(こ、このまま気が付かない振りをしてあげた方が・・・いいのか?)
そう思っていた。
だけど、徐々に激しくなる美紅の右手の動き、声を殺して「ふっ」と時折漏れる艶っぽい吐息・・・。
それらを身近に感じているととても我慢など出来なくなってしまった。
――ゴソゴソっ
寝返りをうつようなフリをして美紅の方へ身体を向ける僕。
――ビクッ
として右手の動きを止める美紅。
僕はその止まった美紅の右手の代わりに、自分の右手を彼女の股間に這わせた。
「はぁ・・っ・・んっ」
少し大きめの吐息が漏れる。
「き、木下君・・なんで・・・?」
「美紅・・・美紅が悪いんじゃないか・・・こっそりオナニーなんかするから」
僕は彼女の耳元で、近くにいる宏和たちに聞こえないようにそう囁いた。
「だ、だって・・だって・・・」
「そんなにしたかったの?」
――こくっ
と小さく頷く美紅。
彼女が清純な見た目とはかけ離れたエッチな女の子だと言う事はよく知っているけれど、こんな大胆な事をするには何か理由があるに違いない。
「どうして?どうしてそんなにしたかったのさ」
「それは・・・その・・・写真・・」
「え・・・?」
「写真・・・見られちゃったから・・・その・・・」
「写真?あの写真?」
「そう・・・」
「あれを・・・他人に見られて興奮しちゃったの・・・?」
暗闇で表情まではよく解らないけれど、美紅は小さく頷いた。
「あのエッチな写真を宏和に見られて興奮したの?」
「見られてって言うか・・・私の写真見て・・・その・・すごい興奮してたから・・それで・・・」
何という事だろう。
美紅は「自分の写真で興奮する宏和の姿を見て、自分も興奮してしまった」と説明した。
この状況でこっそりオナニーするほどだから、その興奮はとても大きなものだったのだろうと推測できる。
「人に見られると・・・興奮するの?」
「そんな・・事ない・・と思う」
美紅は最後の「思う」を小声で言った。
だてに付き合っている訳ではない、その言い方は「そう思ってない」と言う事だ。
つまり、美紅は他人に見られて興奮する性癖の持ち主・・・いや、本人も本当に最近まで気が付かなかったのだろう。
おそらくきっかけは、僕が彼女の画像をサイトにアップしたあの行為・・・あれをキッカケにして彼女の中の眠っていた性癖が目を覚ましてしまったに違いない。
僕はこれまで、彼女がどんなに性的に積極的な行為を見せても・・・そしてそれが清純な美紅のイメージを壊すような事だったとしても、それを受け入れてきた。
けれど、今度ばかりは少し躊躇われた。
僕はどちらかと言うと独占欲の強い男だ。
だから大好きな美紅の恥ずかしい姿を誰かの眼に晒すなんて事はちょっと考えられない。
先日の顔も背景も写っていない画像をサイトにアップする・・・あれで精いっぱいで、あれだけでも少し後悔したほどだ。
だけど、美紅は逆にその事で興奮したようだった。
彼女の望む事は何でもしてあげたいし、性的に楽しい事であれば僕も何でも体験してみたい。
しかし今度ばかりは、もろ手を挙げて受け入れるのは難しい。
なにしろ、僕だけの美紅が「僕以外の男」の眼に晒されるのだから。
「木下君・・・入れて・・」
そんな僕の心の葛藤は他所に、美紅は小声でそう言った。
「え?今?ここで?」
「うん・・ダメかな・・・」
「さすがに・・マズくないか?」
「そぉっとやれば大丈夫かなって・・・」
(そっとって・・・)
僕の返答を待つまでもなく、美紅は後ろ手に男根を握ってきた。
そうしてズボンの上からイヤらしい手つきでそれを撫でまわす。
(そんなに興奮してるの・・・か)
「じゃあ、ちょっとだけお尻浮かせて・・・」
僕は彼女の手の動きであっと言う間に感情を高められた。
それと同時に、こんなにも興奮している美紅を見て、最後までやらずには終れないとも思う。
「うん・・・」
美紅はそう言って、腰を浮かせた。
その隙に、そっと彼女のショーツを膝まで下げる。
それから、なるべく音を立てないように、気配を感じさせないように細心の注意を払って、自分のズボンも膝ほどまで下げた。
「このまま・・・大丈夫?」
「うん・・・あと2、3日で生理だから・・・そのまま中で・・・」
「な、中・・・?中に出しちゃうの?」
「うん・・大丈夫だから・・ね?」
とは言え、この状況ではコンドームも着けられないし、かといって外に出した後でそれを処理するのも難しい。
「解った」
僕は覚悟を決めた。
――ヌチュっ
僕に背を向けて寝ている美紅の尻に向けて、後ろから腰を突きだす。
静かに挿入したつもりだったけど、わずかに粘着音が部屋に響いた。
僕は一旦動きを止めて、部屋の中の気配を探り、大丈夫そうだと確信してから残りを彼女の中に沈めた。
「んっ・・ふっ」
「美紅・・声は・・・」
「んっ・・うん、が、我慢するっ」
――ヌチッ、ヌチッ、ヌチッ・・・
どんなにゆっくり動いても、小さく響くその音。
この音で目を覚ます事はないだろうけれど、もし起きていれば音には気が付くだろう。
「ふっ・・・んっ・・・はっ」
それに一生懸命我慢していても、時折美紅の口から漏れる吐息。
まるで腹筋でもしているかのように、定期的に聞こえる。
(き、気持ちいい・・・)
ベッド上での行為とは比較にならないゆっくりとした腰の動き。
にも関わらず、感じた事のない種類の快感・・・。
「んっ・・ふっ」
突然、美紅の中がキツくなった。
――ビクっ・・・ビクっ
それから断続的に身体を痙攣させる美紅。
(ま、まさか・・イッた・・のか?)
