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凛 騎 応 変!

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□ 伝染する欲望~ブログのみで公開中(完結) □

第6話 …バイセクシャルな女~前編~…

|市川 宏《いちかわ ひろし》は、今日も車の中でイヤホンから聞こえてくる音声に耳を傾けていた。

少しの雑音混じりに女性の話声が聞こえる…だが、宏の期待するような「アノ声」は今日も聞くことが出来なそうだ…もう今日で4日目だと言うのに…。



※※※



宏は数週間前、置き忘れた携帯を取りに、すっかり照明の落ちたオフィスへ戻っていた。
そして無事にデスクの上に置きっぱなしになっていた携帯を見つけてオフィスを出ようとした時に、何の気なしに目を向けた向かいのビルの光景を見て動きを止めた。

通りを挟んだ向かいのビルでは、薄暗い照明の中…だが、ハッキリと男がOLと|思《おぼ》しき女性を追い掛け回して押さえつけ、後ろから犯すさまが見て取れた。

宏とて、助けなければ…と思わなかった訳ではない。
だが、草食系男子…と言えば聞こえは良いが、ひ弱な男を絵に描いたような宏にとっては、その事を匿名で警察に通報するのが精いっぱいだった。

警察官はすぐにやって来た。
それから、男と女性を別々のパトカーに乗せて連れて行くまでの一部始終を宏はオフィスから見下ろしていた。
警察官の到着は少し遅かったようだった…それは宏の居る向かいのビルから見ても解るほど女性に向かって腰を打ち付けていた男が、女性とつながったままで突如としてその動きを止めて脱力した様から見てとれた。

宏はひ弱な体躯と人見知りな性格が災いして女性には縁遠い生活を送っていた。23歳のこの歳になるまで素人女性との性的な接触が一切ないのも推して知るべし…と言った所だ。

そんな宏でも、密かに思いを寄せる女性は居た。
年齢は26歳で宏の先輩にあたるその女性は、面倒見の良い姉御肌で人望もあったが、当然彼を恋愛対象として見るような事は一切なかった。
そればかりか、つい先日親会社の重役の息子との結婚が決まり2か月後に退社すると上司から話があったばかりで、益々、宏から遠い存在になる事は火を見るより明らかだった。



※※※



「どうもご苦労様…」
宏は荷物を届けてくれた宅急便のさわやかな男性に労いの言葉をかけて自宅のドアを閉めた。
待ち望んでいたものが届いたのだ。

先日の向かいのビルでの一件を目の当たりにして以来、宏は「他人のプライベートを覗き見る」と言う行為に異常な興奮を覚えるようになっていた。

とは言え…盗撮…となると敷居が高い。
宏はまずはネットで盗聴器を購入して、使えるようであれば盗撮も…と考えるようになっていた。
そのために欠かせない武器…盗聴器と受信機が届いたのだ。
その2つで7万円の出費は痛かったが、宏はこれを使ってどうしても彼女の私生活を盗聴したかった。

(チャンスは多くないだろう…それにあと2か月したら人妻になってしまう…その前に…)

宏はすぐに行動を起こした。
ドラマの様に簡単に彼女のマンションに侵入して盗聴器をしかける事は出来なかったから、宏は盗聴器を彼女のハンドバッグに忍ばせた。
これだってバレてしまう危険があったが、盗聴器と宏を結びつける証拠は何もない。
それに、盗聴器の電池は7日間程度で切れてしまうと書いてあった。
その間だけでもバレなければそれで良いのだ…。



※※※



盗聴器を仕掛けた宏は、それから連日彼女のマンションの前に車を止めて受信機で彼女の部屋の中の音を聞き続け、今日で4日目になっていた。

この3日間で、彼女が友人と電話で話をする声やシャワーを浴びていると思われるような物音…それに、あまり聞きたく無かったが彼女の放屁の音までがハッキリと聞こえた。

マンション…とは言っても独身者の部屋だ…そう広くはないのだろう。
ハンドバッグに忍ばせた盗聴器は、こうした彼女の私生活の音を広く拾って宏に届けてくれた。

だが宏が期待している音はなかなか聞けなかった。
婚約者でも尋ねてくれば、まず間違いなく彼の期待する「音」を聞くことが出来るのだろうが、この3日間彼は一度も尋ねてこなかった。

それに今日も無理だろう…つい先ほどマンションのエントランスを入っていった女は彼女の友人のようで、彼女の部屋からは賑やかな女同士の話声が聞こえている。

さすがに夜更かしも4日目を迎えると眠気が宏を襲った。

(女同士の他愛もない会話を聞いていても仕方がない…残り3日に賭けて今日は帰ろうか…)

