太郎さんはトンと軽く綾乃を押した。
果てたばかりでクッタリとしていた綾乃は、そのままパタリとベッドに倒れる。
彼は倒れた綾乃の両脚を容赦なくグイっと拡げた。
それから、開いた両脚の間に素早く移動すると、あっと言う間に彼女の秘部に吸い付いた。
――ジュルルっ
「あっ・・まっ・・・待っ・・・あっ・・・あぁっ」
まるで僕に見せつけるように頭を激しく動かしながら、綾乃の秘部を舐めまわす太郎さん。
その激しい愛撫に悶える妻。
――ジュルっ・・チュウっ・・・ジュルルっ
「あっ・・・あっ・・・あっ」
仰け反るように蠢き、時には腰を持ち上げるような仕草を見せ、或いは強すぎる快感から逃れるように身を捩る妻。
それを両腕でガッチリと抑え込んで、逃がすまいとしながらひたすら愛撫を続ける太郎さん。
「あっ・・・あっ・・・あぁぁぅ」
逃れられない快感に悶える綾乃。
(綾乃・・・綾乃・・・)
目の前の、非現実的な光景に、それでも興奮を隠せない僕。
「あぁっ・・・あぁっ」
秘部から口を離さないままで、太郎さんは器用に自分のトランクスを下げた。
ボロンっと勃起した男根が露わになる。
シャワールームでも思ったが、それは立派な男根で、とても僕は叶わないし、坂井君の若いモノよりも、ずっと猛々しく、凶暴な迫力がある。
(ああ、あれで貫かれてしまうんだ・・・)
その男根を見ながら、益々妄想に拍車がかかる。
「あっ・・・あぁっ」
秘部を舐めまわされ、悶え続ける妻。
その妻への愛撫は中断しないまま、太郎さんが少しずつ身体をずらし始めた。
段々と、自分の下半身を綾乃の頭部へ向けて移動し始めたのだ。
それはゆっくりとした動きだったけれど、僕が黙って見ている間に、件の男根が綾乃の顔の前に来た。
これから何をさせるのかは明白だった。
(フェラチオ・・・)
その位置関係からして、綾乃に、猛々しい男根を咥えさせようとしていると考えた僕は、その時を黙って待つ。
「あっ・・・あぁっ・・・あっ」
ところが、いつまでたっても彼は勃起したソレを綾乃の口元に持っていく事はなかった。
ただ、ひたすらに綾乃に愛撫する彼。その間も、そそり立った男根は、ただ綾乃の顔のあたりに位置しているだけ。
(咥えろと命令しろよ)
僕は苛々しながら、そう思った。
眼を硬く閉じて愛撫に身を任せてしまっている綾乃には、言葉でフェラチオしろと命じないと、いつまでもそのままだと思ったのだ。
「あっ・・・うっ・・んっ・・・あっぁ」
綾乃が身を捩った。
弾みで、彼女の左手が、勃起した男根に一瞬触れた。
触れた・・・と言うよりもブツかったと言った感じだ。
その違和感に気が付いたのか、綾乃が少し目を開けた。
一瞬、驚いた表情を見せる彼女。
今の今まで、快感に耐えるのに精いっぱいで、そんな所に男根がある事に気が付かなかったのだろう。
(よし、フェラチオだ)
僕はそう思った。
ところが、それでも太郎さんは、綾乃に「フェラチオしてくれ」とは言わなかった。
――ジュルっ・・・ジュルルっ
黙ったままで、ただただ愛撫を続ける彼。
(フェラチオは嫌いなんだろうか・・・)
そうも思ったけれど、そんな事はないとすぐに思い返す。
もしも、他人に口淫されるのが嫌いなら、あんな、すぐに咥えられるような位置に自らの男根を持っていかないはずだ。
(僕が命令するのを待っているのかな・・・)
僕が、目の前にあるモノを咥えろと綾乃に命じれば、おそらく彼女は言われた通りにするだろう。
もしかして、それを待っているのだろうか。
そんな風にも思った。
しかし、その考えもすぐに「違う」と思い直す。
彼は、こうした行為・・・つまり夫の前でその妻や彼女とセックスをする事に慣れている。そんな彼が今更、夫である僕に遠慮して、彼女にフェラチオさせないなんて考えられない事だった。
「あっ・・・あっぁ・・・あっ、まっ・・またっ・・・あぁっ」
そうこうしているうちに、綾乃が腰を浮かせながら言った。
「また?・・・また、何ですか?」
久しぶりに太郎さんが口を開く。
「あっ・・・もう・・・もう・・・っ」
「もう?もうどうしたんですか?」
「だっ・・・ダメっ・・・ダメっ・・・あっ・・・」
「何がダメなんですか?」
「いっ・・・イクっ・・・イっ・・・イクッ・・・っっ・・あぁぁっ」
ビクリっと妻が痙攣した。
今となっては見慣れた、彼女が果てる光景だ。
「はぁ・・・はぁはぁ」
益々クッタリとする妻。
――ジュルっ
「あっ・・・ちょっ・・なん・・で?」
綾乃がイッた後、ほんの少しの間をおいて、再び太郎さんは彼女の秘部に顔を伏せた。それから、さっきまでと同じように頭を左右に振りながら、激しく舌で彼女を責めたてる。
「あっ・・・もう・・・ダっ・・・メ」
