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凛 騎 応 変!

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□ ネトラレ実現日記~第4章 止められない性癖~ □

~突然~

「彼女できたんだよね」

野本さんが僕に突然そう打ち明けたのは、秋も深まって、間もなく冬を迎えようかと言う頃だった。

「マジっすか!?どんな娘ですか?」
「うん、会社の取引き先の娘・・・娘って言うか、もう結構な歳だけどさ」

聞けば、野本さんの彼女はもうすぐ40歳になるそうだ。
けど、彼はそれ以上に年齢が行っているし、自分の年齢を考えればちょうどつり合いが取れているよと笑いながら言った。

「良かったじゃないですか、今度紹介してくださいよ」
「ああ、それは良いんだけど・・・さ」
「何か問題でもあるんすか?」
「あ、いや、アレの事なんだけど・・・」
「アレ?」
「だから、お前の奥さんと・・・その・・・3人でさ・・・アレ・・」
「ああ、3Pっすか」
「・・・うん」
「もちろん、あんな事してるのは彼女さんに内緒にしますよ。話す訳ないじゃないですか」
「うん、そうして欲しい・・・」
「他に何か?あ、わかった、もうウチのやつとヤレなくなると思って心配してんじゃないっすか?大丈夫ですよ、彼女さんには内緒にしますから、時々遊びましょうよ」
「いや・・・悪ぃ、出来ないわ・・・俺」
「へ?」
「いや、彼女に悪いし・・・それに、おまえの奥さんとも約束してるし」
「約束?」
「俺に彼女が出来るまでの間だけ、我慢して俺にヤラせてくれるって・・・そう言う約束になってんだよ」

そう言えば、ずっと以前、まだ野本さんが妻との情事をビデオ撮影して僕に見せてくれていた頃、妻とそんな約束を交わしていたような気がする。

「だからさ、もう出来ないわ・・・俺」

僕にとっては夫婦の性生活の潤いを失う大事件だ。
だけど、大好きな野本さんに彼女ができて、その彼女を本気で愛そうと言う彼の姿勢は十分理解できたし、また、そんな人間だからこそ、僕は彼が好きなのだ。

「そうですか・・・残念です」
「悪ぃな、さんざん・・・その・・・ヤっておいて」
「何言ってるんですか、僕がお願いして綾乃とヤってもらってたんじゃないですか。それに、異常なのは僕だから、野本さんが正常な世界に戻ってくれて良かったですよ」

僕は冗談めかせてそう言う。

「違うんだ・・・」

ところが、野本さんは深刻そうな顔をして、そう言った。

「何がですか?」
「俺・・・正常じゃないかもしんない」
「な、何を急に・・・大丈夫ですよ」
「俺、迷ったんだ・・・」
「迷った?」
「彼女と良い感じになった時、このまま付き合う事になったら、もうお前の奥さんとエッチな事出来ないんだな・・・と思って、付き合うのを躊躇った」
「・・・」

よくよく話を聞くと、野本さんとその彼女は、お酒の席を共にしたそうだ。別に2人きりと言う訳じゃなくて、取引先の人と意気投合して、仕事も抜きにして・・・と言っても全く抜きと言う訳でもないかもしれないけど、とにかく、堅苦しい感じではなくて、それぞれの会社から数人程度しか出席しない、簡単な飲み会・・・そんな席だった。

お酒の勢いだけど言う訳でもないだろうが、2次会、3次会と進むうちに人は減っていき、最後には野本さんが彼女を送る事になったのがキッカケのようだった。

そこで、野本さんは彼女がバツイチで、しかも小学生の子供までいると言う話を聞いた。だから、この人良い人だなと思っていても

(誰がバツイチの子持ちなんかと・・・)

と言う抑制が働いて、素直に自分の気持ちを打ち明ける事なんか出来ないのだと彼女は言った。

こんな込み入った話をするのだから、野本さんに対して少なからず好意を持っているのは誰でも想像できる。

彼は元々、とても周囲に気付かいの出来る人だけれど、自分の事となると話は別なのか、それとも酒のせいなのか、その時点では普通に人生相談くらいに話を聞いていた。

「今、良いなって思ってるのは野本さんなんですけどね」

結局、彼女にそう言われるまで、彼女が自分に好意を持っている事に全く気が付かなかった。

しかし、実のところ、野本さんも人当りの良い彼女にずっと好意を持っていた。だから、彼女に小学生にもなる子供が居る事には驚いたけれど、それでも悪い気はしないはずだった。

(付き合う事になったら、もう孝介の奥さんとセックス出来ないんだな・・・)

この場面で、野本さんの脳裏に最初に浮かんだのがその事だった。その場では何とも思わなかった野本さん。
しかし、落ち着いて良く考えてみると、優先順位の一番がそこにきている自分に驚く。