普段、ベッド上での行為でも彼女がイク前に僕が先に果てる事は多い。
それなのに・・・今日はこんなに制限された中での行為なのに・・・。
もうここまでくると疑いようがない。
美紅は、宏和に自分の裸・・・まして、普通じゃ絶対に見せる事のない無修正の秘部写真までも目の前で見られた事に興奮し、今はすぐ近くにその宏和たちが眠っていると言う状況に興奮している。
それは僕のせいなのか、それとも潜在的に元々彼女はそうした性癖の持ち主なのか・・・それは解らない。
解っているのは、これからも彼女を満足させようと思ったら、そうしたプレイを取り入れて行かなければならないと言う事だ。
勿論、優しい美紅は普通のエッチでも十分だと言ってくれるに違いない。
けれど、彼女のこんな姿を目の当たりにしてしまっては、どんなに彼女が「満足している」と言ってくれた所でそれが本音だとは思えない。
彼女が興奮するのは「他人に見られるかもしれない」或いはもしかすると「他人に見られる」事そのもの・・・。
「あっ・・・」
僕がゆっくりと腰を前後させていると、美紅が一つ大きめの喘ぎ声をあげた。
一度イッた美紅は、さらに敏感になってしまって声を抑える事が難しくなってきたようだった。
「み、美紅・・・宏和に聞こえちゃうよ」
――キュッ
純粋に注意したつもりだったのに、僕が耳元で囁いたそのセリフは、美紅にとっては愛撫の一つに過ぎなかったようで、彼女は僕を飲みこんだ秘部をキュウキュウと締め付けながら右手で自分の口を覆った。
「むっ・・むぅふぅ」
僕が腰を動かす度に切なげに口から漏れる吐息。
――ゴソゴソっ
その時、すぐ近くで眠る宏和が寝返りをうった。
自然に腰の動きを止める僕。
「むぅ・・ふぅぅっ」
ところが美紅は、この状況にさらに興奮しているのか、益々切なげな吐息を大きく漏らす。
それと同時にキュウっと僕のモノを締め付ける美紅の濡れた秘部。
美紅はクネクネと、まるで動きを止めてしまった僕の腰を責めるように臀部を押し付けてくる。
(こ、このままじゃ宏和にバレちゃうよ)
そう思った僕は、再び腰の運動を開始した。
リスクはあったけれど、このまま美紅の中に欲望を放出して、行為を終わらせてしまうほうが安全だと思ったのだ。
「んっ・・・ふぅっ・・んっ!」
――ビクッ・・ビクッ
数回・・・ほんの数回腰を動かしただけだった。
美紅は再び、身体を小刻みに痙攣させた。
最初の痙攣よりもやや大きなその動きが、彼女の快感の大きさを物語る・・・美紅が2度目の絶頂を迎えたのは明らかだった。
(美紅・・美紅・・・ホントにこういうのが好きなのか・・・見つかるかもしれないのに・・・俺以外の男に見られるかもしれないのに・・・)
上手く言葉で表現できない感情・・・悔しさと嫉妬・・・それに大きな興奮がないまぜになったような不思議な感覚・・・。
「み、美紅・・・中に・・中に・・出すよっ」
「ふんっ・・ふんっ・・」
右手を口に当てたまま、大きく頷く彼女。
「んっ・・・出るっ・・・うっ!」
僕は小さく呻くと、避妊具も着けずに、彼女の中に思い切り欲望の塊を放出した。
2度、3度と腰を打ちけながら美紅の中に自分のすべてを放出する・・・美紅はその感覚のすべてを逃すまいとしているかのように、身動ぎもせずにそれを受け止めてくれた。
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