そう思って、車のシフトレバーに手をかけた宏の耳に信じがたい音声が飛び込んできた。

「ねぇ…お姉さまぁ…」
先ほどまでの賑やかな語り口とは一変した甘ったるい声…どうやらこの声は彼女の友人のようだ。

「もうっ…お姉さまって呼ばないで…」
「どうして…お姉さまぁ…私より…あの男が良いの…?…」
「…私…結婚するのよ…だから…あなたとはもうおしまい…」
「そんなのイヤっ!…お姉さまが結婚してても良いの…だから…私を捨てないで…」
「そんなの無理よ…あの人の家はこの辺りでも有名な旧家なの…そんな家に嫁いで来た私が、夜な夜な、あなたと会っている所を見られれば…いくら女同士でも変に思われるわ…」
「そんな…私…時々でも良いから…お願い…今まで通り愛して…」

宏自身も聞きながら耳を疑うような内容だった。
宏が想いを寄せるあの姉御肌で便りになる彼女は、レズビアン…いや、婚約者である男性とも当然そうした行為をしているはずだから…バイセクシャルだったと言う訳か。

「そんな我儘言わないの…約束だったはずよ…互いに良い人が出来たら、そこで終わりだ…って」
「私は男なんかに興味ないわ…お姉さまがいないと…お姉さまじゃないとダメなの…」
彼女の友人…いや、恋人?…それとも浮気相手…?…とにかくその女性は泣き声混じりにそう言った。

「そんな我儘言わないの…ね?…チュッ…」
彼女は相手を優しく諭すと「チュッ」とキスをしたようだ。
ハンドバッグはかなり近くに置いてあるようで、キスするチュッと言う音まで拾っている。
最近の盗聴器の性能は大したものだ。

「お姉さま…今日も…抱いて…気持ち良くなりたいの…」
宏はその申し出に彼女がどう返答するか息を呑んで耳を澄ませた。
返答次第では、彼の期待する「音」が思わぬ形で聞けるかもしれない。

だが返答はなかなか聞こえない。
そのかわりに、ガサガサと言う音がしばらく続いた。

そして…
「可愛いおっぱい…こんなに硬くして…そんなに私にシテ欲しかったの…?…」
彼女の声が受信機から聞こえた。
宏は彼女の口から「おっぱい」と言う言葉が聞けただけで興奮していた。

「お姉さまにシテ欲しいの…ねぇ…お姉さまぁ…」
甘ったるく甘え続ける声の主の顔を宏は良く見なかった。
まさか彼女が女性を相手にするとは思っていなかったから、マンションへ入っていく男性の姿は隈なくチェックしていたが、女性にはあまり目を向けていなかった。

「お姉さまぁ~…もっと…もっと…」
部屋の中で何が行われているのかは解らないが、彼女の浮気相手の女性は甘い声で喘ぎ続けていた。

「ここも…ここも…お姉さまぁ…」
「いやらしい娘…こんなにして…」
「いやぁ…ひどい事言わないでぇ…」
宏が聞き入っている間にも、その行為はどんどんと盛り上がっていくようだ。

「…ん…あぁ…うぅん…お姉さまの舌…気持ちいいよぅ…」
尚も続く甘い喘ぎ声…言葉の内容から、あの彼女が浮気相手である女の子の陰部を舐めているのだと想像できる。

「お姉さまのも~舐めさせてぇ~…」
内心、宏はガッツポーズした。
これで宏が想いをよせる彼女の口から発せられる淫靡な「音」…喘ぎ声が聞けるからだ。

「ん…もう…ホントにエッチなんだから…」
そう言う彼女の声にかぶせるように衣類が擦れる衣擦れの音が聞こえる。
彼女が身に纏っている衣類を脱いでいるのか。

「…あぁ…あ…っ…」
先ほどまでの女性とは明らかに別人の喘ぎ声が聞こえる。

「あぁ…ん…お姉さまのココもすごく濡れてる…」
「…そんなこと…」
「…ん…む…お姉さまのアソコのお汁…おいしい…」
途端にいつも会社で見かける凛とした彼女が、同性に陰部を舐められて恍惚の表情を浮かべる姿が宏の脳裏に浮かんだ。
浮気相手の女の子の言う事が事実であれば、宏のその妄想は当たっているだろう。

宏は、それから延々と続く女同士の行為を音で聴き続けた。

「あぁ…お姉さまぁ…いい…いい…私…イクぅ…」
「あっ…あっ…あぁぁぁ…!…」
延々と続いた後で、殆ど2人同時に最後の時を迎えた様子の彼女達…それから、甘い会話が続いたが、結局この日、2人は「別れる」と言う結論には至らなかったようだった。

しばらくして、彼女がその浮気相手と一緒にマンションのエントランスを出てきた。
良く見ると、まだ子供ではないか?と見間違うような幼く可愛らしい顔つきの女の子…それを強調するようなロリータファッション…だが、その服の下にに包まれる肉付きの良さそうな身体が彼女は子供ではないと言う事を物語っていた。
宏の車の中の時計は、日付がとっくに変わって1時を指していた…。

彼女の浮気相手の女の子がスラリとした彼女の身体に抱きついた…彼女は少し辺りを見回すと、浮気相手にキスをした。
辺りを気にした割には濃厚な…長い長いキスだった。
それから、宏の車が停めてある方向とは逆に向かって歩き出す彼女に声をかけ手を振る…。