更に激しく身を捩って、彼の愛撫から逃げようとする妻。
しかし両脚をガチリと掴まれていて、それは叶わない。
――ジュルっジュルルっ・・
「あっ・・・あっ・・・あぁぁぁっ」
そのうちに、再び堪えがたい快感に襲われたらしい妻。
必死に身を捩り続けていたが、ほんの1分も抵抗した後で、その抵抗も止み、彼女はまた彼の愛撫に身を任せはじめる。
――ジュルルッ・・ジュルっ
それから再び、太郎さんが綾乃に奉仕する姿が続く。
が、しかし、今度はさっきまでと少し違っていた。
「あっ・・・あぁっ・・んっ・・・むぅっ」
突然、明瞭に聞こえていた綾乃の喘ぎ声がくぐもった。
綾乃が、ずっと目の前にあった太郎さんの男根を頬張ったのだ。
(綾乃・・・)
太郎さんに要求されもしないのに・・・彼に「フェラチオしてくれ」とも言われていないのに・・・。
(勝手に目の前にある男根を咥えた・・・)
それは初めての興奮だった。
夫婦での行為では、僕がお願いしなくても綾乃はフェラチオをする。
しかし、それは、長い夫婦生活の中で出来た「性行為のパターン」に則ってそうしているだけで、いわば暗黙の了解である。
だが、今日は違う。
自らそうしたのだ。別に咥えなくても良いのに・・・したくなければ、フェラチオしなくても良かったのに・・・それなのに咥えた。
「んむぅ・・・んっ・・・んっんっ」
一たび、太郎さんのモノを咥えた綾乃の乱れようは、更に僕を興奮させるものだった。
自らの快感を、太郎さんにブツけ帰そうとするかのようなフェラチオ・・・。
仰向けに寝たまま、少し無理のかかる態勢で、それでも一生懸命に彼の股間で頭を前後に動かす綾乃・・・。
――グチュッ・・・
太郎さんが、綾乃の秘部から口を離し、代わりに秘穴に指を挿入した。
――クチュチュチュっ
「あっ・・・あぁっ・・・んっ・・・むぅぅ」
その指が動く度に切なそうに喘ぐ妻。
そうして一旦、彼のモノから口が離れても、すぐにまたそれを咥える。
「奥さん、フェラチオしてくれるんですか?嬉しいなぁ」
口が自由になった彼は、綾乃にそう言った。
「んむぅ・・・んっ」
それには反応せずに彼のモノを咥え続ける綾乃。
(あんな態勢になっておいて、白々しい・・・)
そうも思ったが、ここまで来て、僕は彼の考えている事に気が付いた。
(そう言う事か・・・)
彼は、わざと妻に「フェラチオしろ」と命じなかった。
そうする事で「誰にも、何も言われていないのに、自ら男根を咥える」と言う状況を作りだした。
おそらくは、その方が僕が喜ぶと知っていて・・・。
「じゃあ、今度は遠慮なく、奥さんに気持ち良くしてもらおうかな」
太郎さんはそう言うと、綾乃への愛撫を中止して、ベッドの上で大の字になった。
大の字になったきり、綾乃になんの要求もしない彼。
その彼の足元に黙ったまま移動する綾乃。
「んむぅ・・・ぅ」
――ジュポっ・・クップクッポ・・・
すぐさま彼のモノを咥えて、頭を激しく上下に動かし始める。
自分のモノを咥える人妻を見下ろすようにして、どこか満足気な様子の太郎さん。
しかし、ややもすると、その満足気な表情は恍惚としたものに変わった。
綾乃が両手を伸ばして彼の乳首を刺激し始めたのだ。そうやって上半身にも刺激を加えながらも、口にはしっかりと太郎さんの立派な男根を咥えたままだ。
「おっ・・・ぅ、奥さん・・・気持ち良いですよ」
彼が一言そういった。
それを聞いて益々フェラチオの激しさが増す。
妻は両手をバンザイするような姿勢になって彼の両乳首を刺激しながら、口に男根を咥え、頭部を上下に激しく動かす。
――クッポクッポクッポ・・・っ
リズミカルに響く口淫の音。
――クックックッ・・・
そして、綾乃の頬の凹みが深くなるにつれて聞こえなくなっていく口淫の音。
(綾乃・・・本気なんだな)
強い吸引とともに音がしなくなるのは彼女のフェラチオの特徴だ。僕との行為では、興奮も最高潮になって、本気になった時に見せる・・・そのフェラチオを、今、全くの他人に対してしているという事実が僕を興奮させる。
「お、奥さん・・・すごい気持ち良いですよ・・・う、上手いですね」
経験豊富そうな太郎さんも、さすがに声がうわずっているところを見ると、やはり綾乃のフェラチオは世間一般的に見ても上手なんだな・・・なんて、場の雰囲気に合わないことを考える。
――ブブッ・・・
時折、妻の唇から漏れる空気の音で、彼女が強く彼のモノに吸い付いているのを再確認する。
「よし・・・奥さん・・・もう入れましょう」
太郎さんは、妻のフェラチオを長く楽しむことなく、以外に早くそう言った。
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