「彼女の事は良いと思うんだ。優しいし、気が付くし・・・でも、本当に俺、彼女の事が好きなのか解らないよ。なんか、このままじゃヤバいかもって・・・」

そんな事もあって、野本さんは彼女と付き合う事になった今でもスッキリしない気持ちでいるのだと語った。



※※※



「ねぇ、あたし仕事辞めようかな」

野本さんに彼女が出来たのと殆ど同じころ、綾乃が僕にそう言った。

「どうして?」

あまりに唐突だったから、僕は妻にそう訊ねた。

「だって、孝太も小学生になるから、今までみたいに帰りが遅くなったら困るでしょ?」

妻は長く勤めた会社に結婚後も契約社員のような立場で出社していた。会社の好意もあって保育園に迎えに行くのに余裕がある時間で退社させてもらえていたし、ボーナスは無くても、そこそこの月給はあって、薄給の僕としてはありがたかった。

「それで、お給料は減っちゃうけど、どこか午前中だけ働けるようなところへパートに行ったらどうかなと思って」

僕には唐突な話だったけれど、妻にとっては考え抜いた揚句の結論だったようだ。やはり子供の事となると父親よりも母親の方が一歩も二歩も先まで考えている。

「いいけど、今の会社、いいところだから勿体ないね」
「・・・うん」

勿体ないと言う気持ちは綾乃も同じだったようで、返答に迷いを感じる。
この不況のご時世に、いくらベテランお局社員とは言え、育児に差し支えない範囲で働かせてくれるような会社はそうそう無いだろう。週に3日以上の休みもあって、しかも17時前に退社できるなんて、働く母親にとっては好条件である。
オマケに長く勤めていただけあって、人間関係もきちんと出来上がっていて、気を使う事もあまり無いようだ。

「でも、小学校になったら昼過ぎくらいには帰ってくるもんなぁ」
「うん、近くに学童保育みたいな所もあるんだけど・・・」

そう言って妻は再び言葉を濁す。
今でこそ、幸せな家庭の母親に納まっている妻だが、子供の頃の家庭はあまり幸福な環境ではなかった。

「孝太が帰ってくる時間には家に居てあげたいんでしょ?」

僕はそれを知っているから、妻にそう言った。

「うん。そうなの」
「良いよ、綾乃の思うようにして、俺も一生懸命働くさ」
「うん、ありがとう」
「でも、かなり世話になった会社だし、迷惑にならない辞め方しなきゃね」
「それは、勿論、早いうちに課長に相談する」

課長・・・妻が働く部署の課長は妻とあまり年齢の変わらない男性だ。僕は妻との結婚式で一度だけ会っているけれど、もう顔も想いだせないほど疎遠になっている。

その課長の存在を思い出した時、子供の今後について相談しているこんな場面だと言うのに、僕の脳裏にモヤモヤと良からぬ妄想が湧き上がってきて、それは一瞬のうちにハッキリとした欲望になって鮮明に浮かび上がった。

野本さんに彼女が出来て、今までのように、いわゆるネトラレ属性の僕の性癖を満足させてくれる人を失ってしまった直後だった事が影響していたと思う。

「ねぇ、会社に相談してから、実際に退職するまで、どのくらいの期間が必要なの?」
「どうかなぁ、私の補充なんてすぐに出来ると思うけど、色々引き継がなきゃならない事もあるから・・・2、3か月ってところかな!?」
「ふ~ん、2、3か月か」

まぁ、仕事の引き継ぎなら、それだけあれば十分だろう。

(短すぎる・・・)

しかし、既に別な妄想に支配されていた僕にとってその期間は短すぎた。

「今の会社にプライベートでも仲の良い友達とかっているの?」
「友達?う~ん、あんまりいないかな・・・同期だった娘は今でもメールとかするけど、もうとっくに辞めちゃってるしね」
「そっか」

それを聞いて内心でほくそ笑む。
会社にプライベートで付き合いのある人間がいない・・・と言う事は退職してしまえば、その集団とは何の関係もなくなると言うことだ。

「ねぇ、綾乃・・・もっと早めに辞表だしておいた方が良いんじゃないかな」
「え?どうして?」
「いや、もう退職する気持ちが固まっているなら、早めに・・・例えば半年後に退職しますとか伝えておいた方が会社としては次の人事を練りやすいだろうからね」

嘘である。
そんなに早く言わなくたって、きちんとした態勢の出来ている会社なら、次の人事をきちんと整える。

「そんなもんかなぁ」
「そんなもんさ」
「そっかぁ、孝介がそう言うなら、そうする。早めに課長に伝えるね」
「ああ、それが良いと思うよ」

僕は失った野本さんの代わりに、この課長と妻に関係を持たせる事は出来ないものかと思案し始めていた。




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Date:2014/03/21
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