(とんでもないものを見てしまった…)

宏は先日のレイプシーンの目撃に勝るとも劣らない、衝撃的なシーンを目の当たりにしたような気分になっていた。

しかしそれは、ひ弱な宏に訪れた千載一遇のチャンスでもあった。
2か月後に地元の名家に嫁ぐ事が決まっている彼女にとっては、どうしても知られたくない事実…彼女がバイセクシャルであり、婚約した後も女性と身体の関係を持っていたという事。
それを宏は知っている。

(上手くすれば…もっとおいしい思いが出来るかもしれない…このチャンスを逃せば、次はない…)

考えるより先に彼は車から降りていた。

そして、今出てきたばかりのエントランスへ戻ろうとする彼女へ声をかける。
「先輩…こんばんは…」

一瞬ビクッとして振り返る彼女。

「あ…あら、市川君…こんな時間に…」
「…お盛んですね…先輩…ご結婚されるんじゃなかったんですか…?…」
驚いて言葉を返す彼女を遮るように宏は言った。

「い、いやね…今見送ってたのは女の子よ…友達…それより市川君こそ何でこんな時間に…」
「まぁ…偶然通りかかりまして…それより先輩…先輩は女の子の友達にキスするんですか…?…」
「な、なに言い出すのよ…そんな訳…」
「見てましたよ…全部…ほら…そこにある黒い車…あれ僕の車なんですよね…」
「…」

宏の車が、最初から停めてあったのを覚えていたのか、彼女は何も言わなくなった。
そこへ向けて宏が続けざまに言った。

「とても、単なる挨拶のようなキスには見えませんでしたけどねぇ…あんなにイヤらしいキス…興奮しちゃいましたよ…僕…」
「だ、だったら何だって言うの…市川君には関係ないわ…」
もう開き直るしか術のない彼女はそう言った。

「そうですね…僕には関係ないですね…じゃあ、僕はさっきのキスシーンがきちんとデジカメに写ってるかどうか…確かめるとしますね…じゃあ…おやすみなさい…先輩」
「…写真まで…撮ってたの…?」
彼女は宏を呼び止めるとそう尋ねた。
宏にとっては大博打だった。元々、盗聴だけが目的で会社からここへ直行している。
デジカメ等持っている訳がなかった。
嘘をついていると言う事と元々気が強い訳でない自分が、こんな脅迫めいた行動を起こしている事に彼の心臓ははち切れんばかりに鼓動していた。

だが、それを彼女に見抜かれてはいないようだ。
「ええ…たぶん綺麗に写っていると思いますよ。最近のデジカメは性能良いですからねぇ…心配しなくても、明日見せてあげますよ…会社でね…」
宏はドキドキする内心を隠してそう続けた。

「何が…望みなの…お金なら少しは…」
宏に不貞の証拠を握られていると思った彼女は、普段の凛とした清々しさからは想像も出来ない事を言った…お金で解決できないか…と。

「お金か…それも良いですけど…もっと…あるでしょ…?…」
「何を…」
それが何を要求しているのか理解したのかしていないのか…彼女はそう聞き返す。

「難しい事じゃありませんよ…ほら…ご覧のとおり、僕は退社してから自宅に一度も戻ってないんですよ」
宏は自分のスーツ姿を彼女に見せながら言った。

何を言っているんだ…と|訝《いぶか》しげに宏を見つめる彼女。

「だから、このまま自宅に戻らなくても明日きちんと出社できるんです」
「それが…何だっていうの…?…」
「だから、今日はこのまま先輩の家に泊まって、明日一緒に出勤しましょうと言ってるんですよ…」
ここまで言われて、宏の要求が何なのか理解できない彼女ではなかった。
露骨ではないが、自分の身体を要求している…彼女はそう察した。

「バカな事言わないでっ…!そんな事して…」
「ただで済むと思うのか…って?…そっくりそのままお返ししますよ…その言葉…先輩の婚約者って、それはそれは名家のご出身なんですってね~」
宏は、つい先ほど盗聴したばかりの内容を、さも以前から知っていたように言った。

「それは…」
「こんな所で僕なんかと言い争ってる姿…ご近所に見られたらマズいんじゃないですか…?」

ハッとした表情で辺りを見廻す彼女。

「…とりあえず…入って…話はそれからにしましょう…」
彼女は宏を招き入れるのが最良と判断したようだった。

宏の前をマンションのエントランスに向かって歩き出す彼女。
その後ろを歩きながら、ふと宏は手に受信機を持ったままだった事に気が付く、それは宏の手汗でびっしょりに濡れていた。

「ガサッ…!…」

宏はマンションの入り口にある茂みに受信機を放り投げた。

(もうこんな物は必要ないさ…)

宏はニヤッと笑って、先を行く彼女を足早に追い、一緒にエレベーターに乗り込んだ。


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Date:2011/11/16
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