先端から透明な液体が溢れ出ていて、それが亀頭部を濡らしてヌラヌラと妖しく光っていた。
僕と佳純は普段、暗い中で行為に及ぶし、多少の灯りがある中で行為に及んだとしても、さすがに我慢汁が垂れるような事はない。
彼女が高校の時の彼はどうだったのか知らないが、やはり、こんなに近くでマジマジと男根を観察する機会はなかったろう。
「それはね、男が我慢の限界を超えると先から出てくるものなんだよ」
僕は佳純の髪を撫でながら言った。
ハッとしたように振り向く彼女。
「我慢・・・?」
「そう・・・我慢汁とかって言うんだけどね・・・どうやら島田君は佳純に気持ち良くしてもらいたいのを必死で堪えているようだよ?」
「我慢・・・」
「さぁ、島田君は我慢しているようだ・・・早く気持ち良くしてあげないと可哀そうだよ・・・佳純はどうしてあげたら良いと思う?」
「どうしたら・・・って」
「僕は何も言わないよ・・・佳純がしてあげたいようにすると良い・・・彼はこんなになるまで我慢してくれてるんだ・・・良い子じゃないか」
最初から最後まで、僕の言いなりではダメだ。僕は佳純の積極的な姿を見たいのだから、ある程度は彼女の自主性に任せたい。
さて、佳純はどうするのか・・・。
佳純が、我慢汁の滴る男根に右手を沿えた。
「うっ・・・」
それだけで呻く島田君。
それから、一呼吸置いて、静かに・・・だが、しなやかに右手を前後に動かし始める佳純。
「あ、ああ・・・っ」
さらに強くなった刺激に腰が引ける島田君。可愛らしいとすら思う呻き声をあげる。
「佳純・・・そのまま島田君が射精してしまうと、このあたりに精液をまき散らす事になるぞ?僕は構わないけど、後で掃除するのは大変だろう?」
僕は一言言った。
仮にも僕らは夫婦だ。この一言で佳純はすべてを察してくれたようだった。
一瞬、前後する右手の動きを止める佳純。
「ふぅ・・・っ」
それから小さく息を吐くと、少しずつ可哀そうなほど勃起している島田君の男根へ可愛い唇を近づけはじめた。
――チュッ
佳純が彼のモノの先端に、可愛らしいキスをした。
「はっ・・・・っ」
強い吐息を漏らす島田君。
「んっ・・・んんぅ・・・ぅっ」
過敏に反応する島田君の様子に気が付かないように、佳純は彼の男根をゆっくりと口内に押し込んでいった。
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